下手の横好き
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
2月15日 午前6時03分
鬼風アジト
仮眠を取っていたモミジは、部屋のソファで身を起こす。
うーんと伸びをして、大きなあくびをひとつした。
モミジは優男ではなく醜女(シコメ)姿に戻っている。
「あぁ、たくっ。骨折り損のくたびれ儲けとはこのことだ」
昨夜のことを思い出し、大きなため息を吐き出した。
そんなモミジを見ながら、杏里はパキッと板チョコを噛み切っている。
「杏里。アンタ本当に甘い物好きだよなぁ」
「バレンタインが終わってセールやってたらからな」
白衣の眼鏡女がククッ♪と上機嫌に笑う。
「……お前も食う?形はつまんねえけど、味はなかなかだぜ」
「甘い物好きじゃないから遠慮する」
モミジは手を突き出して、力いっぱい拒否した。
「それよりいいのか?モミジ。お前のチョコをあの子にあげちゃって」
「いいんだよ。可愛い子の方があのチョコも喜ぶだろうし」
「しかしわからんなぁー」
「なにが?」
食べかけのチョコを見ながら、ポツリと杏里がこぼす。
「捨てるためのチョコをわざわざ買ってくる理由が」
「……別にいいだろ」
「往生際が悪いんじゃねえの」
モミジが窓を開けると、東の地平線に沿うように赤い線が燃えている。
東の空を照らし、地平線から柔らかな光がもれる。
醜女が木の根のように不格好なザラザラした手を光に向けてかざした。
地平線から黄色い光をまとい、夕日のようなオレンジ色の小さな丸い塊が現れる。
指よりも少し大きい程度の太陽の姿を、手で覆い隠す。
ギュッと太陽に向かって拳を握るが、
その拳の中には、もちろん輝かしい日輪などありはしない。
地平線に変わらず光り続ける黄金の火の輪に、醜女は目を強く細める。
モミジは苦い薬でも飲み干したような顔になった。
「手に入らないってわかってるから……欲しくなるんだよ」
~To be continued~
鬼風アジト
仮眠を取っていたモミジは、部屋のソファで身を起こす。
うーんと伸びをして、大きなあくびをひとつした。
モミジは優男ではなく醜女(シコメ)姿に戻っている。
「あぁ、たくっ。骨折り損のくたびれ儲けとはこのことだ」
昨夜のことを思い出し、大きなため息を吐き出した。
そんなモミジを見ながら、杏里はパキッと板チョコを噛み切っている。
「杏里。アンタ本当に甘い物好きだよなぁ」
「バレンタインが終わってセールやってたらからな」
白衣の眼鏡女がククッ♪と上機嫌に笑う。
「……お前も食う?形はつまんねえけど、味はなかなかだぜ」
「甘い物好きじゃないから遠慮する」
モミジは手を突き出して、力いっぱい拒否した。
「それよりいいのか?モミジ。お前のチョコをあの子にあげちゃって」
「いいんだよ。可愛い子の方があのチョコも喜ぶだろうし」
「しかしわからんなぁー」
「なにが?」
食べかけのチョコを見ながら、ポツリと杏里がこぼす。
「捨てるためのチョコをわざわざ買ってくる理由が」
「……別にいいだろ」
「往生際が悪いんじゃねえの」
モミジが窓を開けると、東の地平線に沿うように赤い線が燃えている。
東の空を照らし、地平線から柔らかな光がもれる。
醜女が木の根のように不格好なザラザラした手を光に向けてかざした。
地平線から黄色い光をまとい、夕日のようなオレンジ色の小さな丸い塊が現れる。
指よりも少し大きい程度の太陽の姿を、手で覆い隠す。
ギュッと太陽に向かって拳を握るが、
その拳の中には、もちろん輝かしい日輪などありはしない。
地平線に変わらず光り続ける黄金の火の輪に、醜女は目を強く細める。
モミジは苦い薬でも飲み干したような顔になった。
「手に入らないってわかってるから……欲しくなるんだよ」
~To be continued~