下手の横好き
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2月14日 午後7時00分
氷室デパート 屋上展示場
夕日のオレンジ色の太陽光が沈み、屋上のガラスドーム以外は闇に包まれていた。
都会の空には弱々しい星々が瞬いている。
ガラス板のはめこまれた建物の中には、警察とその副オーナーである安田が居た。
そのガラスドームの外で怪盗目当てに集まった野次馬が密集している。
バチンッ。
薄墨色の闇がガラスドームの中に落とされる。
ドームの外も同じように黒で染まった風景に変わっていた。
ハーッハッハッハ!
漆黒の中で高らかな笑い声が響く。
パッとドーム内に光が戻ると、ドームの中央に黒い装束に赤い仮面の男が居た。
鬼面の男はピンクダイヤの飾られた台座を覆うガラスケースの上に立っている。
「確保ぉーーーー!!」
警部の声で警官が一斉に、その男に群がる。
「うっうわーーーーーーっ!!」
鬼風が背後に両手を回され、紗針刑事に手錠で拘束される。
「やりましたね!警部!とうとう鬼風を逮捕しましたよ!」
「ふんっ!警察を舐めるなよ!このコソ泥めっ。さんざん手こずらせやがって!」
その様子を副オーナーがハハハッと豪快に笑う。
「これで怪盗もおしまいですな」
「終わり?終わりじゃねえよ」
ハッとガラスドーム内の全員が、捕らえた鬼風に顔を向ける。
「おいっお前なにか言っ……」
「これから始まるんだよ」
捕らえた男以外から聞こえた声に、
警察や副オーナーは声の主を見つけようと辺りを見回す。
「なっなんなんだ!?」
ふと警部が鬼風を見て、眉をしかめる。
「っ!おいっ!待て!」
ハッとなにかに気付いた警部が、鬼の仮面をビッと無理矢理外した。
「いてっ」
「!誰だ!?こいつは!?」
仮面の下から出てきた男の顔を見て、警部は驚嘆の声をあげた。
「えっ鬼風ですけど?」
「まったくの別人ではないか!バカモノ!!」
「えっですが、鬼風の正体は謎に包まれていて……」
「バカタレ!いつの話をしとるんだ!例の人形屋敷の裁判があっただろ!
そのときに鬼風の素顔が公表されたはずだ!
けど、目の前の男は一ミリも似とらん別人だろうが!」
「それなら!」
紗針刑事が男の頬を引っ張る。
「いででででで!!」
「変装じゃない!?」
「くそっ!こいつは偽者なら、本物はいったいどこに!?」
「こっちだ!こっち!」
威勢の良い声が上から聞こえ、全員天井を仰ぎ見る。
黒装束に赤い鬼の仮面の男が、天井の真ん中のシャンデリアの上に立っていた。
「怪盗鬼風!ここに参上!」
「バカなっ!なんでお前が!!」
副オーナーが鬼風の姿を見て、悲鳴のような声をあげた。
「乙女から盗んだチョコは確かに返してもらったぜ!」
「なっ!?」
言葉を失う副オーナー。
「盗んだチョコ……?」
警部が怪訝な顔で副オーナーを睨む。
「チョコをぬっ盗んだのはお前だろ!このコソ泥がっ!!」
「それならもう盗り返した。
被害者の乙女たちは自分のバックかポケットを見てみな!」
男の言葉を聞き、ドームの外で女性たちが一斉にごそごそと自身の服やバッグを探る。
「あっ!私のチョコ!」
「ダーリンへのチョコだわ!」
「デパートで買った高級チョコ!!」
次々と女性たちが喜びの声をあげていく。
女性たちの声を聞き届けてから、赤鬼の面の男が真ん中の天井まで大きく飛び上がる。
パリンッと天井のガラスが割れ、そこから外の夜風が入り込む。
「逃げたぞっ!追えっ!」
警官たちがピンクダイヤの台座に繋がれた偽者を置き去りにして、外へと飛び出す。
副オーナーだけは一人残って、笑みを浮かべる。
「……逃げたか。だが、まぁいい」
氷室デパート 屋上展示場
夕日のオレンジ色の太陽光が沈み、屋上のガラスドーム以外は闇に包まれていた。
都会の空には弱々しい星々が瞬いている。
ガラス板のはめこまれた建物の中には、警察とその副オーナーである安田が居た。
そのガラスドームの外で怪盗目当てに集まった野次馬が密集している。
バチンッ。
薄墨色の闇がガラスドームの中に落とされる。
ドームの外も同じように黒で染まった風景に変わっていた。
ハーッハッハッハ!
