スタマイ短編
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①新鮮はおいしい
ハルくんの「野菜の収穫をしたことがない」という衝撃的な発言を受け、観光農園を訪れた。
「すごいね! トマト、ピーマン、ナス……あっ、枝豆まで」
「なんで俺が収穫なんか……」
ずらりと並ぶ夏野菜に目を輝かせる私とは反対に、ハルくんはブツブツと不満を呟く。
「袋に入るだけ収穫していいんだって。しかも味見もオッケー!」
「わざわざこんなとこ来なくても買えばいいじゃん」
「とれたての野菜っておいしいんだよ」
「靴も手も汚れるし」
「はい、ミニトマト」
「洗ってないやつ食べたくない」
「タオルでふけば大丈夫だって言ってたよ。……おいしい!」
早速もぎったミニトマトを自分の口に放り込む。噛み締めれば口いっぱいに甘さが広がり、ほんの少しの酸味が後を追う。
「……」
トマトを飲み込み、本格的に収穫の体制に入った私の隣で、ハルくんはじっと自分の手の上のトマトを見つめる。食べるか否か悩んでいるのだろう。
長い葛藤の末、ハルくんはおそるおそる、ミニトマトの端をかじった。
「……」
「どう?」
「……おいしい」
「でしょ?」
ハルくんは残ったトマトを一気に食べ終えると、収穫前のトマトにそっと触れる。
「売ってるのと同じなのに何が違うんだろ。鮮度かな。それともここの農家がレベル高いだけとか?」
「それもあるだろうけど、やっぱり新鮮だからじゃないかな」
「ふーん」
「自分でとるともっとおいしいよ」
「それはさすがに嘘でしょ」
口ではそう言いながらも、ハルくんは次にとるトマトをしっかりと見定めている。
結局最後にはハルくんによって袋いっぱいのトマトが収穫され、しばらく食卓を彩り続けた。
②本心透けて見えてるよ
大学時代の友人たちとの久しぶりの飲み会から帰ると、遅い時間だというのにハルくんは起きて私を待っていてくれた。
「ごめんね。待っててくれてるなら、もっと早く帰ってくればよかった」
「いいよ、別に。勝手に待ってたの俺だし。久しぶりだったんでしょ? どうだった?」
「楽しかったよ。みんな相変わらずで」
快く迎えてくれたハルくんにほっとしてソファに腰を下ろす。それと同時に短くスマホが鳴った。飲み会で再会した同期からのメッセージだった。
「ちょっとごめん」
「誰から?」
「さっき会った大学の同期。連絡先知らなかったから交換したの」
「へえ……女の子?」
「男だよ。東京で薬剤師やってるんだって」
「ふーん」
興味がなさそうな相づちを少し残念に思いながら、メッセージに返信する。
「どんな内容?」
「意外と近くで働いてるから今度食事でもって」
「……なんて返したの?」
「彼氏に確認するねって」
「……いちいち俺に確認なんかしないで名前の好きにすればいいのに」
「それはそうなんだけど……」
嫉妬するハルくんがかわいいから、なんて言えば、きっと怒ってしまうだろう。見るからに上機嫌になったハルくんに私もうれしくなりながら、スマホをテーブルの上に放った。
③偽物の星空
暑い日が続く、梅雨明けの金曜日。先輩たちい何度も謝りながら提示で退庁し、ハルくんと2人、急ぎ電車に飛び乗った。
行き先は知らされていない。デートに誘われた先週の日曜日、ハルくんは当日のお楽しみだと機嫌よく言っていた。だから私も楽しみに今日を待っていたのだが、たどり着いたのは予想外の場所だった。
「プラネタリウムなんて久しぶりかも」
「俺も。子どもの頃に来たとき以来かな」
開場までの待ち時間、他の客、主にカップルたちに紛れながら、他愛もない会話をポツポツと交わす。街中からのアクセスが良いこのプラネタリウムは、平日の夜の定番のデートスポットのようだった。
「俺さ、プラネタリウムに来たときに初めて、星ってあんなにあったんだって知ったんだ」
「分かる! 東京の夜って意外と明るいんだよね。郊外で空見ると、プラネタリウムって嘘じゃなかったんだなって驚くもの」
「へえ、そういうもの? ……あ、開場した。行こう」
ハルくんは私の手を取ると、足早にドアをくぐった。
(席はどこかな?)
