2️⃣
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目を覚ますと目の前には真っ白な天井。
寝惚けた頭でここは何処かと考える。
自分の家では無い全く見知らぬ場所だ。
覚醒しない脳味噌。
ふわりと甘い香りがして自分の腕の中を見ると、俺の腕にすっぽりと収まり眠っている彼女。
「は?え、な……⁉︎どわっ⁉︎」
驚いて退いて、そこがベッドの上だったと気付いた時にはもう遅く俺はケツから床に落下した。
「いってぇ」
物音で目を覚ました彼女がふわふわと定まらない視線で辺りを見回す。
「え…ここどこ?」
ベッド傍に落ちていた俺に彼女が驚くまでのテンプレートを終えて、2人で部屋を隈なく調べる事にした。
「クッソ、開かねぇ‼︎」
小さな部屋にはベッドとテーブルがひとつずつ。
テーブルに置かれた時計の様な物は左が赤、右が青い数字で00と表示されているだけで一向に進まない。
窓は無く外の様子を窺うことも出来ずここが何処かさえ分からない。
唯一の出入り口となる真っ白なドアは押しても引いても開くことはなく完全なる密室だった。
「どうなってるの?」
揺らぐ彼女の瞳は不安の色が濃くなっていく。
「大丈夫、絶対ここから出してやるから」
彼女の手を握って、先程からひとつだけ思い当たる節があるがそれを口に出せずにいた。
(これはもしや…兄ちゃんの同人誌で読んだセッ…しないと出られない部屋⁉︎)
いや、ヤバいだろう。
そりゃあ、年頃だしそういう事に興味が無い訳がない。
にしたって、ヤバい。
二郎が煩悩と闘っている間に、彼女が枕の下から白い封筒を発見した。
「二郎、これ何だろう?」
「え、ちょっ!俺が開ける‼︎」
慌てるも時すでに遅し。
封筒を開封して中身を確認した彼女の耳がみるみる赤くなっていく。
(お、遅かった…)
「〇〇…なんて、書いてあった…?」
ごくり、生唾を飲む音が脳内に響いて期待と不安に胸が高鳴る。
「えっと、《山田二郎誕生日企画‼︎ お互いの好きな所18個言わないと出られない部屋》…だって」
「はぁ⁉︎」
拍子抜けしてしまい思わず声が裏返る。
(誕生日企画ってなんだよ‼︎意味わかんねぇ‼︎…でも、セッ…とか書かれてなくて良かったぁ〜〜‼︎ハジメテがこんなタイミングとか最悪過ぎんだろ!)
「どうしよう、無理だよ」
「いや、簡単だろ!」
最悪の事態を考えていた二郎からすれば提示されたお題は簡単なものに思えてきた。そして、この企画とやらが誰によって仕込まれたものなのかすら今はもうどうでもよくなっていた。
それとは反対に混乱の最中にいる彼女からすればこのお題は難しい以上に、羞恥が伴うものだった。
「だって恥ずかしい…」
「そういう所ぉ‼︎」
カチリ。
「「え?」」
何かが動く音がした。
音の正体はテーブルに置かれた時計の様なものの様で、青い数字が0から1に変わっていた。
「何?」
「数字増えてねぇ?」
試しに一つ彼女の好きな所を言ってみるとカチリ、数字が1から2に変わる。
時計の様な物はカウンターだったようで、青い数字が二郎。赤は彼女のカウントになるようだ。
(2って事はさっきの「そういう所」も好きな部分に含まれたのか?)
