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夢小説設定
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煙草を咥えたままポケットを探る彼の癖はすぐに《失くし物》をする事。
「また失くしたの?」
「ちげぇわ!ほらあれだ、ダッシュボードの中だ!」
「ブッブー、さっき事務所の机に忘れてたので私が持ってきました〜!」
えらいでしょ、彼のジッポを自慢気に高々と掲げる。
スパンッと頭を叩かれていとも容易くジッポが奪われる。
「持ってンなら最初からそう言え」
煙草の先に火がついて、ゆるりと紫煙が空へと昇る。
本当は煙草の煙は嫌い。
でもこれは落ち着く彼の匂いだ。
「ン、」
「何?」
目の前に差し出されるジッポ。
強引に握らされたソレはちょっぴり重たくて冷たい。
「どうせまた失くすから持ってろ」
「でもこれ左馬刻のお気に入りじゃん」
「煩ぇ」
「私が居ない時どうすんの」
「他ので付ける」
「え〜何それ〜〜」
不満を前面に押し出せば彼が面倒臭そうに煙を吐いて、燃える紅い瞳が私を射抜く。
「じゃあ、俺から離れなきゃいいだろ」
私が離れられないのを知っていて、そうやって笑うのは狡い。
体温が急に上がっていくのが分かる。
「そういうの狡い、」
「なぁに赤くなってんだよクソガキ」
「煩い!左馬刻のバーカ!!」
「ア゛ァン!?左馬刻サンだって言ってんだろクソガキが!」
「バーカ!左馬刻のバーカ!!」
私の髪をぐしゃぐしゃにする彼の手は少し乱暴で、いつも優しかった。
彼との関係はTDD解散と共にいとも簡単に途切れた。
サヨナラをした日、私はポケットに入れたままのジッポを握り締めて彼に投げつけてやろうかと思った。
私を捨てやがって!ジッポと同じで私の替えだって幾らでも居るんでしょう!?
そう言ってやりたかった。
でも、やめた。
煙草に火を付ける時、ジッポ探して何度も何度も私を思い出せばいい。
そう思って彼のジッポを頂戴した。
煙草に火を付ける。
使い慣れたジッポの重さは手に馴染んで、
嫌いだった煙草の煙にももう慣れた。
いつかどこかで彼が煙草を咥えたままポケットを探っているのを見かけたら、
このジッポを掲げてこう言ってやるんだと決めている。
「左馬刻のバーカ!!」
「ンだと、クソガキ」
不意に背後から忘れられない声がする。
振り返ると、
髪がぐしゃぐしゃと撫でられて、腕の中に引き込まれる。
大きな手は乱暴でそれでもやっぱり優しくて、
ずっと求めていた彼の香りがした。
煙草の灰と一緒に涙がポタリと落ちた。
「また失くしたの?」
「ちげぇわ!ほらあれだ、ダッシュボードの中だ!」
「ブッブー、さっき事務所の机に忘れてたので私が持ってきました〜!」
えらいでしょ、彼のジッポを自慢気に高々と掲げる。
スパンッと頭を叩かれていとも容易くジッポが奪われる。
「持ってンなら最初からそう言え」
煙草の先に火がついて、ゆるりと紫煙が空へと昇る。
本当は煙草の煙は嫌い。
でもこれは落ち着く彼の匂いだ。
「ン、」
「何?」
目の前に差し出されるジッポ。
強引に握らされたソレはちょっぴり重たくて冷たい。
「どうせまた失くすから持ってろ」
「でもこれ左馬刻のお気に入りじゃん」
「煩ぇ」
「私が居ない時どうすんの」
「他ので付ける」
「え〜何それ〜〜」
不満を前面に押し出せば彼が面倒臭そうに煙を吐いて、燃える紅い瞳が私を射抜く。
「じゃあ、俺から離れなきゃいいだろ」
私が離れられないのを知っていて、そうやって笑うのは狡い。
体温が急に上がっていくのが分かる。
「そういうの狡い、」
「なぁに赤くなってんだよクソガキ」
「煩い!左馬刻のバーカ!!」
「ア゛ァン!?左馬刻サンだって言ってんだろクソガキが!」
「バーカ!左馬刻のバーカ!!」
私の髪をぐしゃぐしゃにする彼の手は少し乱暴で、いつも優しかった。
彼との関係はTDD解散と共にいとも簡単に途切れた。
サヨナラをした日、私はポケットに入れたままのジッポを握り締めて彼に投げつけてやろうかと思った。
私を捨てやがって!ジッポと同じで私の替えだって幾らでも居るんでしょう!?
そう言ってやりたかった。
でも、やめた。
煙草に火を付ける時、ジッポ探して何度も何度も私を思い出せばいい。
そう思って彼のジッポを頂戴した。
煙草に火を付ける。
使い慣れたジッポの重さは手に馴染んで、
嫌いだった煙草の煙にももう慣れた。
いつかどこかで彼が煙草を咥えたままポケットを探っているのを見かけたら、
このジッポを掲げてこう言ってやるんだと決めている。
「左馬刻のバーカ!!」
「ンだと、クソガキ」
不意に背後から忘れられない声がする。
振り返ると、
髪がぐしゃぐしゃと撫でられて、腕の中に引き込まれる。
大きな手は乱暴でそれでもやっぱり優しくて、
ずっと求めていた彼の香りがした。
煙草の灰と一緒に涙がポタリと落ちた。