熱があっても無理するタイプ
弟達を普通に送り出して、家事を済ませて、軽い依頼もこなして…
（やっぱしんどいな…）
体温が上がるのを感じつつ、怠い身体を引きずって夕飯の買い物を済ませた所に🚺と遭遇する。
「あれ？いちくん？」
「お〜、〇〇じゃねぇか…」
普通に会話をしているつもりが段々と意識が朦朧としだす。
「ちょっと、一郎？具合悪いの？」
「あー、ちょっとな…疲れてんのかなぁ」
空元気でニコニコ笑って見せるけど、顔は赤いし辛そうなの丸わかりで🚺に付き添われて自宅に帰る。
夕食の支度は彼女がしてくれると言うのでそれに甘えて自室で休む事に。
「はい、スポドリ持って。じろちゃんさぶちゃんは私が見てるから心配しないで早く休んで？何かあったら呼んでね」
「ごめんな、本当助かるわ。お前に移ったら困るから部屋には来なくていいからな？」
心配そうな顔をする彼女の頭を撫でて自室に戻る。ベッドに横になった途端に気が抜けたのか身体は怠いし頭は痛い。
（〇〇が居て助かったな…）
弟達が帰って居ない静かな自宅に1人で居たらきっとなんとも言えない不安感に襲われていただろうな…熱があるとはいえ、
「まだ、弱ぇな…俺…」

そのまま眠ってしまっていたようで窓の外はだいぶ暗くなっていた。
部屋のドアがそっと開いて、ふわりと漂う優しい香り。
「〇〇…？移るから来なくていいって言ったろ？」
「ごめん、心配だったから。起こしちゃった…？」
「いや、さっき起きた」
「熱は？」
テキパキと体温計を差し込んで、解熱シートを取り換えてくれる🚺。
「熱、ちょっと下がったね。よかった…お粥作ったけど食べられる？」
「くう…」
健気に看病をしてくれる彼女にキュンとして、たまには熱のせいにして甘えてもいいかな…と餌を待つ雛鳥みたいに口を開けてみる。
「え…私が食べさせるの？」
「…ダメか？」
「特別だからね」
仕方ないなぁ、と笑う彼女。
珍しく甘えてくる彼の姿にまんざらでもない様子。

いっぱい寝て、翌日には完全復活するよ。