食卓に並んだ大量の食事。とても朝食とは思えないラインナップに苦笑いを浮かべながら2人で平らげた。
彼の誕生日ケーキがわりに焼いたアップルパイ。
切り分けて彼のお皿に取り分ける。
「左馬刻さんじゃなくて《サマトキサマ》の方が良かったですか？」
「勝手に言ってろダボ」
プレートをひょいと摘んで頬張る彼。
お互いそんなに量を食べる方では無いし、彼だって満腹に近いだろうに誰にもやらないなんて欲張りな彼らしい。
ショートケーキにしなくて良かった…。
満腹のお腹に生クリームは流石に辛い。
それに比べればアップルパイは甘酸っぱくて食べやすい、と思う。
けれど、2人で分けても4分の1しか減らなかった。
「左馬刻さん、やっぱり残りは銃兎さんと理鶯さんにお裾分けしましょう」
何とも不服そうな彼の表情に笑いを堪えながら、子供に言い聞かせるようになんとか納得して貰えそうな言葉を紡ぐ。
「また作りますから、ね？」
「しょうがねぇな…」
ぜってぇだぞ、なんて口を尖らせる彼はどこか幼い少年の様で絶対に口には出せないけれど可愛いなんて思ってしまった。