🐰
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「では、あとは任せましたよ」
はい、と言う後輩の声を背中に受けて現場を切り上げた。
腹が減った。
ここ数日はやけに忙しく、家に帰ってもシャワーを浴びて仮眠を取り数時間後には出勤というお世辞にもホワイトとは言えない完全にブラックな生活を送っている。
食事をまともに摂る余裕も無く、コーヒーと栄養補助食品にお世話になりっぱなしである。
繁華街の外れを抜けて行く。
日付を跨ぐ少し前だが開いている店も多い。
漂う食べ物の香りに思わず釣られそうになる。
帰りにコンビニに寄るのも面倒だ。
この辺りで食べて行こうかという選択肢が頭を過る。
途端ぐにゃりと視界が歪む。
嗚呼、空腹の所為で視界が霞むなんて情け無い。
ふらつく身体を誰かが引っ張った。
「大丈夫ですか⁉︎」
「すみません、大丈夫です。目眩がしただけですから…」
私の身体を支えたのは7分丈のワイシャツと黒いタブリエを身に付けた若い女性だった。
彼女と目が合った瞬間、
タイミングが良いのか悪いのか腹の虫が鳴く。
「酔っ払い…ではなさそうですね。」
腹の虫の鳴き声を聞いた女性が申し訳無さそうに笑う。
「よろしければウチでご飯食べて行かれませんか?」
目線の先にある店が恐らく彼女の店なのだろう。店先の電気が落とされている所からして閉店作業の最中らしい。
「よろしいんですか?」
「ええ、シェフが帰ってしまったので賄い程度の簡単な物しか作れませんがそれでもよろしければ」
丁度私もお腹が空いたので。にこりと笑う彼女の言葉と空腹に負けて、彼女の言葉に甘える事にした。
木材を基調とした明るく暖かみのある、お洒落な雰囲気の店内。
オープンキッチンに一枚板のカウンターと奥にはテーブル席もあった。
カウンターに通された私は手袋を外しテーブルの隅へ置いて、出された温かいおしぼりで手を拭いた。
「いきなりだとお腹、びっくりしちゃうと思うのでまずはこれをどうぞ」
目の前に出されたのは色とりどりの野菜のサラダとクリームイエローのスープだった。
「本日のスープは自家製コーンポタージュです。」
ふわりと笑う彼女に見詰められながら、いただきますと手を合わせてスプーンで輝くスープを掬い口へと運ぶ。
「美味しい、」
思わず声が漏れた。
優しいコーンの甘さとまろやかな味わいが空っぽの胃に染みる。
彼女は嬉しそうに笑うとキッチンに向きなおり大きな鍋にパスタを1束入れた。
フライパンに油と潰したにんにく。
棚から取り出した様々な調味料を加えていく。そこに厚切りのベーコンを入れて炒めていく。溶け出した脂の香りに誘われて口内に唾液が溢れ出す。
トマト缶を加えて木べらで丁寧に潰していく。実に丁寧な仕事だ。
塩胡椒を加えて一煮立ち。
更にパスタを加えてよく絡ませる。
皿に山高に盛られたトマトソースのパスタ。
「チーズはお好きですか?」
彼女の問いに「えぇ、」とだけ答えた。
早く食べたい。
チーズグレーターで赤い山に白い雪を降らせた彼女は山頂にバジルを一枚のせて、私の目の前に皿を置く。
「お待たせ致しました。気紛れ店員のトマトスパゲッティです。」
「いただきます」
口の中に広がるトマトの甘味とベーコンの程良い塩気。
パスタの茹で加減はアルデンテ。
何もかもが最高だった。
夢中で皿を空にして、最後の一口はたっぷりと味わってから飲み込んだ。
「ご馳走様でした。とても美味しかったです。」
「喜んでいただけて良かったです。」
「それではお会計をお願いします。」
ポケットから財布を取り出す手を彼女が止める。
「お代は結構です。しがない店員の賄いメニューですので」
「いえ、そういう訳には行きません!」
彼女も中々引かずこれでは埒が明かないので一つ条件を付けて引き下がる事にした。
「…分かりました。今回はお言葉に甘えさせて頂きます。その代わり、貴女のお名前と連絡先を教えて頂けませんか?是非このお礼をさせて下さい。」
「分かりました。喜んで…!」
恥ずかしそうに笑う彼女と恋が始まるのはまた少し後の話。
《材料(二人前)》
パスタ…二束
トマト缶(カット)…1缶400g
にんにく…二かけ(チューブでも可)
鷹の爪…一本
ブロックベーコン…好きなだけ
コンソメキューブ…一つ
塩胡椒…適量
オリーブ油…大さじ5(ソース用)
オリーブ油…適量(パスタと絡める用)
粉チーズ…適量(トッピング)
バジル…お好みで
《作り方》
① たっぷりの湯に塩を入れてパスタを茹でる。(パスタの茹で上がりとソースの仕上げを同時にする。)
② にんにくをみじん切りにし、にんにくとオリーブ油をフライパンに入れて中火で炒める。
③ にんにくの香りが出たら鷹の爪を入れ、更にベーコンを加えてこんがり炒める。
④ トマト缶とコンソメキューブを入れて中火で軽く煮詰める。
⑤ 塩胡椒で味を整えてソースは完成。
⑥ ⑤のソースとパスタ、茹で汁、オリーブ油を加えて絡め、味を整える。
⑦ 粉チーズ・バジルをお好みでトッピングして完成。
・他の生ハーブや乾燥ハーブを加えても良い(多種使う際は少量ずつ)
・100gのパスタに対して1L以上の湯、1.1〜1.2%の塩がベスト。