「これ、カウントになってんのか。ほら〇〇も早く言えって」
「え、えっと…」
彼女の顔がどんどんと赤くなっていく。
「かっ」
「か?」
「…カッコいいところ」
羞恥に潤んだ瞳がこちらを射抜く。
「うぐっ、ッ次は俺な!」
(これ、攻撃力高すぎンだろ⁉︎⁉︎)
それからどれ位の時間が経っただろうか。
お互いに普段口にしない好きな部分を晒し晒され、もう精神的には瀕死状態だった。
カウントは赤い数字11が、青が17…
順番に言い合っているにも関わらず、時々彼女が泣きそうな顔で「パス」なんて言うものだから中々進まない。
「いつも一生懸命頑張ってるところ」
青の数字が18になってピカピカと点滅を繰り返し課題クリアを示しているようだ。
「ほら俺言い切ったぞ?」
「〜〜狡い」
「ズルくねぇって、順番に言い合っただろ」
真っ赤な顔で瞳を潤ませて、今にも泣きそうな彼女の手を握って柔らかな手の甲を撫でる。
「〇〇、頑張れって後5つ出せば終わりだぞ」
「笑わない?」
「笑わないって」
覚悟を決めたのか彼女が深呼吸をひとつ。
「ほ、黒子がえっち。…優しい。…なんやかんやで兄弟大好き。手を繋いでくれる。おしゃれさん。困ってる人を放って置けないトコ。記念日を時々忘れちゃうトコ。いつも車道側歩いてくれる…。私の事好きって言ってくれるトコ」
「ちょっ、それ狡いって…!てか18個超えてるし」
ピカピカ光る赤い数字は20を示して。
「だって、二郎の事大好きなんだもん…18個になんて絞り切れない」
「は⁉︎…もしかして、悩んでたのそんな理由?」
「…うん」
真っ赤な顔で上目遣い。
恥ずかしそうに返事をする彼女に、ふざけんなよぉ〜、と冗談めいた言葉さえ出ない位に彼女の会心の一撃は見事二郎の心にクリティカルヒットした。
ガチャリ、
鍵の開く様な音がして、ドアノブを回すと先程はびくともしなかった扉が開いた。
ぐにゃり、
白い光に包まれて、意識が段々と遠退いて行く…
目を覚ますと目の前には古びた天井。
寝惚けた頭でも分かる。
ここは自分の家、自室の天井だ。
「は?え、な?〇〇はッ……⁉︎どわっ⁉︎」
そこがベッドの上だったと気付いた時にはもう遅く俺はケツから床に落下した。
「いってぇ」
物音で目を覚ました彼女がふわふわと定まらない視線で辺りを見回す。
「え…あれ…?」
ベッド傍に落ちていた俺に彼女が驚くまでのテンプレート(2度目)を終えて、2人は顔を見合わせる。
「え、夢?」
「…お前も夢見てたのか?」
「うん、なんか真っ白な部屋で…」
彼女が語る夢はさっき自分が体験した事と寸分違わぬものだった。
「お互いの好きな所18個言わないと出られない部屋…」
彼女の顔が赤くなって行く…今日何度目の光景だろうか。
それでも心臓が強い脈を打つ。
「夢?だったのか?」
「夢…なのかな?」
2人の間に沈黙が生まれる。
夢か現実か定かではないがお互いの好きな部分を言い合ったのだ、なんとなく気恥ずかしい。
「二郎ォ!飯出来たぞ〜〜‼︎早く降りてこ〜い!」
その沈黙を破る様に階段下から兄である山田一郎の声が響く。
「ひゃい!す、すぐ行くよ‼︎ほら、〇〇行くぞ」
「う、うん」
差し出された二郎の手を彼女の小さな手が掴んで、2人並んで階段を降りていく。
「二郎、お誕生日おめでとう…だ、大好き」
不意に階段を下る背中に彼女から祝福と愛の言葉が降ってくる。
「俺も、大好き」
