🐴
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
家主のいない静かな部屋。
冷蔵庫の中には先週買って手付かずのミネラルウォーターと緑茶が一本ずつ。
料理のレシピアプリをタップしてトップページに現れた今日のおすすめメニューをスクロールする。
「よし、これにしよう」
材料の欄のスクリーンショットを撮って、レシピをお気に入り登録する。
お財布とエコバッグを持って部屋を出た。
このマンションの一室は左馬刻さんの持ち物でセーフハウスと言うらしい。
秘密基地みたいなもんだと彼は言っていた。
私は左馬刻さんが本当は何処に誰と住んでいるか知らない。別に知らなくても大丈夫。時々この部屋に私が呼ばれるか私のお家に彼がやって来てくれるだけで充分だ。
近くのスーパーに辿り着いて涼しい店内へと進む。
スマホ片手にカートを押して行く。
「トマトとナスとパプリカと、レタス」
必要な材料をカゴに入れていく。
二人分の材料を買うとなると少しだけ割高だ。
でも食べきれない野菜を腐らせるよりマシだと思う。
夏は野菜が傷むのが早い。
それに彼と食事をするのは今日だけ。
次がいつになるかなんて分からない。
ぼんやりとカートを押していると、突然カゴに放り込まれた高いカップのアイスが二つ。
「左馬刻さん!」
スーパーには不釣り合いな彼が不機嫌そうな顔で私の横に現れた。
「よぉ、」
「どうしてここに?」
「入ってくのが見えた」
くしゃりと私の髪を少し乱暴に撫でる。
直前まで煙草を吸っていたのだろう。
彼からは濃いタバコの匂いがした。
短く答えた彼はジーンズのポケットから財布を取り出して私に向かって放り投げる。
無事彼の財布をキャッチした私が彼を見る。
「それで会計してこい」
「はぁい」
煙草吸ってくる。と言い残して彼はまたスーパーの外の喫煙コーナーへと向かった。
お会計を済ませエコバッグに買ったものを詰めていく。
外に出ると左馬刻さんの車が停まっていて、運転席の窓から煙草を咥えた左馬刻さんが顔を出していた。
「お待たせしました」
慌てて助手席に乗り込む。
運転中に音楽をかけない彼の車は静かで、私の話に彼が相槌を打ったり、紫煙を吐き出す彼を見詰めていたらあっという間に秘密基地に辿り着いてしまった。
車から降りてエレベーターへと向かう。
途中持っていたバックをするりと左馬刻さんの手が奪う。
「ありがとうございます」
「ん、」
私達はエレベーターの中で触れるだけのキスをした。
部屋に着くと急いで買ったものを冷蔵庫に仕舞う。
アイスの周りがほんの少しだけ溶けていて慌てて冷凍庫に仕舞い込んだ。
「左馬刻さん、今日ドライカレーなんですけどナンとライスどっちがいいですか?」
エプロンの紐を結んで髪を結って手を洗い、ソファーに掛けた彼に問う。
少しだけ間を置いて「両方」と意地悪な顔をした彼から答えが返ってきた。
「了解です」
両方とは予想外だった。
でも何だって手に入れてしまう彼らしい欲張りな答えだと思った。
お米もナンも全部半量で作ろう。
そうすれば二人で食べても残らない。
手早くお米を研いで炊飯器にセットする。
ナンの材料も混ぜて冷蔵庫で寝かせておく。
ふと彼の方を見ればソファーにもたれて眠っていた。
布団を掛けるか迷ってやめた。眠りの浅い彼の事だからきっと布団を掛けた瞬間に目を覚ます事だろう。
その後、彼が目を覚ましたのは部屋中にカレーの香りが満ちて炊飯器のタイマーが鳴ったタイミングだった。
のそりと起き上がった彼がキッチンへとやって来て、冷蔵庫の中からミネラルウオーターを取り出して三分の一程を飲んだ。
「おはようございます」
「おー」
まだ少し寝惚けた彼の手が私の腰へと回り頭の上に顎が乗せられる。
「もうすぐ出来上がりますよ」
「ンだよ、コレ」
「ナンもどきです。チャパティって名前で小麦粉とお水とお塩で作れるんです。ナンより簡単なんですよ。」
チャパティがフライパンの中でぷくぷくと膨らむ。
駄洒落かよと彼が笑った。
「いただきます」
サラダとドライカレーとチャパティ。
食卓に私が作った料理が並ぶ。
彼に手料理を振る舞う時いつも少しだけ緊張する。
彼の手がスプーンを掴んでカレーを掬う。
思わず唾を飲み込んだ。
