2️⃣
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ドアを開けると美味しそうな匂い。
兄ちゃんが帰って来ているのかと嬉しくなって足元に兄ちゃんの靴を探す。
兄ちゃんの靴は今日も無かった。代わりに玄関に揃えて置かれた淡い桜色のパンプス。
高校に上がった兄ちゃんは高校の友達やTDDの奴らとつるむ様になって、家を空ける事が多くなった。俺や三郎が学校に行っている時間に帰って来て、また数日家を空けるなんてのが日常になりつつある。
美味しそうな匂いが漂う台所を覗くと〇〇姉が居た。
「二郎君おかえり、ごはん出来てるよ」
「〇〇姉ぇ」
「手洗っておいで」
「うん」
制服を脱いで部屋着に着替え洗面所で手洗いを済ませて台所へ戻る。
エプロン姿で我が家の台所に立つ彼女は昔から家族ぐるみで良くしてもらっている隣の家の少し歳の離れた姉ちゃん。家を空けがちな兄の代わりに家に来て時々家事をしてくれる。俺と三郎にとっては本当の姉の様な存在だ。
「口の横切れてる。また喧嘩したの?」
「別に」
「そ、絆創膏貼ってあげようか?」
俺の頬を悪戯っぽい笑顔を浮かべながら撫でる、彼女に俺は恋をしている。
「子ども扱いすんなし!そん位自分で出来る!」
「はいはい、ごめんね」
いつまでも子供扱いをして俺を男としては見てくれない彼女。
たぶん彼女は兄ちゃんの事が好きだ。
俺が神と崇める兄に俺が敵う筈がないのは分かっているし、何よりどこぞの男に彼女を取られる位なら兄と幸せになってくれた方がずっといい。
「〇〇姉、おやすみなさい」
「三郎くん、お兄ちゃんにおやすみは?」
「・・・二郎、おやすみ」
「「おやすみ」」
兄ちゃんが居ない、俺と三郎と彼女の三人の食卓はいつも通りだった。
就寝時間が早い三郎が先に風呂へ入って自室へと戻り、俺と彼女で食事の後片付けをする。
俺が濯いだ皿を〇〇姉が拭いていく。
〇〇姉は小さい。隣に並ぶと俺の肩の辺りに〇〇姉の頭の天辺が来る。
身長は高校に上がる前に越してしまったし、手だって男の俺の方が大きい。
若い彼女を本当の家族でもない俺達がこの家に縛り付けている。ずっとそんな気がしていた。
「〇〇姉、」
「ん?」
「俺達の世話ばっかりしてていいの?」
「なんで?」
不思議そうな顔をして小首を傾げた彼女が俺を見詰める。
「別に兄ちゃんが帰って来なくても、俺だって飯作れるし。それに〇〇姉が婚期逃すんじゃねぇかと思って」
「私の婚期の心配よりも自分の成績を心配しなさい!」
「痛ッ!」
ぺちりと音を立てて俺の肩を叩く彼女が頬を膨らませてワザとらしく怒っているというポーズをとる。
「別に嫌々ここに来てる訳じゃないよ。三人の事大好きだし、子供を守るのは大人の役目だから」
「だから子供扱いすんなし」
「まだまだ、学生のうちは子供ですよ。二郎くんも三郎くんも、もちろん一郎もまだ子供!子供は大人に甘えればいいの。あれがしたい、これがしたい!って」
大人になったら甘える事なんて出来ないんだから、そう言う〇〇姉が悲しそうに笑うから何も言えなくなってしまう。
「だから二郎も我儘言って良いんだよ?」
おどけて見せる彼女にちょっとだけ甘えてみたくなってしまった。
男として見て欲しい俺がいつもなら言わない言葉がポロリと零れる。
「じゃあさ、〇〇姉・・・ギュッてしていい?」
「え?」
きょとんとした顔でこちらを見上げる彼女の顔を見て、自分の言った事の恥ずかしさに顔が赤くなっていくのが分かる。
「あ、ぅ嘘!!なんでもねぇから忘れて!!」
「いいよ、」
そう言って引き寄せられたのは彼女の細い腕の中で、洗い物の最中で手の濡れた俺は抵抗が出来ない。
「ほら、ギュ~~ッ!!」
「え、ちょっ、待って!!〇〇姉!苦しい!!」
彼女の腕の中でもがく程、俺を包み込む力が強くなって、思春期真っ只中の俺は顔に当たる胸の柔らかさを嫌でも意識してしまい心臓が口から飛び出そうになる。
抵抗するのを止めて頭を撫でてくれる優しい彼女の体温に恥ずかしさを覚えながら、俺は早く大人になりたいと思った。
大人になって働いて金を稼ぎたい。そうすれば兄ちゃんを支える事が出来るし、きっと彼女もこんな風に俺を子ども扱いしなくなる。
甘えるのが下手くそで悲しそうに笑う彼女の事を本当は俺が抱きしめてやりたかった。
本当の弟みたいに可愛がっている俺がこの気持ちを打ち明けたら、彼女はどんな顔をするだろうか。
きっと、俺を傷付けないように困った顔で優しく笑ってみせるのだろう。
