「は！！」スマホを見ていた彼女が突然こちらを向いた。
「なんですか、そのにやけ顔は…」「今日なんの日か分かる？」笑みを抑えきれない彼女の無防備な表情に呆れながら、記念日をひとつ、ひとつ思い出す。
（こいつは記念日とか気にしないタイプだと思っていたのにな…）

女とは実に面倒な生き物だ。
やれ付き合って1ヶ月記念日だ、やれ初キス記念日だ…一々憶えていなければ機嫌を損ねるのだから堪ったもんじゃない。
（まぁ、こいつも女だしな…）
付き合った日、キスをした日、身体を繋げた日…思い返してみても今日にあたる日付は憶えている限り何も無い。

「すみませんが、何か記念日でしたっけ…最近忙しくて…」忘れてしまいましたと怒られる覚悟で彼女の顔を覗き込む。
「え！？記念日だったっけ？」
きょとんとする彼女に思わず拍子抜けする。
「はぁ？じゃあ一体、「カレンダー見て！」
指差す日付は10月10日。
「それが何か？」

「10月10日！銃兎の日だよ！！おめでと〜〜！！！」誕生日でも祝うかの如く、満面の笑みで抱き着く彼女のお茶目さに負けた。




‪女は記念日記念日って…って思ってるけど実は彼女よりも記念日をちゃんと憶えてる銃兎。（小さい記念日はお花とかケーキとか買って来てくれる）‬

‪彼女は付き合った記念日にディナーに連れて行っても「ねぇ、銃兎…。今日なんかいい事あったの？」とか言い出すすっとぼけちゃん。‬
‪「付き合って2年目の記念日だろうが！いい加減覚えろ！」‬
‪「ごめん、ごめん！忘れてた！！」‬
‪「銃兎と居ると毎日嬉しい事だらけで毎日が記念日みたいなんだもん…照」‬
‪とか言い出すから銃兎はそのあざとさに悶絶する。‬