「ちゃんと旨ぇからそんな見んじゃねぇよ」
彼と視線がぶつかる。
「だって、心配なんですもん」
「お前が作るもんならなんでも旨ぇよ」
こんな事を急に言うんだから心臓に悪い。
彼はとても狡い人だと思う。
だって、私の欲しがるものをいとも簡単に当てて、
それを惜しげも無く与えてくれる。
でも、彼は私が本当に望むものを知っていながら一度だって与えてはくれた事はない。
「お前が大人の女になったら少しは考えてやるよ」
いつもそう言って、私の髪を少し乱暴に撫でて優しいキスではぐらかすのだ。
それが悔しくて私は彼の前で少しだけ背伸びをする。
欲しいものなんてこの世には何もないですよと余裕を見せる大人みたいに。
「毒が入っているかもしれませんよ?」
それでも?と私の子供みたいな問いかけに彼の紅い瞳が少しだけ大きく見開いて、
ニヤリと笑った。
「お前に殺されるなら本望だわ」
ほら、やっぱり左馬刻さんは狡い男だ。
《材料(二人前)》
豚ひき肉…150g
たまねぎ…二分の一個
ナス…二本
トマト…一個
パプリカ(赤・黄)…各一個
にんにく・生姜(チューブ)…2cm程
オリーブオイル…適量
☆調味料☆
カレー粉…大さじ一と二分の一
ウスターソース…大さじ一
塩胡椒…適量
《作り方》
①野菜は全て1cm角にカットしておく。
②フライパンににんにく・生姜・オリーブオイルを加え弱火で温める。香りが立ってきたらたまねぎを入れて透き通るまで中火で炒める。
③豚ひき肉を入れて色が変わるまで中火で炒める。色が変わったらナス・トマトを加え1分程炒めて、弱火で蓋をして6分蒸し煮にする。
④☆の調味料とパプリカを加え弱めの中火で水分を飛ばすように炒める。
チャパティのレシピ
《材料(二人前)》
薄力粉…1カップ(180cc)
塩…ひとつまみ
水…50〜60ml
オリーブオイル…小さじ四分の一
《作り方》
①ビニール袋に薄力粉と塩を合わせ入れオリーブオイルを加える。
②半量の水を加えてよく揉む。粉っぽければ水を足して、粉っぽさがなくなってひとまとまりになったら冷蔵庫で30分程休ませる。
③生地を分割して好きな形に薄くのばす。
④熱したフライパンに油を馴染ませて焼く。焦げないようにこんがりと焼けたら完成。
冷蔵庫の中には先週買って手付かずのミネラルウォーターと緑茶が一本ずつ。
料理のレシピアプリをタップしてトップページに現れた今日のおすすめメニューをスクロールする。
「よし、これにしよう」
材料の欄のスクリーンショットを撮って、レシピをお気に入り登録する。
お財布とエコバッグを持って部屋を出た。
このマンションの一室は左馬刻さんの持ち物でセーフハウスと言うらしい。
秘密基地みたいなもんだと彼は言っていた。
私は左馬刻さんが本当は何処に誰と住んでいるか知らない。別に知らなくても大丈夫。時々この部屋に私が呼ばれるか私のお家に彼がやって来てくれるだけで充分だ。
近くのスーパーに辿り着いて涼しい店内へと進む。
スマホ片手にカートを押して行く。
「トマトとナスとパプリカと、レタス」
必要な材料をカゴに入れていく。
二人分の材料を買うとなると少しだけ割高だ。
でも食べきれない野菜を腐らせるよりマシだと思う。
夏は野菜が傷むのが早い。
それに彼と食事をするのは今日だけ。
次がいつになるかなんて分からない。
ぼんやりとカートを押していると、突然カゴに放り込まれた高いカップのアイスが二つ。
「左馬刻さん!」
スーパーには不釣り合いな彼が不機嫌そうな顔で私の横に現れた。
「よぉ、」
「どうしてここに?」
「入ってくのが見えた」
くしゃりと私の髪を少し乱暴に撫でる。
直前まで煙草を吸っていたのだろう。
彼からは濃いタバコの匂いがした。
短く答えた彼はジーンズのポケットから財布を取り出して私に向かって放り投げる。
無事彼の財布をキャッチした私が彼を見る。
「それで会計してこい」
「はぁい」
煙草吸ってくる。と言い残して彼はまたスーパーの外の喫煙コーナーへと向かった。
お会計を済ませエコバッグに買ったものを詰めていく。
外に出ると左馬刻さんの車が停まっていて、運転席の窓から煙草を咥えた左馬刻さんが顔を出していた。
「お待たせしました」
慌てて助手席に乗り込む。
