次々に上がる花火。
今年最後の夏の花火大会は澄んだ空の下行われた。
「理鶯さんのベースキャンプから花火が見えるなんて最高ですね！」
木々を揺らす風は少しひんやりとしていて、ふわりと笑う彼女が何気無く身を震わせる。「小官の上着を着るといい」
脱いだジャケットを彼女の肩に掛ける。
「ありがとうございます」
「うむ」
りおーさんの匂いがします、恥ずかしそうに笑う彼女。
その無防備さがたまらなく愛おしい。

「理鶯さん、」
熱を孕んだ視線が絡む。
3秒間、
沈黙を破る様に一際艶やかな銀冠が夜空に咲いた。

「 」

彼女の薄い桜色の唇が何か呟いた。
「ん、今何と言った？」
「ごめんなさい、なんでもないです！」
誤魔化す様にはにかんだ彼女は耳まで赤くなっていた。
その姿さえ愛おしくて、引寄せて唇を奪う。
「すまない、ちゃんと聞こえていた」
「へ、」
瞳をまあるくして驚く彼女の肩を抱いて耳元でそっと囁く。
「小官も〇〇を愛している」
ドンッ、と高鳴ったのは花火と彼女の心臓どちらだろうか。