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見慣れた名前が液晶画面に浮かんで、ワンコールで切れる着信。
これが逢瀬の合図。
どちらともなく決まった暗黙の了解みたいなもの。
財布とスマホの入った鞄だけを持って家を出る。
タクシーで彼の元へ向かえばベッドで煙草をふかしていた。
「あれ、ちょっとやつれました?」
「寝れねぇンだよ」
彼の紅い瞳の下に薄らと出来た隈に触れる。
煙草の火を消した彼の腕が伸びてきて頰を撫でる私の手首を掴んでベッドに引き込まれる。
「ちょ、左馬刻さんッ!」
「うるせェ…」
柔らかなベッドに沈みながら彼の燃える紅の瞳と薄暗い天井を仰ぐ。
腰をがっちりと掴まれて彼の腕の中にホールドされる。
「逃げんなよ、」
甘噛みされた耳に吹き込まれる彼の掠れた低い声。
腕の中で大人しくしていれば小さな寝息が聞こえだす。
眠りの浅い彼は私がこの腕から抜け出せばすぐに目を覚ますだろう。
嗚呼、そうか。
お盆が終わったんだ。
そういえば妹さんとご両親のお墓参りに行くと聞いていた。
目の下が少し赤い。
きっと、昔の夢を見て魘されて眠れなかったのだろう。
誰にも知られず夢の中で泣いたのかも知れない。
「逃げたりなんてしないのに」
彼は失うのを無意識に怖がっているように思える。
唯一の家族である妹さん、MTCのメンバー…私も彼の失いたくないものの一つで居られるだろうか。
小さな寝息を立てる彼の眉間には皺が刻まれていて、そっと撫でれば皺は消えた。
これ以上、彼が大切なものを失いませんように。ここが彼にとって安らげる優しい場所でありますように。
そう願いながら彼の胸に顔を埋めて瞼を閉じた。
これが逢瀬の合図。
どちらともなく決まった暗黙の了解みたいなもの。
財布とスマホの入った鞄だけを持って家を出る。
タクシーで彼の元へ向かえばベッドで煙草をふかしていた。
「あれ、ちょっとやつれました?」
「寝れねぇンだよ」
彼の紅い瞳の下に薄らと出来た隈に触れる。
煙草の火を消した彼の腕が伸びてきて頰を撫でる私の手首を掴んでベッドに引き込まれる。
「ちょ、左馬刻さんッ!」
「うるせェ…」
柔らかなベッドに沈みながら彼の燃える紅の瞳と薄暗い天井を仰ぐ。
腰をがっちりと掴まれて彼の腕の中にホールドされる。
「逃げんなよ、」
甘噛みされた耳に吹き込まれる彼の掠れた低い声。
腕の中で大人しくしていれば小さな寝息が聞こえだす。
眠りの浅い彼は私がこの腕から抜け出せばすぐに目を覚ますだろう。
嗚呼、そうか。
お盆が終わったんだ。
そういえば妹さんとご両親のお墓参りに行くと聞いていた。
目の下が少し赤い。
きっと、昔の夢を見て魘されて眠れなかったのだろう。
誰にも知られず夢の中で泣いたのかも知れない。
「逃げたりなんてしないのに」
彼は失うのを無意識に怖がっているように思える。
唯一の家族である妹さん、MTCのメンバー…私も彼の失いたくないものの一つで居られるだろうか。
小さな寝息を立てる彼の眉間には皺が刻まれていて、そっと撫でれば皺は消えた。
これ以上、彼が大切なものを失いませんように。ここが彼にとって安らげる優しい場所でありますように。
そう願いながら彼の胸に顔を埋めて瞼を閉じた。