🐰
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「すみません、今日は帰れそうにないです」
開口一番、そう告げた。
まぁ、何となく予想はしてた。
帰宅予定時刻をとっくに過ぎているし、やっと連絡が来たかと思えば最近はやっと抜けた筈の敬語とタメ口がごちゃ混ぜの電話。
「そう、忙しいの?」
「まぁ、帰れないくらいには」
煮込んでいた鍋の火を止めて、ソファーに寝転がる。
「煙草休憩?」
「まぁな。今日は泊まっていっても、帰っても好きにしていいぞ」
「わかった」
「悪いな、」
「別にぃ?ごはん、冷蔵庫に入れておくけど帰って来れるの?暫く無理そうなら持って帰るけど…」
「…着替えは車にあるし暫くは帰らないと思うから悪いが持って帰ってくれ」
「そ、りょーかい」
「悪いな。埋め合わせは必ずする。来週は大丈夫か?」
「いや、私来週は出張だし」
「…そうか」
「うん、ごめんね」
「いや、こっちこそ…」
悪い、と尻すぼみな言葉。
仕事だとちゃんと分かっているつもりだ。
「じゃあ、また…時間出来たら連絡する」
「嗚呼、分かった」
電話越しの彼の声、最後に会ったのは2週間前だっけ?
ふと、彼の腕に今もついているだろう腕時計の事を思い出した。銃兎さんの誕生日に贈ったちょっと高くて無難なブランドの腕時計。
あの腕時計の方が私よりもずっと銃兎さんと一緒に居るなんて…ちょっとズルい。
「あー、会いたい」
「あの、〇〇?」
電話切り忘れてますよ、と握り締めたスマートフォンから銃兎さんの声。
「えッ⁉︎…今の、聞いてた?」
「ばっちり…」
「うわっ、最悪‼︎忘れて‼︎」
「ンなもん無理に決まってんだろ、…俺だって会いてぇよ」
「…やっぱり、今夜は家で待ってて下さい。何時になるか分かんねぇがなんか理由付けて絶対ぇ帰る。飯も取っとけ」
「ん、分かった。期待せず待ってるから無理しないでね」
「無理してでも帰る」
子供みたくちょっとムキになっている銃兎さんを電話の向こうで誰かが呼ぶ。
じゃあ後で、と切られた電話。
なり続けるビジートーンが寂しくないなんて久々な気がする。
お互いに意地っ張りな私たち
言葉が足りないのはお互い様だ。
好き合っていたって、所詮私たちは他人同士。
近くて、遠くて、ややこしい。
手を洗い直して、鍋を火にかけて夕飯作りを再開する。
今頃、必死で仕事を振り分けているであろう恋人の為に。
開口一番、そう告げた。
まぁ、何となく予想はしてた。
帰宅予定時刻をとっくに過ぎているし、やっと連絡が来たかと思えば最近はやっと抜けた筈の敬語とタメ口がごちゃ混ぜの電話。
「そう、忙しいの?」
「まぁ、帰れないくらいには」
煮込んでいた鍋の火を止めて、ソファーに寝転がる。
「煙草休憩?」
「まぁな。今日は泊まっていっても、帰っても好きにしていいぞ」
「わかった」
「悪いな、」
「別にぃ?ごはん、冷蔵庫に入れておくけど帰って来れるの?暫く無理そうなら持って帰るけど…」
「…着替えは車にあるし暫くは帰らないと思うから悪いが持って帰ってくれ」
「そ、りょーかい」
「悪いな。埋め合わせは必ずする。来週は大丈夫か?」
「いや、私来週は出張だし」
「…そうか」
「うん、ごめんね」
「いや、こっちこそ…」
悪い、と尻すぼみな言葉。
仕事だとちゃんと分かっているつもりだ。
「じゃあ、また…時間出来たら連絡する」
「嗚呼、分かった」
電話越しの彼の声、最後に会ったのは2週間前だっけ?
ふと、彼の腕に今もついているだろう腕時計の事を思い出した。銃兎さんの誕生日に贈ったちょっと高くて無難なブランドの腕時計。
あの腕時計の方が私よりもずっと銃兎さんと一緒に居るなんて…ちょっとズルい。
「あー、会いたい」
「あの、〇〇?」
電話切り忘れてますよ、と握り締めたスマートフォンから銃兎さんの声。
「えッ⁉︎…今の、聞いてた?」
「ばっちり…」
「うわっ、最悪‼︎忘れて‼︎」
「ンなもん無理に決まってんだろ、…俺だって会いてぇよ」
「…やっぱり、今夜は家で待ってて下さい。何時になるか分かんねぇがなんか理由付けて絶対ぇ帰る。飯も取っとけ」
「ん、分かった。期待せず待ってるから無理しないでね」
「無理してでも帰る」
子供みたくちょっとムキになっている銃兎さんを電話の向こうで誰かが呼ぶ。
じゃあ後で、と切られた電話。
なり続けるビジートーンが寂しくないなんて久々な気がする。
お互いに意地っ張りな私たち
言葉が足りないのはお互い様だ。
好き合っていたって、所詮私たちは他人同士。
近くて、遠くて、ややこしい。
手を洗い直して、鍋を火にかけて夕飯作りを再開する。
今頃、必死で仕事を振り分けているであろう恋人の為に。