彼女を困らせたくはないし、俺が困らせるくらいなら好きな男の横で笑っていて欲しいから、この胸のモヤモヤはそっと胸の内側に隠しておくことにした。
兄ちゃんが帰って来ているのかと嬉しくなって足元に兄ちゃんの靴を探す。
兄ちゃんの靴は今日も無かった。代わりに玄関に揃えて置かれた淡い桜色のパンプス。
高校に上がった兄ちゃんは高校の友達やTDDの奴らとつるむ様になって、家を空ける事が多くなった。俺や三郎が学校に行っている時間に帰って来て、また数日家を空けるなんてのが日常になりつつある。
美味しそうな匂いが漂う台所を覗くと〇〇姉が居た。
「二郎君おかえり、ごはん出来てるよ」
「〇〇姉ぇ」
「手洗っておいで」
「うん」
制服を脱いで部屋着に着替え洗面所で手洗いを済ませて台所へ戻る。
エプロン姿で我が家の台所に立つ彼女は昔から家族ぐるみで良くしてもらっている隣の家の少し歳の離れた姉ちゃん。家を空けがちな兄の代わりに家に来て時々家事をしてくれる。俺と三郎にとっては本当の姉の様な存在だ。
「口の横切れてる。また喧嘩したの?」
「別に」
「そ、絆創膏貼ってあげようか?」
俺の頬を悪戯っぽい笑顔を浮かべながら撫でる、彼女に俺は恋をしている。
「子ども扱いすんなし!そん位自分で出来る!」
「はいはい、ごめんね」
いつまでも子供扱いをして俺を男としては見てくれない彼女。
たぶん彼女は兄ちゃんの事が好きだ。
俺が神と崇める兄に俺が敵う筈がないのは分かっているし、何よりどこぞの男に彼女を取られる位なら兄と幸せになってくれた方がずっといい。
「〇〇姉、おやすみなさい」
「三郎くん、お兄ちゃんにおやすみは?」
「・・・二郎、おやすみ」
「「おやすみ」」
兄ちゃんが居ない、俺と三郎と彼女の三人の食卓はいつも通りだった。
就寝時間が早い三郎が先に風呂へ入って自室へと戻り、俺と彼女で食事の後片付けをする。
俺が濯いだ皿を〇〇姉が拭いていく。
〇〇姉は小さい。隣に並ぶと俺の肩の辺りに〇〇姉の頭の天辺が来る。
身長は高校に上がる前に越してしまったし、手だって男の俺の方が大きい。
若い彼女を本当の家族でもない俺達がこの家に縛り付けている。ずっとそんな気がしていた。
「〇〇姉、」
「ん?」
「俺達の世話ばっかりしてていいの?」
「なんで?」
不思議そうな顔をして小首を傾げた彼女が俺を見詰める。
「別に兄ちゃんが帰って来なくても、俺だって飯作れるし。それに〇〇姉が婚期逃すんじゃねぇかと思って」
「私の婚期の心配よりも自分の成績を心配しなさい!」
「痛ッ!」
ぺちりと音を立てて俺の肩を叩く彼女が頬を膨らませてワザとらしく怒っているというポーズをとる。
「別に嫌々ここに来てる訳じゃないよ。三人の事大好きだし、子供を守るのは大人の役目だから」
「だから子供扱いすんなし」
「まだまだ、学生のうちは子供ですよ。二郎くんも三郎くんも、もちろん一郎もまだ子供!子供は大人に甘えればいいの。あれがしたい、これがしたい!って」
大人になったら甘える事なんて出来ないんだから、そう言う〇〇姉が悲しそうに笑うから何も言えなくなってしまう。
「だから二郎も我儘言って良いんだよ?」
おどけて見せる彼女にちょっとだけ甘えてみたくなってしまった。
男として見て欲しい俺がいつもなら言わない言葉がポロリと零れる。
「じゃあさ、〇〇姉・・・ギュッてしていい?」
「え?」
きょとんとした顔でこちらを見上げる彼女の顔を見て、自分の言った事の恥ずかしさに顔が赤くなっていくのが分かる。
「あ、ぅ嘘!!なんでもねぇから忘れて!!」
「いいよ、」
そう言って引き寄せられたのは彼女の細い腕の中で、洗い物の最中で手の濡れた俺は抵抗が出来ない。
「ほら、ギュ~~ッ!!」
「え、ちょっ、待って!!〇〇姉!苦しい!!」
彼女の腕の中でもがく程、俺を包み込む力が強くなって、思春期真っ只中の俺は顔に当たる胸の柔らかさを嫌でも意識してしまい心臓が口から飛び出そうになる。
抵抗するのを止めて頭を撫でてくれる優しい彼女の体温に恥ずかしさを覚えながら、俺は早く大人になりたいと思った。
大人になって働いて金を稼ぎたい。そうすれば兄ちゃんを支える事が出来るし、きっと彼女もこんな風に俺を子ども扱いしなくなる。
甘えるのが下手くそで悲しそうに笑う彼女の事を本当は俺が抱きしめてやりたかった。
本当の弟みたいに可愛がっている俺がこの気持ちを打ち明けたら、彼女はどんな顔をするだろうか。
きっと、俺を傷付けないように困った顔で優しく笑ってみせるのだろう。
彼女を困らせたくはないし、俺が困らせるくらいなら好きな男の横で笑っていて欲しいから、この胸のモヤモヤはそっと胸の内側に隠しておくことにした。