漆黒の中で高らかな笑い声が響く。
パッとドーム内に光が戻ると、ドームの中央に黒い装束に赤い仮面の男が居た。
鬼面の男はピンクダイヤの飾られた台座を覆うガラスケースの上に立っている。
「確保ぉーーーー!!」
警部の声で警官が一斉に、その男に群がる。
「うっうわーーーーーーっ!!」
鬼風が背後に両手を回され、紗針刑事に手錠で拘束される。
「やりましたね!警部!とうとう鬼風を逮捕しましたよ!」
「ふんっ!警察を舐めるなよ!このコソ泥めっ。さんざん手こずらせやがって!」
その様子を副オーナーがハハハッと豪快に笑う。
「これで怪盗もおしまいですな」
「終わり?終わりじゃねえよ」
ハッとガラスドーム内の全員が、捕らえた鬼風に顔を向ける。
「おいっお前なにか言っ……」
「これから始まるんだよ」
捕らえた男以外から聞こえた声に、
警察や副オーナーは声の主を見つけようと辺りを見回す。
「なっなんなんだ!?」
ふと警部が鬼風を見て、眉をしかめる。
「っ!おいっ!待て!」
ハッとなにかに気付いた警部が、鬼の仮面をビッと無理矢理外した。
「いてっ」
「!誰だ!?こいつは!?」
仮面の下から出てきた男の顔を見て、警部は驚嘆の声をあげた。
「えっ鬼風ですけど?」
「まったくの別人ではないか!バカモノ!!」
「えっですが、鬼風の正体は謎に包まれていて……」
「バカタレ!いつの話をしとるんだ!例の人形屋敷の裁判があっただろ!
そのときに鬼風の素顔が公表されたはずだ!
けど、目の前の男は一ミリも似とらん別人だろうが!」
「それなら!」
紗針刑事が男の頬を引っ張る。
「いででででで!!」
「変装じゃない!?」
「くそっ!こいつは偽者なら、本物はいったいどこに!?」
「こっちだ!こっち!」
威勢の良い声が上から聞こえ、全員天井を仰ぎ見る。
黒装束に赤い鬼の仮面の男が、天井の真ん中のシャンデリアの上に立っていた。
「怪盗鬼風!ここに参上!」
「バカなっ!なんでお前が!!」
副オーナーが鬼風の姿を見て、悲鳴のような声をあげた。
「乙女から盗んだチョコは確かに返してもらったぜ!」
「なっ!?」
言葉を失う副オーナー。
「盗んだチョコ……?」
警部が怪訝な顔で副オーナーを睨む。
「チョコをぬっ盗んだのはお前だろ!このコソ泥がっ!!」
「それならもう盗り返した。
被害者の乙女たちは自分のバックかポケットを見てみな!」
男の言葉を聞き、ドームの外で女性たちが一斉にごそごそと自身の服やバッグを探る。
「あっ!私のチョコ!」
「ダーリンへのチョコだわ!」
「デパートで買った高級チョコ!!」
次々と女性たちが喜びの声をあげていく。
女性たちの声を聞き届けてから、赤鬼の面の男が真ん中の天井まで大きく飛び上がる。
パリンッと天井のガラスが割れ、そこから外の夜風が入り込む。
「逃げたぞっ!追えっ!」
警官たちがピンクダイヤの台座に繋がれた偽者を置き去りにして、外へと飛び出す。
副オーナーだけは一人残って、笑みを浮かべる。
「……逃げたか。だが、まぁいい」