下手の横好き
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「なぜなら、ピンクダイヤは手に入ったからな」
安田の声を代弁したように、安田の頭上から声が降ってくる。
「なっ!?」
辺りを見回すが、声の主は見つからない。
「周りを見ても誰も居ないわよ。だって、放送室から流してるからね」
「店内放送!?……警備は一体なにをしているんだ!」
安田の昂ぶった声を無視して、声は喋り続ける。
「あなたの計画はこうでしょ。
本物のピンクダイヤを、ピンクダイヤのショコラに紛れさせて、盗み出す。
そして、本物のピンクダイヤを鬼風が盗んだことにしてしまう。
だけど、どうしてミスをしたかは知らないが、
その本物を間違ってお客に売ってしまった。
そこであんたは考えたんだろう。
ピンクダイヤのショコラを買った女性たちから、ショコラを盗み出し
本物を盗り返したあと
すべてを鬼風の仕業にすることを。
だから、偽者を用意して、そいつにすべての濡れ衣を着せる予定だったんでしょ?」
「でたらめだ!」
ガラスドーム内で安田の声が木霊した。
ドームの外に居た客たちが、その様子を覗き込んでいる。
「証拠もないのに嘘を並べ立てやがって!」
「証拠?それなら」
足元から声がして、思わず見下ろす。
安田の体が怒りと驚きで硬直した。
捕らえていたはずの男の手にピンクダイヤのショコラの箱がある。
副オーナーはスーツのポケットを見下ろし、中を探るように叩いた。
「鬼風に盗られたということにして、この騒ぎで本物を手に入れるために、
あんな偽の予告状を出したんだろ?
そして、その証拠は……リボンの裏にあるはずだぞ」
男が包装のリボンを副オーナーに見えるように突きつける。
「"綾里真宵"と書かれた春美ちゃんのサインが」
男の言う通りそこにはハッキリとマヨイの名前が書かれていた。
「なんなんだお前は!?」
ふっと男の口元に、逢魔が時にできる夕影のような笑みを浮かべる
「つれないねぇ」
「知らざぁ言って聞かせやしょう
闇に浮かびし 紅葉がしとつ
紅き楓に 魅せられし
異形の者なり
山の大金 積まれても
手には入らぬ お宝を
この手の内に 奪いやしょう
悪党鬼風とは 俺のことよぉ」
「なっ!?馬鹿な!?お前が鬼風だと!?」
「おいおい。驚くこたぁねえだろ?
招待状をくれたのはそっちなんだからよぉ?」
「お前は人形しか盗まないはずじゃ!?」
「あぁ、そうさ。
だが、今回の目的はそんなくだらねえ石ころじゃねえよ。
アンタに盗られた乙女たちのチョコレートだ」
「金か?それならいくらでも出す」
「話を聴いてねえやつはお断りだ。
私が欲しいのはただ一つ
山の大金を積まれても
到底、手には入らねえお宝だけさ」
「犯罪者の分際で義賊のつもりか!?」
安田はやけになって鬼風に拳を振る。
「ギゾク?馬鹿言え。
私がそんな痒い存在なわけねえだろ」
それを鬼風はひょいっと避ける。
「ただ私は、てめぇが気に入らねぇから実行したまでだ」
鬼風は懐から鎖を取り出し、副オーナーの体に巻き付ける。
そして、偽物のピンクダイヤが展示されていた台座に副オーナーを縛りつけた。
「くっ!くそっ放せ!」
「本当は私のチョコの居所も吐かせたいところだが、
……今回私は手を出す気はない」
鬼の怪盗は意味ありげな笑みを唇に描き、天井へとジャンプした。
「……私はな」
バンッ!!と乱暴に開いたドアの音に、副オーナーがハっと視線を向ける。
扉からは修羅のような気を身にまとう和装束の少女が入ってきた。
彼女の背後からはチョコを取り戻した被害者女性たちがぞろぞろとついてくる。
一歩一歩をゆっくりと踏み込みながら、集団が副オーナーに近づいていく。
そして、空の台座に縛られた副オーナーの前に女性の軍勢が立ち止まった。
焼きつくような眼光で見下ろす少女と、殺気を放つ女性たち。
その中心の少女が口を開く。
「女性のチョコを利用したこと……覚悟なさいませ」
怒りを凝縮して、すごみさえ感じる無機質な口調で春美が告げる。
顔面を蒼白にさせながら、安田大輝は体を硬直させる。
天井のシャンデリアの上から、鬼風はその光景を眺めていた。
「時に"復讐"と"恋愛"において、"女"は男よりも"野蛮"である……なーんてね」
赤鬼の面を頭までずりあげた男性は、顔に柔らかな"女"の笑みを浮かべる。
「女を侮るなよ。確かに私たちは非力だが、その魂は強かなのだから」
