親の心子知らず
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2月7日 午後4時01分
成歩堂なんでも事務所
オドロキが郵便受けをチェックすると、白い封筒が一通だけ入っていた。
何気なく封筒をひっくり返すが、裏にはなにも書かれていない。
「あれ、差出人がないぞ?」
「どうしたんですか?オドロキセンパイ」
心音が給湯室から急須を持って出てくる。
「なんか怪しい手紙が入ってて……捨てちまおうかな」
「一応、中身だけ確認してから捨てたほうがよくないですか?」
オドロキが渋い表情をした。
「まぁ、やっぱそうだよな」
「そもそも誰宛てなんですか?」
「それが……」
オドロキが後輩に宛名を見せると、ココネは頭上に疑問符を浮かべた。
「ただいまー」
制服姿のみぬきが事務所に入ってきた。
「あっおかえり」
「おかえりみぬきちゃん」
「どうしたんだい?二人とも封筒とにらめっこなんかして」
みぬきの後から所長の成歩堂が入ってきて、部下たちの様子に首を傾げる。
オドロキが切り出す。
「実は……この事務所宛てに変な手紙が送られてきたみたいなんです」
「なんか、宛名が"卵"ってなってるんですけど」
「卵?????」
成歩堂も部下たちの言葉に意味がわからなかった。
ただ一人みぬきだけは、その言葉にピンときた。
「それ、中身はわかりますか?」
「いや。今開けてみるよ」
オドロキは封を切って、中身を慎重に取り出す。
「えっこれ……小切手……」
紙に漢数字で書かれた金額を目で読み上げ、オドロキは目を大きくかっ開く。
「にっっっっっ!?!?!?」
オドロキがばっと顔をあげる。
「この凄いお金どうしたの!?みぬきちゃん!?」
「えっセンパイどうしてみぬきちゃん宛てだってわかるんですか?」
「だってほら。中に入ってた紙に……」
白い紙に癖のある字で"お日様の魔術師へ"と書かれている。
そのメッセージにふと、みぬきの頭に鬼の面を被った青年の顔が浮かぶ。
「魔術師……だから、みぬきちゃんだと思ったんだけど」
「なんで"お日様"なんですか???」
「みぬきは太陽なんかよりも輝いてると思うけどな」
オヤバカーという声がモニタから出て、ココネが慌てて両手でモニタを掴む。
「それで心当たりはあるのかい?みぬきちゃん」
オドロキは背後で後輩が所長から笑顔でにじり寄られているのを無視しつつ、尋ねた。
少女は両腕を後ろに回し、踵を上げ下げして体を揺らす。
朝日を受けて開く朝顔のように、笑顔を咲かす。
「みぬきの足長おじさんです」
「えっみぬき、それはどういう……」
みぬきの義父である所長は、自分の知らぬ男の存在に表情を強張らせる。
「決めました」
「なにを?」
「鬼風さんをスカウトします」
えええええええという弁護士三人の絶叫が事務所に響いた。
「とっ突然どうしたんだ!?」
成歩堂が狼狽えながら、娘に尋ねる。
みぬきは腕組みをしながら、視線を斜め上に流す。
「前から思ってたの。
この事務所の弁護部門は充実してるけど、芸能部門はみぬきだけになったでしょ。
だから、ここはひとつ。
インパクトのある芸人をドーンと増やすべきだと思って」
「だからって、泥棒だよ!?」
顔を若干青ざめながらオドロキがみぬきの考えを取り消そうとする。
「でも、あの身体能力は芸人向きだと思うんですよ」
「確かに」
心音がうんうんと頷く。
「オドロキさん。勧誘よろしくお願いしますね」
「はぁ!?なんでオレが!?」
「だって、鬼風さん。オドロキさんの誘いなら喜んで引き受けてくれそうだから」
オドロキの顔面が真っ青になる。
「勘弁してくれよ……」
「あっ。オドロキさんの写真をチラつかせた方がいいかな?」
「ちょっ!!!オレの写真ってなにィ!?!?」
~To be continued~