プラネタリウムは映画館同様、座席が決まっている。まずは座席表を探さねばと思ったが、ハルくんは迷いなく会場の前方に向かった。
「ハルくん、場所分かるの?」
「予約したの誰だと思ってるの? はい、ここだよ」
「え……」
ハルくんが立ち止まったのは白いソファの前だった。プラネタリウムの中に3つしかない、特別な席。雲に見立てた2人掛けのフカフカしたソファ――カップル向けの座席だ。
「早く座りなよ」
「う、うん、でもこれ……」
このプラネタリウムの売りであるカップル席。予約必須で、なかなか狙った時間には座れないと聞いたことがある。
「予約取るの、大変だったんじゃ……」
「1週間前なら余裕。座らないなら、俺が1人で広々座らせてもらうけど」
「いやいや、座るよ!」
本当にソファの真ん中に陣取ろうとしたハルくんに慌てて腰を下ろす。雲を模したソファはゆっくりと2人分の体重を受け止めた。
「ふかふか……!」
「気に入った?」
「すごく!」
機嫌よく隣を見れば、思いのほか近い距離で視線が絡んだ。どきりと心臓が音を立てる。
「もう始まるみたいだよ」
「う、うん」
なんでもないかのような顔でドームに視線を移したハルくんの頬も、少し赤い。照明が落とされるとそれも見えなくなったが、意外と狭いソファの真ん中で触れ合った指先が、おずおずと繋がれる。
「……あのさ」
番組が始まる前、コマーシャルの最中に、ハルくんが小声でささやいた。
「梅雨が明けたら、本物の満天の星空、一緒に見に行こう」
「……うん、行きたい。絶対行こう」
思わず力が入ってしまった同意に、ハルくんが小さく笑う気配がした。自然と、つないだ手にも力がこもる。
「ふふ、今日はたくさん星を覚えて帰らなきゃ」
「なに、解説してくれるの?」
「うん。夏までに勉強しておく。任せといて」
「じゃあ俺は星座早見盤でも準備しておこうかな」
声を潜めたやりとりも、コマーシャルの終了とともになくなっていく。今年最初の夏の楽しみに思いを馳せながら、私たちは幻想的にまたたく星たちを見上げた。
④おまけ(プラネタリウム別ver)
暑い日が続く、梅雨明け前の金曜日。定時で退庁し、ハルくんと2人、急ぎ電車に飛び乗った。
「ねえ、ハルくん。本当にどこに行くの?」
「秘密」
今朝、通勤中に夜の予定は空けておくように言われた。急な誘いだったものだから慌てて仕事をこなしていると、見かねた青山さんが少し手伝ってくれた。おかげでなんとか定時に間に合ったのだが、何度聞いても行き先は教えてくれない。ニヤリと笑うハルくんに、私もワクワクと胸を踊らせる。
(どこに連れていってくれるんだろう……)
電車を乗り換え、駅を降りる。
「ちょっと走るよ」
「え?」
「時間ギリギリだから」
人の合間を縫うように、2人でバタバタと街中を走り抜ける。夕方になったものの未だ気温は高く、走っているうちに汗が流れ出た。つないだままの手も汗ばんでいた。
「間に合った……!」
「……プラネタリウム?」
息も絶え絶えにたどり着いたのはプラネタリウムだった。どうやらハルくんは事前に予約をしていたらしく、さっと受付を済ませると私の手をとって足早にドアをくぐった。
(席はどこかな)
プラネタリウムは映画館同様、座席が決まっている。まずは座席表を探さねば、と思ったが、ハルくんは迷いなく会場の前方に向かった。
「ハルくん、場所分かるの?」
「座席番号くらい覚えてるから。はい、ここだよ」
「え……」
ハルくんが立ち止まったのは白いソファの前だった。プラネタリウムの中に3つしかない、特別な席。雲に見立てた2人掛けのフカフカしたソファ――カップル向けの座席だ。
「早く座りなよ」
「う、うん、でもこれ……」
このプラネタリウムの売りであるカップル席。予約必須で、なかなか狙った時間には座れないと聞いたことがある。