静かにそう零すと、先ほど開けた天井の穴から鬼風は脱出した。
安田の声を代弁したように、安田の頭上から声が降ってくる。
「なっ!?」
辺りを見回すが、声の主は見つからない。
「周りを見ても誰も居ないわよ。だって、放送室から流してるからね」
「店内放送!?……警備は一体なにをしているんだ!」
安田の昂ぶった声を無視して、声は喋り続ける。
「あなたの計画はこうでしょ。
本物のピンクダイヤを、ピンクダイヤのショコラに紛れさせて、盗み出す。
そして、本物のピンクダイヤを鬼風が盗んだことにしてしまう。
だけど、どうしてミスをしたかは知らないが、
その本物を間違ってお客に売ってしまった。
そこであんたは考えたんだろう。
ピンクダイヤのショコラを買った女性たちから、ショコラを盗み出し
本物を盗り返したあと
すべてを鬼風の仕業にすることを。
だから、偽者を用意して、そいつにすべての濡れ衣を着せる予定だったんでしょ?」
「でたらめだ!」
ガラスドーム内で安田の声が木霊した。
ドームの外に居た客たちが、その様子を覗き込んでいる。
「証拠もないのに嘘を並べ立てやがって!」
「証拠?それなら」
足元から声がして、思わず見下ろす。
安田の体が怒りと驚きで硬直した。
捕らえていたはずの男の手にピンクダイヤのショコラの箱がある。
副オーナーはスーツのポケットを見下ろし、中を探るように叩いた。
「鬼風に盗られたということにして、この騒ぎで本物を手に入れるために、
あんな偽の予告状を出したんだろ?
そして、その証拠は……リボンの裏にあるはずだぞ」
男が包装のリボンを副オーナーに見えるように突きつける。
「"綾里真宵"と書かれた春美ちゃんのサインが」
男の言う通りそこにはハッキリとマヨイの名前が書かれていた。
「なんなんだお前は!?」
ふっと男の口元に、逢魔が時にできる夕影のような笑みを浮かべる
「つれないねぇ」
「知らざぁ言って聞かせやしょう
闇に浮かびし 紅葉がしとつ
紅き楓に 魅せられし
異形の者なり
山の大金 積まれても
手には入らぬ お宝を
この手の内に 奪いやしょう
悪党鬼風とは 俺のことよぉ」
「なっ!?馬鹿な!?お前が鬼風だと!?」
「おいおい。驚くこたぁねえだろ?
招待状をくれたのはそっちなんだからよぉ?」
「お前は人形しか盗まないはずじゃ!?」
「あぁ、そうさ。
だが、今回の目的はそんなくだらねえ石ころじゃねえよ。
アンタに盗られた乙女たちのチョコレートだ」
「金か?それならいくらでも出す」
「話を聴いてねえやつはお断りだ。
私が欲しいのはただ一つ
山の大金を積まれても
到底、手には入らねえお宝だけさ」
「犯罪者の分際で義賊のつもりか!?」
安田はやけになって鬼風に拳を振る。
「ギゾク?馬鹿言え。
私がそんな痒い存在なわけねえだろ」
それを鬼風はひょいっと避ける。
「ただ私は、てめぇが気に入らねぇから実行したまでだ」
鬼風は懐から鎖を取り出し、副オーナーの体に巻き付ける。
そして、偽物のピンクダイヤが展示されていた台座に副オーナーを縛りつけた。
「くっ!くそっ放せ!」
「本当は私のチョコの居所も吐かせたいところだが、
……今回私は手を出す気はない」
鬼の怪盗は意味ありげな笑みを唇に描き、天井へとジャンプした。
「……私はな」
バンッ!!と乱暴に開いたドアの音に、副オーナーがハっと視線を向ける。
扉からは修羅のような気を身にまとう和装束の少女が入ってきた。
彼女の背後からはチョコを取り戻した被害者女性たちがぞろぞろとついてくる。
一歩一歩をゆっくりと踏み込みながら、集団が副オーナーに近づいていく。
そして、空の台座に縛られた副オーナーの前に女性の軍勢が立ち止まった。
焼きつくような眼光で見下ろす少女と、殺気を放つ女性たち。
その中心の少女が口を開く。
「女性のチョコを利用したこと……覚悟なさいませ」
怒りを凝縮して、すごみさえ感じる無機質な口調で春美が告げる。
顔面を蒼白にさせながら、安田大輝は体を硬直させる。
天井のシャンデリアの上から、鬼風はその光景を眺めていた。
「時に"復讐"と"恋愛"において、"女"は男よりも"野蛮"である……なーんてね」
赤鬼の面を頭までずりあげた男性は、顔に柔らかな"女"の笑みを浮かべる。
「女を侮るなよ。確かに私たちは非力だが、その魂は強かなのだから」
静かにそう零すと、先ほど開けた天井の穴から鬼風は脱出した。