賽は投げられた
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同日 某時刻
低柄駅 改札口
一階建ての建物の前に成歩堂は立っていた。
「ここが現場か」
青い屋根の白い建物が駅の改札であり、その向こう側に線路が広がっている。
駅の前ではタクシーが数台停まって、客を待っていた。
(警察がいても、仕事はいつも通りか……)
「なにかあったんですか?」
「え」
ショートカットの女性が成歩堂に声をかけてきた。
「刑事さんですよね?」
「あっボクは刑事じゃなくて、弁護士です」
「あら。すみません、勘違いしてしまって。あなたが警官と話していたのでつい」
どうやら、先ほど成歩堂が警官に話しかけていたのを見ていたらしい。
「それでなにがあったんですか?」
「ここで……事件がありまして」
「まぁ!事件?もしかして、誰かお亡くなりになったんですか?」
「藪下 壮太という方ですよ」
「ええ!?」
女性は成歩堂の言葉を聞き、目を大きく開く。
「……知ってる方なんですか?」
「あっ。いえ。知ってるというか、うちに通ってる患者さんがよく口にしていた名前だったので」
「患者?」
「黒谷 杏里さんという女性です」
「実は、その容疑者になってるのが、彼女なんです」
「ええええええ!?」
「よろしければ、お話を詳しく伺ってもいいですか?」
「はい。構いません。私も詳しく訊きたいですから」
≪黒谷 杏里について≫
「黒谷さんは、うちの岡本眼科の患者さんなんです」
「あなたはその眼科の?」
「はい。医療事務をしています。珍しい患者さんなんでよく覚えていますよ」
「珍しい?」
「黒谷さんは“ド遠眼”なんです」
「ド“遠”眼?」
「普通、目が悪い人って遠くのものが見えないものでしょう。
けど、黒谷さんはその逆なんです。
近くの物は全く見えなくて遠くの物は見えるという“遠視”の患者さんなんです」
「老眼とは違うんですか?」
成歩堂の頭に、ワインレッドスーツの検事局長の姿が浮かぶ。
(目が悪くなったと言っていたが、果たして“どっち”なのかな)
「老眼は目の水晶体が硬くなって調節できなくなる症状なので、それとはまた別ですよ」
「あぁ、そうなんですか。それは……確かに珍しいですね」
「だから、眼鏡をつくるときに相当苦労されてるようですよ。しっかり度があった眼鏡でないと、近くのモノが見えなくてまともに歩けないと言ってましたから」
「そうなんですか」
「あの、それで、彼女は一体なにをしたんですか?」
成歩堂が話せる範囲で医療事務員の女性に話をして、彼女からある程度情報を聞き出したあと、彼はその女性と別れた。
低柄駅 改札口
一階建ての建物の前に成歩堂は立っていた。
「ここが現場か」
青い屋根の白い建物が駅の改札であり、その向こう側に線路が広がっている。
駅の前ではタクシーが数台停まって、客を待っていた。
(警察がいても、仕事はいつも通りか……)
「なにかあったんですか?」
「え」
ショートカットの女性が成歩堂に声をかけてきた。
「刑事さんですよね?」
「あっボクは刑事じゃなくて、弁護士です」
「あら。すみません、勘違いしてしまって。あなたが警官と話していたのでつい」
どうやら、先ほど成歩堂が警官に話しかけていたのを見ていたらしい。
「それでなにがあったんですか?」
「ここで……事件がありまして」
「まぁ!事件?もしかして、誰かお亡くなりになったんですか?」
「藪下 壮太という方ですよ」
「ええ!?」
女性は成歩堂の言葉を聞き、目を大きく開く。
「……知ってる方なんですか?」
「あっ。いえ。知ってるというか、うちに通ってる患者さんがよく口にしていた名前だったので」
「患者?」
「黒谷 杏里さんという女性です」
「実は、その容疑者になってるのが、彼女なんです」
「ええええええ!?」
「よろしければ、お話を詳しく伺ってもいいですか?」
「はい。構いません。私も詳しく訊きたいですから」
≪黒谷 杏里について≫
「黒谷さんは、うちの岡本眼科の患者さんなんです」
「あなたはその眼科の?」
「はい。医療事務をしています。珍しい患者さんなんでよく覚えていますよ」
「珍しい?」
「黒谷さんは“ド遠眼”なんです」
「ド“遠”眼?」
「普通、目が悪い人って遠くのものが見えないものでしょう。
けど、黒谷さんはその逆なんです。
近くの物は全く見えなくて遠くの物は見えるという“遠視”の患者さんなんです」
「老眼とは違うんですか?」
成歩堂の頭に、ワインレッドスーツの検事局長の姿が浮かぶ。
(目が悪くなったと言っていたが、果たして“どっち”なのかな)
「老眼は目の水晶体が硬くなって調節できなくなる症状なので、それとはまた別ですよ」
「あぁ、そうなんですか。それは……確かに珍しいですね」
「だから、眼鏡をつくるときに相当苦労されてるようですよ。しっかり度があった眼鏡でないと、近くのモノが見えなくてまともに歩けないと言ってましたから」
「そうなんですか」
「あの、それで、彼女は一体なにをしたんですか?」
成歩堂が話せる範囲で医療事務員の女性に話をして、彼女からある程度情報を聞き出したあと、彼はその女性と別れた。