「予約とるの大変だったんじゃ……」
「……誰かさんがずっと雑誌で眺めてたから」
「え?」
「いいから、おいで」
先に座ったハルくんがそっと手を差し伸べてくれる。おずおずとその手をつかむとぐいと引かれ、雲を模したソファはゆっくりと2人分の体重を受け止めた。
「わっ……ふかふか!」
「気に入った?」
「すごく!」
「ふーん。なら新居に置こうか」
「ほんと!?」
機嫌よく隣を見れば、思いのほか近い距離で視線が絡んだ。どきりと心臓が音を立てる。
「なに?」
「い、いや、その……」
「……いやらしいこと考えた?」
「そんな、こと……」
「顔、赤いけど」
指摘されたことによりさらに頬が熱くなる。幸いなことにタイミングよく照明が落とされ、ハルくんの顔は見えなくなった。ほっと安堵したのもつかの間、今度はぎゅっと手をつながれる。
「……意外と暗いね」
番組が始まる前、コマーシャルの最中に、ハルくんが小声でささやいた。
「いたずらしてもバレなさそう」
「ダメだよ、こんなところで……!」
「別にやらしいいたずらなんて言ってないけど」
「!」
「どんないたずら想像したの?」
細い指先が手の甲をするりと撫でる。思わず体を揺らすと、ハルくんが笑う気配がした。
「勝負でもしようか。どっちがたくさん星座を覚えられるか」
「急にどうしたの……?」
「星に集中してないみたいだから」
「ハルくんのせいでしょ……!」
「変な想像してる名前が悪いよ」
いつの間にかコマーシャルが終了し、本格的に番組が始まる。幻想的にまたたく星たちはとてもきれいだったが、ハルくんのいたずらのせいでまったく集中できず、結局2人そろって星座は1つも覚えられなかった。
***
スタマイハルくんとドラマトハルくんは若干印象が違う気がしなくもない
ハルくんの「野菜の収穫をしたことがない」という衝撃的な発言を受け、観光農園を訪れた。
「すごいね! トマト、ピーマン、ナス……あっ、枝豆まで」
「なんで俺が収穫なんか……」
ずらりと並ぶ夏野菜に目を輝かせる私とは反対に、ハルくんはブツブツと不満を呟く。
「袋に入るだけ収穫していいんだって。しかも味見もオッケー!」
「わざわざこんなとこ来なくても買えばいいじゃん」
「とれたての野菜っておいしいんだよ」
「靴も手も汚れるし」
「はい、ミニトマト」
「洗ってないやつ食べたくない」
「タオルでふけば大丈夫だって言ってたよ。……おいしい!」
早速もぎったミニトマトを自分の口に放り込む。噛み締めれば口いっぱいに甘さが広がり、ほんの少しの酸味が後を追う。
「……」
トマトを飲み込み、本格的に収穫の体制に入った私の隣で、ハルくんはじっと自分の手の上のトマトを見つめる。食べるか否か悩んでいるのだろう。
長い葛藤の末、ハルくんはおそるおそる、ミニトマトの端をかじった。
「……」
「どう?」
「……おいしい」
「でしょ?」
ハルくんは残ったトマトを一気に食べ終えると、収穫前のトマトにそっと触れる。
「売ってるのと同じなのに何が違うんだろ。鮮度かな。それともここの農家がレベル高いだけとか?」
「それもあるだろうけど、やっぱり新鮮だからじゃないかな」
「ふーん」
「自分でとるともっとおいしいよ」
「それはさすがに嘘でしょ」
口ではそう言いながらも、ハルくんは次にとるトマトをしっかりと見定めている。
結局最後にはハルくんによって袋いっぱいのトマトが収穫され、しばらく食卓を彩り続けた。
②本心透けて見えてるよ
大学時代の友人たちとの久しぶりの飲み会から帰ると、遅い時間だというのにハルくんは起きて私を待っていてくれた。
「ごめんね。待っててくれてるなら、もっと早く帰ってくればよかった」
「いいよ、別に。勝手に待ってたの俺だし。久しぶりだったんでしょ? どうだった?」
「楽しかったよ。みんな相変わらずで」