彼女の柔い唇にキスをする。
上段にいる彼女との身長差はほぼゼロだった。
「早く行かないと怒られちゃうよ!」
照れ隠しの様に腰に回された二郎の腕をやんわりと押す彼女の手をもう一度掴んで、真っ赤な顔で食卓へと向かう。
「…悪ぃ、邪魔しちまったか?」「その緩み切った顔はなんだよ、低脳‼︎」と兄弟達に茶化されるまで、あと3秒…
寝惚けた頭でここは何処かと考える。
自分の家では無い全く見知らぬ場所だ。
覚醒しない脳味噌。
ふわりと甘い香りがして自分の腕の中を見ると、俺の腕にすっぽりと収まり眠っている彼女。
「は?え、な……⁉︎どわっ⁉︎」
驚いて退いて、そこがベッドの上だったと気付いた時にはもう遅く俺はケツから床に落下した。
「いってぇ」
物音で目を覚ました彼女がふわふわと定まらない視線で辺りを見回す。
「え…ここどこ?」
ベッド傍に落ちていた俺に彼女が驚くまでのテンプレートを終えて、2人で部屋を隈なく調べる事にした。
「クッソ、開かねぇ‼︎」
小さな部屋にはベッドとテーブルがひとつずつ。
テーブルに置かれた時計の様な物は左が赤、右が青い数字で00と表示されているだけで一向に進まない。
窓は無く外の様子を窺うことも出来ずここが何処かさえ分からない。
唯一の出入り口となる真っ白なドアは押しても引いても開くことはなく完全なる密室だった。
「どうなってるの?」
揺らぐ彼女の瞳は不安の色が濃くなっていく。
「大丈夫、絶対ここから出してやるから」
彼女の手を握って、先程からひとつだけ思い当たる節があるがそれを口に出せずにいた。
(これはもしや…兄ちゃんの同人誌で読んだセッ…しないと出られない部屋⁉︎)
いや、ヤバいだろう。
そりゃあ、年頃だしそういう事に興味が無い訳がない。
にしたって、ヤバい。
二郎が煩悩と闘っている間に、彼女が枕の下から白い封筒を発見した。
「二郎、これ何だろう?」
「え、ちょっ!俺が開ける‼︎」
慌てるも時すでに遅し。
封筒を開封して中身を確認した彼女の耳がみるみる赤くなっていく。
(お、遅かった…)
「〇〇…なんて、書いてあった…?」
ごくり、生唾を飲む音が脳内に響いて期待と不安に胸が高鳴る。
「えっと、《山田二郎誕生日企画‼︎ お互いの好きな所18個言わないと出られない部屋》…だって」
「はぁ⁉︎」
拍子抜けしてしまい思わず声が裏返る。
(誕生日企画ってなんだよ‼︎意味わかんねぇ‼︎…でも、セッ…とか書かれてなくて良かったぁ〜〜‼︎ハジメテがこんなタイミングとか最悪過ぎんだろ!)
「どうしよう、無理だよ」
「いや、簡単だろ!」
最悪の事態を考えていた二郎からすれば提示されたお題は簡単なものに思えてきた。そして、この企画とやらが誰によって仕込まれたものなのかすら今はもうどうでもよくなっていた。
それとは反対に混乱の最中にいる彼女からすればこのお題は難しい以上に、羞恥が伴うものだった。
「だって恥ずかしい…」
「そういう所ぉ‼︎」
カチリ。
「「え?」」
何かが動く音がした。
音の正体はテーブルに置かれた時計の様なものの様で、青い数字が0から1に変わっていた。
「何?」
「数字増えてねぇ?」
試しに一つ彼女の好きな所を言ってみるとカチリ、数字が1から2に変わる。
時計の様な物はカウンターだったようで、青い数字が二郎。赤は彼女のカウントになるようだ。
(2って事はさっきの「そういう所」も好きな部分に含まれたのか?)
