短編 (おお振り)
『絶対甲子園連れてってね!』
わたし、ゆうちゃんに
どうしても在学中に連れてって
ほしくって何度も伝えたなあ。
懐かしさに思わず
笑みがこぼれる
ゆうちゃんは一個下で野球部
わたしは吹奏楽部でトランペット
を吹いていた。
高校3年最後の夏、最後の応援
暑い中金管楽器の音、応援団の声
野球部の人達の熱い試合。
最高だった…
本当に連れてってくれた
毎年夏がくると思い出すなあ
あれから13年
ゆうちゃんに結婚しようと言われ
大学卒業後に入籍。
わたしは30になり3歳の息子がいる。
お絵描きしてた息子が
とたとた走ってくる
「ママ、みてパパ」
大きな画用紙にクレヨンで
ゆうちゃんの野球姿を描いたと
わたしに見せてくれた息子
「パパみたいになりたい」
にかっと笑って
ガチョピンTVがはじまるー!!
とテレビに走って行った。
「ただいまー!」
「おかえりっ」
「パパー!」
ガチョピンを見てた息子が
ゆうちゃんに抱きついた
いつかまた甲子園に
(それまで楽しみにしよっと)
(パパすき!)
(なあ、お前のおかえりのぎゅーは?)
20200728.
リハビリ中です…。
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