快く迎えてくれたハルくんにほっとしてソファに腰を下ろす。それと同時に短くスマホが鳴った。飲み会で再会した同期からのメッセージだった。
「ちょっとごめん」
「誰から?」
「さっき会った大学の同期。連絡先知らなかったから交換したの」
「へえ……女の子?」
「男だよ。東京で薬剤師やってるんだって」
「ふーん」
興味がなさそうな相づちを少し残念に思いながら、メッセージに返信する。
「どんな内容?」
「意外と近くで働いてるから今度食事でもって」
「……なんて返したの?」
「彼氏に確認するねって」
「……いちいち俺に確認なんかしないで名前の好きにすればいいのに」
「それはそうなんだけど……」
嫉妬するハルくんがかわいいから、なんて言えば、きっと怒ってしまうだろう。見るからに上機嫌になったハルくんに私もうれしくなりながら、スマホをテーブルの上に放った。
③偽物の星空
暑い日が続く、梅雨明けの金曜日。先輩たちい何度も謝りながら提示で退庁し、ハルくんと2人、急ぎ電車に飛び乗った。
行き先は知らされていない。デートに誘われた先週の日曜日、ハルくんは当日のお楽しみだと機嫌よく言っていた。だから私も楽しみに今日を待っていたのだが、たどり着いたのは予想外の場所だった。
「プラネタリウムなんて久しぶりかも」
「俺も。子どもの頃に来たとき以来かな」
開場までの待ち時間、他の客、主にカップルたちに紛れながら、他愛もない会話をポツポツと交わす。街中からのアクセスが良いこのプラネタリウムは、平日の夜の定番のデートスポットのようだった。
「俺さ、プラネタリウムに来たときに初めて、星ってあんなにあったんだって知ったんだ」
「分かる! 東京の夜って意外と明るいんだよね。郊外で空見ると、プラネタリウムって嘘じゃなかったんだなって驚くもの」
「へえ、そういうもの? ……あ、開場した。行こう」
ハルくんは私の手を取ると、足早にドアをくぐった。
(席はどこかな?)
プラネタリウムは映画館同様、座席が決まっている。まずは座席表を探さねばと思ったが、ハルくんは迷いなく会場の前方に向かった。
「ハルくん、場所分かるの?」
「予約したの誰だと思ってるの? はい、ここだよ」
「え……」
ハルくんが立ち止まったのは白いソファの前だった。プラネタリウムの中に3つしかない、特別な席。雲に見立てた2人掛けのフカフカしたソファ――カップル向けの座席だ。
「早く座りなよ」
「う、うん、でもこれ……」
このプラネタリウムの売りであるカップル席。予約必須で、なかなか狙った時間には座れないと聞いたことがある。
「予約取るの、大変だったんじゃ……」
「1週間前なら余裕。座らないなら、俺が1人で広々座らせてもらうけど」
「いやいや、座るよ!」
本当にソファの真ん中に陣取ろうとしたハルくんに慌てて腰を下ろす。雲を模したソファはゆっくりと2人分の体重を受け止めた。
「ふかふか……!」
「気に入った?」
「すごく!」
機嫌よく隣を見れば、思いのほか近い距離で視線が絡んだ。どきりと心臓が音を立てる。
「もう始まるみたいだよ」
「う、うん」
なんでもないかのような顔でドームに視線を移したハルくんの頬も、少し赤い。照明が落とされるとそれも見えなくなったが、意外と狭いソファの真ん中で触れ合った指先が、おずおずと繋がれる。
「……あのさ」
番組が始まる前、コマーシャルの最中に、ハルくんが小声でささやいた。
「梅雨が明けたら、本物の満天の星空、一緒に見に行こう」
「……うん、行きたい。絶対行こう」
思わず力が入ってしまった同意に、ハルくんが小さく笑う気配がした。自然と、つないだ手にも力がこもる。
「ふふ、今日はたくさん星を覚えて帰らなきゃ」
「なに、解説してくれるの?」
「うん。夏までに勉強しておく。任せといて」
「じゃあ俺は星座早見盤でも準備しておこうかな」
