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『銃兎…!!』
我が家に居候中で本日非番の彼女からの着信。
「どうした」
『助けて…!玄関に誰か居る…!』
「はぁ?宅配便とかじゃないのか?」
いつも冷静な彼女の焦りと不安を孕んだ声に
冷静に状況把握に努める。
彼女がいる俺の家はオートロック付きでセキュリティーは万全なマンションだ。
侵入されるなんてまずあり得ない。
『違うの!え、待って⁉︎鍵開けられたかも…!』
ぶつりと切れた通話。
「あ、おい!〇〇!!」
通話の切れた画面に表示された彼女からのメッセージ。
《クローゼットに隠れた》
《家の中入って来たっぽい、どうしよう》
(落ち着け、仮にも警官だろう)
《ねぇ、どうしよう》
《え、やばい》
《部屋に入ってきた》
《たすけて》
ひやりと背筋が凍る。
警官である以前にアイツだって1人の女だ。
女だから、と言われるのをアイツは嫌うがヒプノシスマイクも持たない丸腰の状態での勝率は極めて低いだろう。
その時、ふと思い出したのはデスクの上の卓上カレンダー。
今日の日付けには青いマーカーで丸がしてあった。
あ、そういえば…。
思い出したと同時に鳴り出す携帯。画面には彼女の名前が表示されている。
「…もしもし」
『銃兎!どういう事⁉︎』
「〇〇落ち着け…説明するからスピーカーにしろ」
きゃんきゃんと吼える彼女。
彼女と一緒に居るであろう人物にも聞こえる様にスピーカーにしろと言ったのに何故かテレビ電話にして来た彼女からの要請を受け入れる。
「聞こえますか?」
『聞こえてる』
『嗚呼、銃兎か』
画面越し、大変不機嫌そうな彼女の背後から顔を出したのは理鶯だった。
「…やはり理鶯でしたか」
『嗚呼、『銃兎!で、どういう事⁉︎』
「はぁ…、〇〇落ち着けって」
『落ち着いてる‼︎』
「落ち着いてねぇから言ってんだろ!」
『うるさい、バカ‼︎』
『喧嘩は良くないぞ、それより銃兎このままでは埒があかない。説明を願おう』
長年の癖でつい無駄な口論を始めた俺たちを理鶯が静かに宥める。
「…はぁ、まず理鶯。彼女は私の同僚の〇〇です。今は事情があって家に身を寄せています。次、〇〇。そこに居る軍人はMTCのメンバーの…『毒島メイソン理鶯だ』
『名前は知ってるけど‼︎なんでここに居るの⁉︎』
矢継ぎ早に質問を投げる彼女。
色々な事が同時に起こって状況把握が追いついていないのだろう。
「今日は理鶯の月に一度の生存確認日なんだよ」
『はぁ?』
『小官は普段森で暮らしているのでな。月に一度、街に降りて備品調達をするついでに集まって食事とミーティングを開くのが決まりになっている』
『はぁ…』
「それが今日なのを忘れてお前に伝え忘れた」
『で、私達が鉢合わせたって訳?』
「そうなるな」
『驚かせてしまいすまない。幾ら銃兎の家で仲間だと言っても女性が一人の家に見ず知らずの男が居るのは不安だろう。こうして銃兎と連絡も取れた事だ。小官は失礼しよう』
「おい、理鶯『…ここにいればいいじゃない』
理鶯を引き止めようとする俺の言葉を遮って彼女が言う。
『む、だがしかし』
『銃兎だって、彼と電話じゃ出来ない話もあるだろうし銃兎が帰ってくるまで居たらいいじゃない。ねぇ銃兎?』
「まぁ…そうだな」
『じゃ、決まり。早く帰って来てね』
「あ、おい!…って切れてる」
再び切られた通話。
家に侵入された時には取り乱してはいたが、彼女は基本的に肝が座っていて物分かりが良い。理鶯も物腰が柔らかく悪い奴では無いし左馬刻との様に喧嘩をする事は無いだろう…しかし、何かと心配は残っている。
デスクに戻り書類の山を片付けて(押し付けて、ともいう)さっさと帰ることにしよう。
リビングへと続くドアを開けると食事のいい匂いがした。
「あ、おかえり〜」
「邪魔しているぞ」
