破鏡再び照らす
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同日 午前12時32分
総合病院 階段
診察を終えて、階段を降りていた。
「やぁ、枯山さん」
初夏の風のような爽やかな声に呼ばれ、そちらを見た。
「がっが牙琉さん!?」
褐色肌のイケメンと会い、思わず目を大きく開けて、まじまじと見つめてしまう。
「そんなに見つめて……また会えて嬉しい?」
「あっあの!!……その……」
ギュッと拳を握り、声を出す。
「ささー裁、判のっとき…は…たた倒れて、すすすみ、ませ、んで、した……」
頭を下げた。
彼がはぁとため息をこぼしたので、うっと肩をすくめた。
「君が謝ることじゃない。僕も知っていて、君に無理に証言してもらったんだから」
けど、自分勝手な思いからあんな風な証言をしてしまった。
それは紛れもなくあたしが悪い。
「そっその……ままままた、じっ事件ですっか?」
「いいや。今日は君の先生に訊きたいことがあって、来ただけさ」
「ききっ訊きたっい、こと、ですか」
「君にも訊きたいことがあったんだ」
「なななんっなんですっか?」
「僕は今、とある人物を探していてね」
牙琉検事は真剣な表情を向けてくる。
「"夕間 紅葉"って人を知っているかい?」
全く聞き覚えのない名前に、あたしは首を横に振った。
同日 午後1時7分
総合病院 通話スペース
病院内の通話スペースで、牙琉響也はイラ立った様子でスマホに話していた。
「聖河 理来(セイガ リク)刑事、どういうことだい?
盗まれたモノは何もなかっただって?」
『なかった。そうおっしゃってるでしょう。俺たちの捜査にミスはありません。
それでも、信用できないのであれば、ご自分の目で確かめたらいかがですか?』
「あぁ、そうさせてもらうよ」
ふんっと鼻を鳴らした音のあとに、一方的に電話を切る音がした。
牙琉響也はスマホをしまい、通話スペースから離れた。
彼はモデルのような長い足を、無間 魁人の診察室に向かわせる。
同日 午後1時17分
総合病院 無間 魁人の診察室
「盗まれたモノはありませんよ」
ケホケホッと咳き込みながら、顔色の悪い医者は前髪から覗く隻眼を牙琉に向けている。
「……では、先ほど指定した患者のカルテを見せてもらえませんか?」
「個人情報保護法で関係ない人に見せることはできない」
「情報が漏れるとマズイ箇所は伏せてもらって結構です」
はぁーと無間はため息をこぼした。
「……コピーでよろしければ」
「ありがとう」
少ししてコピーしたカルテを持って無間が戻ってきた。
「どうぞ。これがそうです」
その紙の内容を見て、牙琉が綺麗な眉間を崩した。
「ここの項目だけど」
無間は首を横に振る。
「そこは私からは答えられない。もし、気になるのであれば」
少し躊躇して、無間が口を開く。
「……本人に聞いてくれ」
牙琉はじっとその紙を強く見つめる。
~To be continued~
総合病院 階段
診察を終えて、階段を降りていた。
「やぁ、枯山さん」
初夏の風のような爽やかな声に呼ばれ、そちらを見た。
「がっが牙琉さん!?」
褐色肌のイケメンと会い、思わず目を大きく開けて、まじまじと見つめてしまう。
「そんなに見つめて……また会えて嬉しい?」
「あっあの!!……その……」
ギュッと拳を握り、声を出す。
「ささー裁、判のっとき…は…たた倒れて、すすすみ、ませ、んで、した……」
頭を下げた。
彼がはぁとため息をこぼしたので、うっと肩をすくめた。
「君が謝ることじゃない。僕も知っていて、君に無理に証言してもらったんだから」
けど、自分勝手な思いからあんな風な証言をしてしまった。
それは紛れもなくあたしが悪い。
「そっその……ままままた、じっ事件ですっか?」
「いいや。今日は君の先生に訊きたいことがあって、来ただけさ」
「ききっ訊きたっい、こと、ですか」
「君にも訊きたいことがあったんだ」
「なななんっなんですっか?」
「僕は今、とある人物を探していてね」
牙琉検事は真剣な表情を向けてくる。
「"夕間 紅葉"って人を知っているかい?」
全く聞き覚えのない名前に、あたしは首を横に振った。
同日 午後1時7分
総合病院 通話スペース
病院内の通話スペースで、牙琉響也はイラ立った様子でスマホに話していた。
「聖河 理来(セイガ リク)刑事、どういうことだい?
盗まれたモノは何もなかっただって?」
『なかった。そうおっしゃってるでしょう。俺たちの捜査にミスはありません。
それでも、信用できないのであれば、ご自分の目で確かめたらいかがですか?』
「あぁ、そうさせてもらうよ」
ふんっと鼻を鳴らした音のあとに、一方的に電話を切る音がした。
牙琉響也はスマホをしまい、通話スペースから離れた。
彼はモデルのような長い足を、無間 魁人の診察室に向かわせる。
同日 午後1時17分
総合病院 無間 魁人の診察室
「盗まれたモノはありませんよ」
ケホケホッと咳き込みながら、顔色の悪い医者は前髪から覗く隻眼を牙琉に向けている。
「……では、先ほど指定した患者のカルテを見せてもらえませんか?」
「個人情報保護法で関係ない人に見せることはできない」
「情報が漏れるとマズイ箇所は伏せてもらって結構です」
はぁーと無間はため息をこぼした。
「……コピーでよろしければ」
「ありがとう」
少ししてコピーしたカルテを持って無間が戻ってきた。
「どうぞ。これがそうです」
その紙の内容を見て、牙琉が綺麗な眉間を崩した。
「ここの項目だけど」
無間は首を横に振る。
「そこは私からは答えられない。もし、気になるのであれば」
少し躊躇して、無間が口を開く。
「……本人に聞いてくれ」
牙琉はじっとその紙を強く見つめる。
~To be continued~
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