運転中に音楽をかけない彼の車は静かで、私の話に彼が相槌を打ったり、紫煙を吐き出す彼を見詰めていたらあっという間に秘密基地に辿り着いてしまった。
車から降りてエレベーターへと向かう。
途中持っていたバックをするりと左馬刻さんの手が奪う。
「ありがとうございます」
「ん、」
私達はエレベーターの中で触れるだけのキスをした。
部屋に着くと急いで買ったものを冷蔵庫に仕舞う。
アイスの周りがほんの少しだけ溶けていて慌てて冷凍庫に仕舞い込んだ。
「左馬刻さん、今日ドライカレーなんですけどナンとライスどっちがいいですか?」
エプロンの紐を結んで髪を結って手を洗い、ソファーに掛けた彼に問う。
少しだけ間を置いて「両方」と意地悪な顔をした彼から答えが返ってきた。
「了解です」
両方とは予想外だった。
でも何だって手に入れてしまう彼らしい欲張りな答えだと思った。
お米もナンも全部半量で作ろう。
そうすれば二人で食べても残らない。
手早くお米を研いで炊飯器にセットする。
ナンの材料も混ぜて冷蔵庫で寝かせておく。
ふと彼の方を見ればソファーにもたれて眠っていた。
布団を掛けるか迷ってやめた。眠りの浅い彼の事だからきっと布団を掛けた瞬間に目を覚ます事だろう。
その後、彼が目を覚ましたのは部屋中にカレーの香りが満ちて炊飯器のタイマーが鳴ったタイミングだった。
のそりと起き上がった彼がキッチンへとやって来て、冷蔵庫の中からミネラルウオーターを取り出して三分の一程を飲んだ。
「おはようございます」
「おー」
まだ少し寝惚けた彼の手が私の腰へと回り頭の上に顎が乗せられる。
「もうすぐ出来上がりますよ」
「ンだよ、コレ」
「ナンもどきです。チャパティって名前で小麦粉とお水とお塩で作れるんです。ナンより簡単なんですよ。」
チャパティがフライパンの中でぷくぷくと膨らむ。
駄洒落かよと彼が笑った。
「いただきます」
サラダとドライカレーとチャパティ。
食卓に私が作った料理が並ぶ。
彼に手料理を振る舞う時いつも少しだけ緊張する。
彼の手がスプーンを掴んでカレーを掬う。
思わず唾を飲み込んだ。
「ちゃんと旨ぇからそんな見んじゃねぇよ」
彼と視線がぶつかる。
「だって、心配なんですもん」
「お前が作るもんならなんでも旨ぇよ」
こんな事を急に言うんだから心臓に悪い。
彼はとても狡い人だと思う。
だって、私の欲しがるものをいとも簡単に当てて、
それを惜しげも無く与えてくれる。
でも、彼は私が本当に望むものを知っていながら一度だって与えてはくれた事はない。
「お前が大人の女になったら少しは考えてやるよ」
いつもそう言って、私の髪を少し乱暴に撫でて優しいキスではぐらかすのだ。
それが悔しくて私は彼の前で少しだけ背伸びをする。
欲しいものなんてこの世には何もないですよと余裕を見せる大人みたいに。
「毒が入っているかもしれませんよ?」
それでも?と私の子供みたいな問いかけに彼の紅い瞳が少しだけ大きく見開いて、
ニヤリと笑った。
「お前に殺されるなら本望だわ」
ほら、やっぱり左馬刻さんは狡い男だ。
《材料(二人前)》
豚ひき肉…150g
たまねぎ…二分の一個
ナス…二本
トマト…一個
パプリカ(赤・黄)…各一個
にんにく・生姜(チューブ)…2cm程
オリーブオイル…適量
☆調味料☆
カレー粉…大さじ一と二分の一
ウスターソース…大さじ一
塩胡椒…適量
《作り方》
①野菜は全て1cm角にカットしておく。
②フライパンににんにく・生姜・オリーブオイルを加え弱火で温める。香りが立ってきたらたまねぎを入れて透き通るまで中火で炒める。
③豚ひき肉を入れて色が変わるまで中火で炒める。色が変わったらナス・トマトを加え1分程炒めて、弱火で蓋をして6分蒸し煮にする。
④☆の調味料とパプリカを加え弱めの中火で水分を飛ばすように炒める。
チャパティのレシピ
《材料(二人前)》
薄力粉…1カップ(180cc)
塩…ひとつまみ
水…50〜60ml
オリーブオイル…小さじ四分の一
《作り方》
①ビニール袋に薄力粉と塩を合わせ入れオリーブオイルを加える。
②半量の水を加えてよく揉む。粉っぽければ水を足して、粉っぽさがなくなってひとまとまりになったら冷蔵庫で30分程休ませる。
③生地を分割して好きな形に薄くのばす。
④熱したフライパンに油を馴染ませて焼く。焦げないようにこんがりと焼けたら完成。