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「タバコ、112番。」
それ以外の言葉を話しているのを聞いた事がない。
最近夜によくやって来る、夜の闇には馴染まない白い髪と白い肌のお兄さん。
噂によればヤのつくお仕事をしているらしい。
いつも眉間に皺を寄せている。少し怖いけれど怒鳴られる訳でもないし、他のお客への対応と同じ。
愛想良く笑顔で接客をする。
今日もいつものタバコ。
すぐに失くしてしまうのか割と頻繁にライターを買って行く。
「何がいい」
「へ?」
思わず顔をあげる。彼がレジ横のドリンクを指差していた。
「何が好きかって聞いてんだよ」
「こ、コーラ…」
咄嗟に目に入った物を言ってしまった。
300mlのコーラがカウンターに置かれる。
ジーンズのポケットからマネークリップにまとめられた札束を出して千円札を一枚差し出される。
「袋に入れますか?」
「いや、いい」
お釣りを受け取った彼の骨太で頑丈そうな指先がコーラのキャップを掴み私の前に置かれた。
「え、あの、」
「やる。」
カウンターに置かれたコーラを受け取る。
何故私はヤクザのお兄さんに飲み物を奢って貰っているのだろう…?
「あ、ありがとうございます」
「ンな身構えんなよ、別になんかして貰おうって話じゃねぇ。ただの労いだ。」
くくく、と笑いをかみ殺すように彼の喉がなる。
「お疲れさん」
手をひらひらと振りながら出て行くお兄さんの背中に「ありがとうございました!」と慌ててお礼を言った。
「あの人、笑うんだ」
隣のレジにいた先輩がぽつりと呟いた。
「はい…笑って、ましたね…」
呆気に取られた私の脳裏には不意に笑った彼の顔が焼き付いて離れない。
この胸の高鳴りは一体何だろう?
バイト終わりに飲んだ水滴まみれのコーラはぬるく、夏の夜の暑さみたいに炭酸の刺激と甘ったるさだけが口内に残った。
それ以外の言葉を話しているのを聞いた事がない。
最近夜によくやって来る、夜の闇には馴染まない白い髪と白い肌のお兄さん。
噂によればヤのつくお仕事をしているらしい。
いつも眉間に皺を寄せている。少し怖いけれど怒鳴られる訳でもないし、他のお客への対応と同じ。
愛想良く笑顔で接客をする。
今日もいつものタバコ。
すぐに失くしてしまうのか割と頻繁にライターを買って行く。
「何がいい」
「へ?」
思わず顔をあげる。彼がレジ横のドリンクを指差していた。
「何が好きかって聞いてんだよ」
「こ、コーラ…」
咄嗟に目に入った物を言ってしまった。
300mlのコーラがカウンターに置かれる。
ジーンズのポケットからマネークリップにまとめられた札束を出して千円札を一枚差し出される。
「袋に入れますか?」
「いや、いい」
お釣りを受け取った彼の骨太で頑丈そうな指先がコーラのキャップを掴み私の前に置かれた。
「え、あの、」
「やる。」
カウンターに置かれたコーラを受け取る。
何故私はヤクザのお兄さんに飲み物を奢って貰っているのだろう…?
「あ、ありがとうございます」
「ンな身構えんなよ、別になんかして貰おうって話じゃねぇ。ただの労いだ。」
くくく、と笑いをかみ殺すように彼の喉がなる。
「お疲れさん」
手をひらひらと振りながら出て行くお兄さんの背中に「ありがとうございました!」と慌ててお礼を言った。
「あの人、笑うんだ」
隣のレジにいた先輩がぽつりと呟いた。
「はい…笑って、ましたね…」
呆気に取られた私の脳裏には不意に笑った彼の顔が焼き付いて離れない。
この胸の高鳴りは一体何だろう?
バイト終わりに飲んだ水滴まみれのコーラはぬるく、夏の夜の暑さみたいに炭酸の刺激と甘ったるさだけが口内に残った。