スポットライトの裏側で
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[スポットライトの裏側で③]
「え?」
聞き返す前に、アレンの腕に力がこもった。
ミナミの体が、もう一度しっかりと抱き寄せられる。
彼の体温が、衣装越しに伝わってくる。
少し速い鼓動も。
抑えきれない想いも。
全部。
「……少しだけ、このままでいさせてください」
アレンの声が耳元で震えた。
「ずっと、抱きしめたかったんです」
ミナミは息を止めた。
それから、涙の残る顔で小さく笑った。
「私もです…」
アレンの腕の中は、あたたかかった。
控えめで、優しくて、でも絶対に離さないような強さがあった。
ミナミは目を閉じる。
誰もいないドーム。
熱気の引いた客席。
消えたペンライト。
静まり返った巨大な空間。
その真ん中で、二人だけが抱き合っている。
さっきまで自分を照らしていたスポットライトはもうない。
代わりにアレンがいる。
それだけで、夜はもう怖くなかった。
「ミナミ」
「はい」
「改めて言わせてください」
アレンが少し体を離し、ミナミを見つめる。
「ドーム公演、お疲れ様でした」
ミナミは涙を拭いながら笑った。
「ありがとうございます」
「本当に、よく頑張りました」
その言葉は、拍手よりも、歓声よりも、何よりもミナミの胸に深く届いた。
アイドルとしての成功を讃える言葉ではない。
一人の人間として、怖さを飲み込んで立った自分を見てくれた言葉だった。
ミナミはもう一度、アレンに抱きついた。
「……アレンさんも、お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
「無事に戻ってきてくれて、ありがとうございます」
アレンは少しだけ目を細めた。
「あなたが待っていてくれましたから」
「待ってました」
「では、帰ってきて正解でしたね」
「正解です」
そう言うと、アレンが小さく笑った。
その笑顔が、たまらなく好きだと思った。
遠くで、スタッフの声が微かに聞こえる。
片付けはまだ続いている。
夢の夜は、もうすぐ本当に終わる。
ミナミはもう寂しくなかった。
終わるものがある。
役目も、契約も、今日という一日も。
でも、始まるものもある。
スポットライトの裏側で出会った恋が、ようやく光のない場所で息をし始める。
「アレンさん」
「はい」
「これからも、私のこと……見ていてくれますか」
アレンは微笑んだ。
優しくて、不器用で、少しだけ熱を帯びた笑みだった。
「もちろんです」
そして、ミナミの手を取る。
「隣で」
その言葉に、ミナミは笑った。
今日、一番自然な笑顔だった。
広いドームの暗がりに、二人の影が寄り添う。
誰もいない客席。
静かなステージ。
その上に、もうスポットライトはない。
それでもミナミには、確かに見えていた。
月明かりよりも優しく、自分を照らしてくれる人が。
アレンの手が、そっとミナミの指を包む。
強く、優しく、もう離れないと言うように。
そして二人は、静まり返ったドームの中を、並んで歩き出した。
夢が終わった場所から。
新しい時間が始まる場所へ。
… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽 2026/06/09
リアルなら主も着替え終わっているか、汗だくか。撤収スタッフもわんさかいるはずなんですが、ロマンチックにしたかったのでスタッフと汗だく描写は無いことにしました。
「え?」
聞き返す前に、アレンの腕に力がこもった。
ミナミの体が、もう一度しっかりと抱き寄せられる。
彼の体温が、衣装越しに伝わってくる。
少し速い鼓動も。
抑えきれない想いも。
全部。
「……少しだけ、このままでいさせてください」
アレンの声が耳元で震えた。
「ずっと、抱きしめたかったんです」
ミナミは息を止めた。
それから、涙の残る顔で小さく笑った。
「私もです…」
アレンの腕の中は、あたたかかった。
控えめで、優しくて、でも絶対に離さないような強さがあった。
ミナミは目を閉じる。
誰もいないドーム。
熱気の引いた客席。
消えたペンライト。
静まり返った巨大な空間。
その真ん中で、二人だけが抱き合っている。
さっきまで自分を照らしていたスポットライトはもうない。
代わりにアレンがいる。
それだけで、夜はもう怖くなかった。
「ミナミ」
「はい」
「改めて言わせてください」
アレンが少し体を離し、ミナミを見つめる。
「ドーム公演、お疲れ様でした」
ミナミは涙を拭いながら笑った。
「ありがとうございます」
「本当に、よく頑張りました」
その言葉は、拍手よりも、歓声よりも、何よりもミナミの胸に深く届いた。
アイドルとしての成功を讃える言葉ではない。
一人の人間として、怖さを飲み込んで立った自分を見てくれた言葉だった。
ミナミはもう一度、アレンに抱きついた。
「……アレンさんも、お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
「無事に戻ってきてくれて、ありがとうございます」
アレンは少しだけ目を細めた。
「あなたが待っていてくれましたから」
「待ってました」
「では、帰ってきて正解でしたね」
「正解です」
そう言うと、アレンが小さく笑った。
その笑顔が、たまらなく好きだと思った。
遠くで、スタッフの声が微かに聞こえる。
片付けはまだ続いている。
夢の夜は、もうすぐ本当に終わる。
ミナミはもう寂しくなかった。
終わるものがある。
役目も、契約も、今日という一日も。
でも、始まるものもある。
スポットライトの裏側で出会った恋が、ようやく光のない場所で息をし始める。
「アレンさん」
「はい」
「これからも、私のこと……見ていてくれますか」
アレンは微笑んだ。
優しくて、不器用で、少しだけ熱を帯びた笑みだった。
「もちろんです」
そして、ミナミの手を取る。
「隣で」
その言葉に、ミナミは笑った。
今日、一番自然な笑顔だった。
広いドームの暗がりに、二人の影が寄り添う。
誰もいない客席。
静かなステージ。
その上に、もうスポットライトはない。
それでもミナミには、確かに見えていた。
月明かりよりも優しく、自分を照らしてくれる人が。
アレンの手が、そっとミナミの指を包む。
強く、優しく、もう離れないと言うように。
そして二人は、静まり返ったドームの中を、並んで歩き出した。
夢が終わった場所から。
新しい時間が始まる場所へ。
… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽 2026/06/09
リアルなら主も着替え終わっているか、汗だくか。撤収スタッフもわんさかいるはずなんですが、ロマンチックにしたかったのでスタッフと汗だく描写は無いことにしました。