下手の横好き
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2月13日 午後11時03分
氷空デパート 屋上
黒装束に身を包んだ赤鬼が白い大凧で夜の空に浮かんでいた。
「≪牡丹の梅姫≫、確かに頂きやしたっ!」
「追えっ!逃がすな!」
警官姿の鬼風は、警官たちと一緒にそのダミーの大凧を見上げていた。
引っかかってる引っかかってる。
警帽のツバを持ちながら、鬼風は凧から響く録音した自分の声を警官たちと聞いていた。
警察がダミーの凧に気を取られてる隙に警官に紛れて、デパートを脱出する計画のようである。
まんまと鬼風がデパートから抜け出すと、いつもの青いシャツの黒スーツ姿に着替える。
眼鏡をかけ、変装を完了した。
「お姫さま確保っと」
鬼風は速足で路地裏に入ろうとしたが、曲がり角で人が鬼風の目に飛び込んできた。
鬼風は接触を避けようとしたが、相手の動きに目を鋭く細める。
とっさに梅姫を盗られないように、体をかばった。
相手の右手が空を切る。
鬼風は思わずホッと息を吐き出した。
そのあとすぐに、相手を捕まえようとしたが、すでに相手の姿は消えていた。
逃げられたか。
チッと鬼風は舌打ちをした。
「あっぶねえなぁ」
悪態を吐くが、内心は相手の力量に舌を巻いていた。
鬼風が感心するほど、相手のスリの技術はなかなかのものだった。
まぁ、この鬼風さまから物を盗ろうなんぞ100年早ぇ……
ふと、鬼風は違和感を感じた。
なんか体が軽いような……
モミジは目をむいた。
――――まさか!?
服の懐を見下ろす。
それから、肌着まで脱ぎ、男姿の平坦な胸を外にさらす。
だが、あるはずの箱がそこに見当たらなかった。
現在の状況――――鬼風のショコラがスリに盗まれた。
それを認識した瞬間、モミジの頭の中でいろんな何かがいっせいに弾け飛んだ。
「ふ…………っざけんじゃねえぞ
××××野郎がああああああああああ―――――っっ!!」
ミステリアスな怪盗のイメージを粉砕するような絶叫が
夜の静寂に響き渡った。