キッチンに並んで立つ彼女と理鶯。
「…何してんだよ」
「理鶯さんに料理教わってる!」
「銃兎、〇〇は筋がいいぞ。いい軍人になる」
嬉しそうにニコニコと笑う2人からして、俺が居ない間も特に問題無く過ごしていたらしい。
問題があるとすれば2人の目の前に置かれた鍋の中身だろう。
「おい、〇〇。こっち来い。理鶯ちょっと待っていて下さいね!」
「承知した」
理鶯をキッチンに残し、寝室に〇〇を連れ込む。
「何よ」
「…どういう風の吹きまわしだ」
「だって、料理するって言うから」
「変な物入れてなかったか…?」
「変な物って何よ、私が買って置いた物しか入れてないけど?」
「お前が買って来たものだけだな⁉︎理鶯が持ってきた物は入ってないならいい」
「何かスパイス?は入れてたけど」
「おいおい…虫とかじゃねぇだろうな⁉︎」
「虫?入れないでしょう普通」
「あいつは入れるんだよ…!」
さぁ…っと青くなる彼女の顔。
そういえばコイツは俺以上に下手物嫌いだった。
キッチンの方から理鶯の声がする。
「銃兎、〇〇、料理が出来たぞ」
「「は、はぁーい」」
2人揃って引き攣った笑みを浮かべ寝室を後にした。
* * * * * *
今日のミーティングはリーダーである碧棺左馬刻は急用で来れなくなったらしく、私と銃兎と理鶯さんの食事会へと変わった。
今は銃兎と理鶯さんが何やら話をしている。
お皿を洗いながら、ふたりの姿を眺めて、碧棺左馬刻がここに来なくて良かった…と胸を撫で下ろした。
「さて、小官はそろそろ帰ろう」
「え、この時間から?森に?外、土砂降りだよ?」
窓の外は土砂降りだった。
玄関へと向かう理鶯さんの腕を銃兎が掴んで引き止める。
「理鶯!待ちなさい!今日は泊まっていきなさい!」
「しかし、幾ら知り合いだとはいえ男女の愛の巣に長居するのは不粋だろう…」
曖昧な笑みを浮かべる理鶯さんに思わず声が裏返る。
「「はぁ!!?」」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「理鶯さん!私達別に付き合ってる訳じゃないですよ⁉︎」
「そうなのか?」
きょとんと小首を傾げる理鶯さんは幼くちょっとだけ可愛く見えた。
銃兎の説明によって誤解は解けた(らしい)が問題は寝床だ。
「小官は床で構わない」
「私、ソファーでいいよ」
「布団が足りねぇだろ」
寝床があっても掛ける布団が足りない。
冬場より幾分かマシになった寒さも、この土砂降りでは今夜は冷え込むだろう。
「嗚呼、そっか。じゃあ私と銃兎がベッドで寝て、理鶯さんは客間?のベッドを使って寝ればいいんじゃない?」
「お前なぁ…」
「今日は仕方ないでしょう?理鶯さんいるんだし」
「すまない…」
「理鶯は悪くないですから謝らないで下さい」
「私が転がり込んできた時から簡易ベッドがあったのはそういう事だったんだね」
「まぁ、家でミーティングという名の宴会をして、そのままアイツらが泊まっていく事もあるからな」
台風の時期は理鶯を保護したり色々だ。
溜め息を吐く銃兎。
面倒くさそうに言いながらもなんやかんやで彼は面倒見がとても良い。
私を家に招いたのだって長年の付き合いの延長線のようなものだろう。
「悪かったな」
「え?」
横を向くと目を閉じたままの銃兎が静かに呟く。
「俺の不手際だったとは言え、怖い思いをさせた」
「別に、ちょっと驚いただけ」
「そうか…」
「転がり込んできたのは私の方だし」
返事が無い彼の方をもう一度振り返ると、スヤスヤと規則正しい寝息が聞こえた。
もし、ここに居るのが私じゃなかったら彼はどうしていたのだろう。
燃えたのが他の人でも家に招いて、こうして同じベッドで寝るのだろうか。
「私だけって思いたいなぁ…」
自分の口から溢れた言葉に思わず頭を悩ませる。自分は隣で眠る彼の事を今までどう思っていたんだっけ?
