‪「さ、左馬刻さん…」‬
「あ？」
「あの〜、質問なんですけど…この腰に回された腕は、そちらの方々が良く言う『俺の女』的な何かなのでしょうか…？」
「嫌なのかよ」
「いや、いやな訳じゃないんですけど、ちょっとだけ歩きにくいんです…それに私達お付き合いしてる訳じゃないのに、街中でこんな事しているのをもし左馬刻さんの彼女さんに見られてしまったら生きていけないと言うかなんというか…」
「あ゛？」
「え？」
ドスの効いた声で凄まれてちょっと涙目になる彼女。

「〇〇。それ、本気で言ってンのかよ…」
「わ、私何かお気に触るような事言いましたか…？」
「付き合ってねぇって、本気で思ってんのかよ」
「だって、左馬刻さんには素敵な彼女さん（セフレ）が沢山いるって…私もその一人なんだとばかり」
そういえばちゃんと愛の言葉を伝えたり、付き合おうなんて言っていなくて…
（そりゃ伝らねぇか…ちゃんと言葉にしなかった俺の非だな…）

「…昔の女とはとっくに関係切ったし、今は鈍感娘一人で手一杯だわ」
「鈍感むすめ…？」
こてん、と首をかしげる彼女の姿に盛大な溜息を吐く左馬刻。

「お前の事だわこの鈍感。俺様にはお前しか居ねぇよ」
耳元で囁かれて真っ赤になる彼女ちゃん。

「へッ！？」

「つー訳でお前は正真正銘俺の女って訳だ。これは慣れろよ」
腰グイってして歩き出す左馬刻（とても悪い笑顔）と思考回路がショートしてズリズリと引き摺られる形で腕の中で硬直したままの彼女ちゃん。