・2〜4人前のソースです。腹ペコ兎さんの為に贅沢に使うも良し、みんなで分けるも良し。
はい、と言う後輩の声を背中に受けて現場を切り上げた。
腹が減った。
ここ数日はやけに忙しく、家に帰ってもシャワーを浴びて仮眠を取り数時間後には出勤というお世辞にもホワイトとは言えない完全にブラックな生活を送っている。
食事をまともに摂る余裕も無く、コーヒーと栄養補助食品にお世話になりっぱなしである。
繁華街の外れを抜けて行く。
日付を跨ぐ少し前だが開いている店も多い。
漂う食べ物の香りに思わず釣られそうになる。
帰りにコンビニに寄るのも面倒だ。
この辺りで食べて行こうかという選択肢が頭を過る。
途端ぐにゃりと視界が歪む。
嗚呼、空腹の所為で視界が霞むなんて情け無い。
ふらつく身体を誰かが引っ張った。
「大丈夫ですか⁉︎」
「すみません、大丈夫です。目眩がしただけですから…」
私の身体を支えたのは7分丈のワイシャツと黒いタブリエを身に付けた若い女性だった。
彼女と目が合った瞬間、
タイミングが良いのか悪いのか腹の虫が鳴く。
「酔っ払い…ではなさそうですね。」
腹の虫の鳴き声を聞いた女性が申し訳無さそうに笑う。
「よろしければウチでご飯食べて行かれませんか?」
目線の先にある店が恐らく彼女の店なのだろう。店先の電気が落とされている所からして閉店作業の最中らしい。
「よろしいんですか?」
「ええ、シェフが帰ってしまったので賄い程度の簡単な物しか作れませんがそれでもよろしければ」
丁度私もお腹が空いたので。にこりと笑う彼女の言葉と空腹に負けて、彼女の言葉に甘える事にした。
木材を基調とした明るく暖かみのある、お洒落な雰囲気の店内。
オープンキッチンに一枚板のカウンターと奥にはテーブル席もあった。
カウンターに通された私は手袋を外しテーブルの隅へ置いて、出された温かいおしぼりで手を拭いた。
「いきなりだとお腹、びっくりしちゃうと思うのでまずはこれをどうぞ」
目の前に出されたのは色とりどりの野菜のサラダとクリームイエローのスープだった。
「本日のスープは自家製コーンポタージュです。」
ふわりと笑う彼女に見詰められながら、いただきますと手を合わせてスプーンで輝くスープを掬い口へと運ぶ。
「美味しい、」
思わず声が漏れた。
優しいコーンの甘さとまろやかな味わいが空っぽの胃に染みる。
彼女は嬉しそうに笑うとキッチンに向きなおり大きな鍋にパスタを1束入れた。
フライパンに油と潰したにんにく。
棚から取り出した様々な調味料を加えていく。そこに厚切りのベーコンを入れて炒めていく。溶け出した脂の香りに誘われて口内に唾液が溢れ出す。
トマト缶を加えて木べらで丁寧に潰していく。実に丁寧な仕事だ。
塩胡椒を加えて一煮立ち。
更にパスタを加えてよく絡ませる。
皿に山高に盛られたトマトソースのパスタ。
「チーズはお好きですか?」
彼女の問いに「えぇ、」とだけ答えた。
早く食べたい。
チーズグレーターで赤い山に白い雪を降らせた彼女は山頂にバジルを一枚のせて、私の目の前に皿を置く。
「お待たせ致しました。気紛れ店員のトマトスパゲッティです。」
「いただきます」
口の中に広がるトマトの甘味とベーコンの程良い塩気。
パスタの茹で加減はアルデンテ。
何もかもが最高だった。
夢中で皿を空にして、最後の一口はたっぷりと味わってから飲み込んだ。
「ご馳走様でした。とても美味しかったです。」
「喜んでいただけて良かったです。」
「それではお会計をお願いします。」
ポケットから財布を取り出す手を彼女が止める。
「お代は結構です。しがない店員の賄いメニューですので」
「いえ、そういう訳には行きません!」
彼女も中々引かずこれでは埒が明かないので一つ条件を付けて引き下がる事にした。
「…分かりました。今回はお言葉に甘えさせて頂きます。その代わり、貴女のお名前と連絡先を教えて頂けませんか?是非このお礼をさせて下さい。」
「分かりました。喜んで…!」
恥ずかしそうに笑う彼女と恋が始まるのはまた少し後の話。
《材料(二人前)》
パスタ…二束
トマト缶(カット)…1缶400g
にんにく…二かけ(チューブでも可)
鷹の爪…一本
ブロックベーコン…好きなだけ
コンソメキューブ…一つ
塩胡椒…適量
オリーブ油…大さじ5(ソース用)
オリーブ油…適量(パスタと絡める用)
粉チーズ…適量(トッピング)
バジル…お好みで
《作り方》
① たっぷりの湯に塩を入れてパスタを茹でる。(パスタの茹で上がりとソースの仕上げを同時にする。)
② にんにくをみじん切りにし、にんにくとオリーブ油をフライパンに入れて中火で炒める。
③ にんにくの香りが出たら鷹の爪を入れ、更にベーコンを加えてこんがり炒める。
④ トマト缶とコンソメキューブを入れて中火で軽く煮詰める。
⑤ 塩胡椒で味を整えてソースは完成。
⑥ ⑤のソースとパスタ、茹で汁、オリーブ油を加えて絡め、味を整える。
⑦ 粉チーズ・バジルをお好みでトッピングして完成。
・他の生ハーブや乾燥ハーブを加えても良い(多種使う際は少量ずつ)
・100gのパスタに対して1L以上の湯、1.1〜1.2%の塩がベスト。
・2〜4人前のソースです。腹ペコ兎さんの為に贅沢に使うも良し、みんなで分けるも良し。