本当の気持ちと向き合ってしまったら、彼の横で眠る事が出来なくなりそうだから、浮かんだ言葉はとりあえず胸の奥底に仕舞い込んだ。
我が家に居候中で本日非番の彼女からの着信。
「どうした」
『助けて…!玄関に誰か居る…!』
「はぁ?宅配便とかじゃないのか?」
いつも冷静な彼女の焦りと不安を孕んだ声に
冷静に状況把握に努める。
彼女がいる俺の家はオートロック付きでセキュリティーは万全なマンションだ。
侵入されるなんてまずあり得ない。
『違うの!え、待って⁉︎鍵開けられたかも…!』
ぶつりと切れた通話。
「あ、おい!〇〇!!」
通話の切れた画面に表示された彼女からのメッセージ。
《クローゼットに隠れた》
《家の中入って来たっぽい、どうしよう》
(落ち着け、仮にも警官だろう)
《ねぇ、どうしよう》
《え、やばい》
《部屋に入ってきた》
《たすけて》
ひやりと背筋が凍る。
警官である以前にアイツだって1人の女だ。
女だから、と言われるのをアイツは嫌うがヒプノシスマイクも持たない丸腰の状態での勝率は極めて低いだろう。
その時、ふと思い出したのはデスクの上の卓上カレンダー。
今日の日付けには青いマーカーで丸がしてあった。
あ、そういえば…。
思い出したと同時に鳴り出す携帯。画面には彼女の名前が表示されている。
「…もしもし」
『銃兎!どういう事⁉︎』
「〇〇落ち着け…説明するからスピーカーにしろ」
きゃんきゃんと吼える彼女。
彼女と一緒に居るであろう人物にも聞こえる様にスピーカーにしろと言ったのに何故かテレビ電話にして来た彼女からの要請を受け入れる。
「聞こえますか?」
『聞こえてる』
『嗚呼、銃兎か』
画面越し、大変不機嫌そうな彼女の背後から顔を出したのは理鶯だった。
「…やはり理鶯でしたか」
『嗚呼、『銃兎!で、どういう事⁉︎』
「はぁ…、〇〇落ち着けって」
『落ち着いてる‼︎』
「落ち着いてねぇから言ってんだろ!」
『うるさい、バカ‼︎』
『喧嘩は良くないぞ、それより銃兎このままでは埒があかない。説明を願おう』
長年の癖でつい無駄な口論を始めた俺たちを理鶯が静かに宥める。
「…はぁ、まず理鶯。彼女は私の同僚の〇〇です。今は事情があって家に身を寄せています。次、〇〇。そこに居る軍人はMTCのメンバーの…『毒島メイソン理鶯だ』
『名前は知ってるけど‼︎なんでここに居るの⁉︎』
矢継ぎ早に質問を投げる彼女。
色々な事が同時に起こって状況把握が追いついていないのだろう。
「今日は理鶯の月に一度の生存確認日なんだよ」
『はぁ?』
『小官は普段森で暮らしているのでな。月に一度、街に降りて備品調達をするついでに集まって食事とミーティングを開くのが決まりになっている』
『はぁ…』
「それが今日なのを忘れてお前に伝え忘れた」
『で、私達が鉢合わせたって訳?』
「そうなるな」
『驚かせてしまいすまない。幾ら銃兎の家で仲間だと言っても女性が一人の家に見ず知らずの男が居るのは不安だろう。こうして銃兎と連絡も取れた事だ。小官は失礼しよう』
「おい、理鶯『…ここにいればいいじゃない』
理鶯を引き止めようとする俺の言葉を遮って彼女が言う。
『む、だがしかし』
『銃兎だって、彼と電話じゃ出来ない話もあるだろうし銃兎が帰ってくるまで居たらいいじゃない。ねぇ銃兎?』
「まぁ…そうだな」
『じゃ、決まり。早く帰って来てね』
「あ、おい!…って切れてる」
再び切られた通話。
家に侵入された時には取り乱してはいたが、彼女は基本的に肝が座っていて物分かりが良い。理鶯も物腰が柔らかく悪い奴では無いし左馬刻との様に喧嘩をする事は無いだろう…しかし、何かと心配は残っている。
デスクに戻り書類の山を片付けて(押し付けて、ともいう)さっさと帰ることにしよう。
リビングへと続くドアを開けると食事のいい匂いがした。
「あ、おかえり〜」
「邪魔しているぞ」
キッチンに並んで立つ彼女と理鶯。
「…何してんだよ」