「これ、カウントになってんのか。ほら〇〇も早く言えって」
「え、えっと…」
彼女の顔がどんどんと赤くなっていく。
「かっ」
「か?」
「…カッコいいところ」
羞恥に潤んだ瞳がこちらを射抜く。
「うぐっ、ッ次は俺な!」
(これ、攻撃力高すぎンだろ⁉︎⁉︎)
それからどれ位の時間が経っただろうか。
お互いに普段口にしない好きな部分を晒し晒され、もう精神的には瀕死状態だった。
カウントは赤い数字11が、青が17…
順番に言い合っているにも関わらず、時々彼女が泣きそうな顔で「パス」なんて言うものだから中々進まない。
「いつも一生懸命頑張ってるところ」
青の数字が18になってピカピカと点滅を繰り返し課題クリアを示しているようだ。
「ほら俺言い切ったぞ?」
「〜〜狡い」
「ズルくねぇって、順番に言い合っただろ」
真っ赤な顔で瞳を潤ませて、今にも泣きそうな彼女の手を握って柔らかな手の甲を撫でる。
「〇〇、頑張れって後5つ出せば終わりだぞ」
「笑わない?」
「笑わないって」
覚悟を決めたのか彼女が深呼吸をひとつ。
「ほ、黒子がえっち。…優しい。…なんやかんやで兄弟大好き。手を繋いでくれる。おしゃれさん。困ってる人を放って置けないトコ。記念日を時々忘れちゃうトコ。いつも車道側歩いてくれる…。私の事好きって言ってくれるトコ」
「ちょっ、それ狡いって…!てか18個超えてるし」
ピカピカ光る赤い数字は20を示して。
「だって、二郎の事大好きなんだもん…18個になんて絞り切れない」
「は⁉︎…もしかして、悩んでたのそんな理由?」
「…うん」
真っ赤な顔で上目遣い。
恥ずかしそうに返事をする彼女に、ふざけんなよぉ〜、と冗談めいた言葉さえ出ない位に彼女の会心の一撃は見事二郎の心にクリティカルヒットした。
ガチャリ、
鍵の開く様な音がして、ドアノブを回すと先程はびくともしなかった扉が開いた。
ぐにゃり、
白い光に包まれて、意識が段々と遠退いて行く…
目を覚ますと目の前には古びた天井。
寝惚けた頭でも分かる。
ここは自分の家、自室の天井だ。
「は?え、な?〇〇はッ……⁉︎どわっ⁉︎」
そこがベッドの上だったと気付いた時にはもう遅く俺はケツから床に落下した。
「いってぇ」
物音で目を覚ました彼女がふわふわと定まらない視線で辺りを見回す。
「え…あれ…?」
ベッド傍に落ちていた俺に彼女が驚くまでのテンプレート(2度目)を終えて、2人は顔を見合わせる。
「え、夢?」
「…お前も夢見てたのか?」
「うん、なんか真っ白な部屋で…」
彼女が語る夢はさっき自分が体験した事と寸分違わぬものだった。
「お互いの好きな所18個言わないと出られない部屋…」
彼女の顔が赤くなって行く…今日何度目の光景だろうか。
それでも心臓が強い脈を打つ。
「夢?だったのか?」
「夢…なのかな?」
2人の間に沈黙が生まれる。
夢か現実か定かではないがお互いの好きな部分を言い合ったのだ、なんとなく気恥ずかしい。
「二郎ォ!飯出来たぞ〜〜‼︎早く降りてこ〜い!」
その沈黙を破る様に階段下から兄である山田一郎の声が響く。
「ひゃい!す、すぐ行くよ‼︎ほら、〇〇行くぞ」
「う、うん」
差し出された二郎の手を彼女の小さな手が掴んで、2人並んで階段を降りていく。
「二郎、お誕生日おめでとう…だ、大好き」
不意に階段を下る背中に彼女から祝福と愛の言葉が降ってくる。
「俺も、大好き」
彼女の柔い唇にキスをする。
上段にいる彼女との身長差はほぼゼロだった。
「早く行かないと怒られちゃうよ!」
照れ隠しの様に腰に回された二郎の腕をやんわりと押す彼女の手をもう一度掴んで、真っ赤な顔で食卓へと向かう。
「…悪ぃ、邪魔しちまったか?」「その緩み切った顔はなんだよ、低脳‼︎」と兄弟達に茶化されるまで、あと3秒…