声を潜めたやりとりも、コマーシャルの終了とともになくなっていく。今年最初の夏の楽しみに思いを馳せながら、私たちは幻想的にまたたく星たちを見上げた。
④おまけ(プラネタリウム別ver)
暑い日が続く、梅雨明け前の金曜日。定時で退庁し、ハルくんと2人、急ぎ電車に飛び乗った。
「ねえ、ハルくん。本当にどこに行くの?」
「秘密」
今朝、通勤中に夜の予定は空けておくように言われた。急な誘いだったものだから慌てて仕事をこなしていると、見かねた青山さんが少し手伝ってくれた。おかげでなんとか定時に間に合ったのだが、何度聞いても行き先は教えてくれない。ニヤリと笑うハルくんに、私もワクワクと胸を踊らせる。
(どこに連れていってくれるんだろう……)
電車を乗り換え、駅を降りる。
「ちょっと走るよ」
「え?」
「時間ギリギリだから」
人の合間を縫うように、2人でバタバタと街中を走り抜ける。夕方になったものの未だ気温は高く、走っているうちに汗が流れ出た。つないだままの手も汗ばんでいた。
「間に合った……!」
「……プラネタリウム?」
息も絶え絶えにたどり着いたのはプラネタリウムだった。どうやらハルくんは事前に予約をしていたらしく、さっと受付を済ませると私の手をとって足早にドアをくぐった。
(席はどこかな)
プラネタリウムは映画館同様、座席が決まっている。まずは座席表を探さねば、と思ったが、ハルくんは迷いなく会場の前方に向かった。
「ハルくん、場所分かるの?」
「座席番号くらい覚えてるから。はい、ここだよ」
「え……」
ハルくんが立ち止まったのは白いソファの前だった。プラネタリウムの中に3つしかない、特別な席。雲に見立てた2人掛けのフカフカしたソファ――カップル向けの座席だ。
「早く座りなよ」
「う、うん、でもこれ……」
このプラネタリウムの売りであるカップル席。予約必須で、なかなか狙った時間には座れないと聞いたことがある。
「予約とるの大変だったんじゃ……」
「……誰かさんがずっと雑誌で眺めてたから」
「え?」
「いいから、おいで」
先に座ったハルくんがそっと手を差し伸べてくれる。おずおずとその手をつかむとぐいと引かれ、雲を模したソファはゆっくりと2人分の体重を受け止めた。
「わっ……ふかふか!」
「気に入った?」
「すごく!」
「ふーん。なら新居に置こうか」
「ほんと!?」
機嫌よく隣を見れば、思いのほか近い距離で視線が絡んだ。どきりと心臓が音を立てる。
「なに?」
「い、いや、その……」
「……いやらしいこと考えた?」
「そんな、こと……」
「顔、赤いけど」
指摘されたことによりさらに頬が熱くなる。幸いなことにタイミングよく照明が落とされ、ハルくんの顔は見えなくなった。ほっと安堵したのもつかの間、今度はぎゅっと手をつながれる。
「……意外と暗いね」
番組が始まる前、コマーシャルの最中に、ハルくんが小声でささやいた。
「いたずらしてもバレなさそう」
「ダメだよ、こんなところで……!」
「別にやらしいいたずらなんて言ってないけど」
「!」
「どんないたずら想像したの?」
細い指先が手の甲をするりと撫でる。思わず体を揺らすと、ハルくんが笑う気配がした。
「勝負でもしようか。どっちがたくさん星座を覚えられるか」
「急にどうしたの……?」
「星に集中してないみたいだから」
「ハルくんのせいでしょ……!」
「変な想像してる名前が悪いよ」
いつの間にかコマーシャルが終了し、本格的に番組が始まる。幻想的にまたたく星たちはとてもきれいだったが、ハルくんのいたずらのせいでまったく集中できず、結局2人そろって星座は1つも覚えられなかった。
***
スタマイハルくんとドラマトハルくんは若干印象が違う気がしなくもない
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