毒より甘く
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「伯爵はどこにいる!?」
炎と瓦礫の音を裂くように、ユウの声が響いた。
私は息を呑み、燃え盛る館を振り返る。
「あ、あっちの、書斎の方……!」
言い終わるより早く、ユウが地を蹴った。
その背中が炎の中へ飛び込もうとした、その瞬間――
メキ……メキメキ……ッ。
嫌な音が、夜の空気を裂いた。
次の瞬間。
ドォォォォンッ!!
館の中央が、大きく沈み込むように崩れ落ちた。
柱が折れ、壁が砕け、炎を孕んだ瓦礫が轟音とともに崩れ落ちる。
火の粉が、夜空へと吹き上がった。
「……っ」
誰も、動けなかった。
メイドも、周囲に駆けつけた使用人たちも、ただその場に凍りつく。
私も――息をすることすら忘れて、燃え落ちていく館を見つめていた。
そして。
「パパーーッ!!」
喉が裂けるほどの声で、私は叫んだ。
返事はない。
炎の音だけが、あまりにも大きく響いている。
私の声なんて、最初から届くはずもなかったみたいに。
太陽が昇る頃には、館はすべてを燃やし尽くされていた。
夜を焦がし続けた炎はようやく勢いを失い、そこに残っていたのは、黒く焼けた骨組みと、崩れた瓦礫の山だけだった。
フォレスト伯爵家の館。
私が生まれて、育って、毒草を弄び、ユウを連れ込み、笑って、怒って、拗ねてきた場所。
そのすべてが、灰になっていた。
「……全部……燃えちゃった」
口にした途端、言葉があまりにも軽くて、私は自分で傷ついた。
全部、なんて。
そんな一言で言えるわけがないのに。
失ったものは、館だけじゃない。
父も。
日々も。
当たり前だと思っていたものも。
何もかも、焼けてしまった。
ぽたり、と頬を伝って涙が落ちる。
もう何度流したのか、自分でも分からない。
それでも枯れてはくれない。
その時だった。
隣に立っていたユウが、そっと左手を伸ばした。
熱を失った朝の空気の中で、その手だけが不思議なくらい静かに私へ触れる。
そして、私の右手を、ためらいがちに握った。
「……!」
私は驚いて顔を上げた。
ユウは、焼けた館を見つめたまま、ぽつりと呟くように言った。
「伯爵に……許しをもらいに来たんだ」
その言葉に、私は一瞬意味が分からなくて、ただ彼の横顔を見つめた。
夜通し戦ったせいで、髪は乱れ、頬には煤がついている。
それでも、その顔は、これまで見たどんなユウよりも静かで、どこか決意を秘めていた。
脳裏に蘇る。
――用があったんだよ。
昨夜の彼の言葉。
あれは、このことだったのだと、遅れて気づく。
「……許し?」
掠れた声でそう尋ねると、ユウはわずかに目を伏せた。
「お前と……深い仲になることを」
その言葉に、私の目が大きく見開く。
一瞬、何も考えられなくなった。
こんな時に。
こんな、全部失った後で。
そんなことを言われるなんて、思ってもみなかったから。
でも、胸の奥に、ひどく切なくて、ひどく温かいものが広がっていく。
私はそっと視線を逸らし、焼けた館を見た。
灰。瓦礫。煙。
もう戻らないものばかり。
それでも、私の右手を握る彼の温もりだけが、確かにここにある。
私はその手を、ゆっくりと握り返した。
「……わたし……しばらく、ユウのこと買えないや」
自分でも笑ってしまいそうになるくらい、ひどい言葉だった。
けれど、それが今の私の精一杯の現実だった。
父が亡くなった今。
フォレスト家を立て直すのは、私しかいない。
領民を守るのも。
使用人たちの生活を繋ぐのも。
全部、私の役目になる。
「私……頑張らないと……」
ぽろ、とまた涙が落ちる。
頬を伝うその温度さえ、もう分からない。
「このまま、泣いてるだけじゃ……ダメなの」
嗚咽まじりの声で呟いた私の手を、ユウは今度は少しだけ強く握った。
そして、焼け跡ではなく、まっすぐに私を見て言った。
「俺が……来てやるよ」
低く、かすれた声。
でもその一言は、何よりも力強かった。
「……呆れるくらいにな」
その言い方が、あまりにもユウらしくて。
私は泣きながら、少しだけ笑った。
「……ありがとう」
それしか言えなかった。
ありがとう、だけじゃ足りないのに。
でも今は、それ以上の言葉を持てなかった。
朝日が、焼け跡を照らしていく。
何もかも失った場所で。
それでも、私たちは手を離さなかった。
きっとこれから、前みたいにはいかない。
私はこの家を背負わなきゃいけないし、ユウは戦場へ帰る。
簡単に会えない。
簡単に触れられない。
それでも。
それでも――
この手の温もりを知ってしまった以上、もう、なかったことにはできない。
焼け落ちた館の前で、私は小さく息を吐いた。
灰の匂いの向こうに、ほんの少しだけ未来の匂いがした気がした。
それはきっと、甘いだけじゃない。
痛くて、苦くて、遠いもの。
けれど、ユウとなら、どれだけ遠くても、待てると思った。
𝐞𝐧𝐝ꔛ⋆☽2026/03/25
꧁꒰ঌ˙˚あとがき˚˙໒꒱꧂
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!
いや〜……燃えましたね(館が)
ミナミは最初、完全に「私の騎士」って顔してたんですけど、
途中から「え、私この人のこと何も知らなくない?」ってなって、そこから一気に崩れていくのが書いてて楽しかったです。
神田は……まあ、安定の神田でしたね。
任務は遂行するし、守るし、言葉足りないし。
でもちゃんと来たんですよ、あの人。
あれが全てだと思います( ≖ᴗ≖)ニヤッ
そしてラスト。
結ばれないのかよ!と思った方。
安心してください。
この二人の未来は·····≡(((卍*¯ω¯)卍ドゥルルルル
ちゃんとやることやってます()
数年後にはベイビーをたくさん抱えて教団に乗り込む未来が見えてますので。
その辺はまたどこかで書けたらいいなと思っています。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました!
というわけで、書いてみた⬇
【教団訪問】
👶弟「ねえねえ、この人たち弱そうだね」
👶兄「……(ラビ睨む)」
ラビ「え、怖っ!ユウの子やばいって!」
アレン「半分神田だと思うと子供といえど憎たらしいですね」
リナリー「ちょっと待って情報量が多い!!」
👶弟「なにこれ、押しちゃえ」
( 。・ω・。)ノ 凸ポチッ
コムリン3号動き出す。
全員「ギャ〜!」
【最悪の遺伝】
チャンバラごっこをする兄弟。
👶弟「てやー!喰らえウサギ!」
👶兄「……コノヤロウ!もやしのくせに!」
アレン&ラビ「…」
👶弟「くたばれウサギ!」
👶兄「そっちがくたばりやがれ、もやし!」
アレン&ラビ「ピキッ(°ㅂ° ╬)」
【パパ?】
👶弟「ねえママ、この人ほんとにパパ?」
👶兄「……似てねぇ」
神田「……帰れ」 😇
ラビ
「いやこれ100%ユウの子だろ!!否定できる要素どこ!?」
アレン
「顔の造形が完全に一致してます!!」
リナリー
「でも笑ってる…ちっちゃい神田が笑ってる…!?」←混乱
👶兄(無言でじーっと見つめる)
👶弟「パパ、怖い顔やめて?」
神田「……してねぇ」
ミナミ「ちゃんと似てるでしょう?“いいところ”だけ」
神田「……どこだ」
ミナミ「…顔」