「理鶯さんに料理教わってる!」
「銃兎、〇〇は筋がいいぞ。いい軍人になる」
嬉しそうにニコニコと笑う2人からして、俺が居ない間も特に問題無く過ごしていたらしい。
問題があるとすれば2人の目の前に置かれた鍋の中身だろう。
「おい、〇〇。こっち来い。理鶯ちょっと待っていて下さいね!」
「承知した」
理鶯をキッチンに残し、寝室に〇〇を連れ込む。
「何よ」
「…どういう風の吹きまわしだ」
「だって、料理するって言うから」
「変な物入れてなかったか…?」
「変な物って何よ、私が買って置いた物しか入れてないけど?」
「お前が買って来たものだけだな⁉︎理鶯が持ってきた物は入ってないならいい」
「何かスパイス?は入れてたけど」
「おいおい…虫とかじゃねぇだろうな⁉︎」
「虫?入れないでしょう普通」
「あいつは入れるんだよ…!」
さぁ…っと青くなる彼女の顔。
そういえばコイツは俺以上に下手物嫌いだった。
キッチンの方から理鶯の声がする。
「銃兎、〇〇、料理が出来たぞ」
「「は、はぁーい」」
2人揃って引き攣った笑みを浮かべ寝室を後にした。
* * * * * *
今日のミーティングはリーダーである碧棺左馬刻は急用で来れなくなったらしく、私と銃兎と理鶯さんの食事会へと変わった。
今は銃兎と理鶯さんが何やら話をしている。
お皿を洗いながら、ふたりの姿を眺めて、碧棺左馬刻がここに来なくて良かった…と胸を撫で下ろした。
「さて、小官はそろそろ帰ろう」
「え、この時間から?森に?外、土砂降りだよ?」
窓の外は土砂降りだった。
玄関へと向かう理鶯さんの腕を銃兎が掴んで引き止める。
「理鶯!待ちなさい!今日は泊まっていきなさい!」
「しかし、幾ら知り合いだとはいえ男女の愛の巣に長居するのは不粋だろう…」
曖昧な笑みを浮かべる理鶯さんに思わず声が裏返る。
「「はぁ!!?」」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「理鶯さん!私達別に付き合ってる訳じゃないですよ⁉︎」
「そうなのか?」
きょとんと小首を傾げる理鶯さんは幼くちょっとだけ可愛く見えた。
銃兎の説明によって誤解は解けた(らしい)が問題は寝床だ。
「小官は床で構わない」
「私、ソファーでいいよ」
「布団が足りねぇだろ」
寝床があっても掛ける布団が足りない。
冬場より幾分かマシになった寒さも、この土砂降りでは今夜は冷え込むだろう。
「嗚呼、そっか。じゃあ私と銃兎がベッドで寝て、理鶯さんは客間?のベッドを使って寝ればいいんじゃない?」
「お前なぁ…」
「今日は仕方ないでしょう?理鶯さんいるんだし」
「すまない…」
「理鶯は悪くないですから謝らないで下さい」
「私が転がり込んできた時から簡易ベッドがあったのはそういう事だったんだね」
「まぁ、家でミーティングという名の宴会をして、そのままアイツらが泊まっていく事もあるからな」
台風の時期は理鶯を保護したり色々だ。
溜め息を吐く銃兎。
面倒くさそうに言いながらもなんやかんやで彼は面倒見がとても良い。
私を家に招いたのだって長年の付き合いの延長線のようなものだろう。
「悪かったな」
「え?」
横を向くと目を閉じたままの銃兎が静かに呟く。
「俺の不手際だったとは言え、怖い思いをさせた」
「別に、ちょっと驚いただけ」
「そうか…」
「転がり込んできたのは私の方だし」
返事が無い彼の方をもう一度振り返ると、スヤスヤと規則正しい寝息が聞こえた。
もし、ここに居るのが私じゃなかったら彼はどうしていたのだろう。
燃えたのが他の人でも家に招いて、こうして同じベッドで寝るのだろうか。
「私だけって思いたいなぁ…」
自分の口から溢れた言葉に思わず頭を悩ませる。自分は隣で眠る彼の事を今までどう思っていたんだっけ?
本当の気持ちと向き合ってしまったら、彼の横で眠る事が出来なくなりそうだから、浮かんだ言葉はとりあえず胸の奥底に仕舞い込んだ。