親の心子知らず
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
追っ手を振り切り、別のアジトへと逃げ込んだ鬼風。
薄暗い中で通信のやり取りがされている。
『計算上はこのビルが正解だろうな』
「それで計画は以上か?」
『おう』
「悪いな。杏理。今回は手間をとらせることになりそうだ」
『いつもの間違いだろ』
「今回は特にだよ」
言葉を考えてから、鬼風は不安そうに声をかける。
「ヤバそうだったら言え」
『冗談。お前と一緒にするなよ』
「茶化すな」
『腕は鈍っちゃいねえよ。それに見つかったとしてもすぐに駆けつけられねえさ』
「……アンタを信じるよ」
鬼風は納得していないようにそう告げる。
『健闘を祈るぜ』
そう言って通信が切られる。
「……なにか用か?ガキんちょ」
モミジは前を向いたまま、背後から近付いてくる浩太に声をかけた。
「ふん!おまえなんてうちにもどったらママがつかまえてくれる!かくごしろよ!」
「オヤジさんはいいのか?」
「ぱぱはしんだからいない」
「そうか……そういやそうだったな」
「べつにままがいるからさびしくない」
「そんなにママが好きなのか?あんた」
「だいすきにきまってるだろ!」
遅く言えば言うほど、浩太の傷は深くなるだろう。
鬼風は刃を下ろす決意をした。
「そのママがお前を殺そうとしてもか?」
「……ころす?」
「お前が死ねばいいと思っててもか?」
カァーッと浩太の顔面に朱が走る。
「でたらめいうなよ!このどろぼう!ママがそんなことおもってるもんか!」
「どうして?」
「ママはぼくにいつでもやさしい!だから、ママがそんなひどいことおもうもんか!」
「自分にひどいことを言わない人が良い人だとは限らねえんだよ」
「おまえ、ぼくのことがきらいだからそういうこというんだろ!
そんなうそいったってぼくはへいきだぞ!」
「あぁ、てめえみたいなクソガキは大嫌いだよ。私は」
振り返り、モミジは子どもの前まで近づく。
無表情に自分を見下ろす鬼の青年に、子どもがわずかに後ずさる。
モミジはその場にしゃがみこむと、子どもの胸倉をつかみ自身の方に引き寄せた。
「自分の与えられた世界がすべて正しいと思い込んで
本当に大事な人を蔑ろにしてるような子どもはな」
白刃のような鋭い視線に、子どもは震えあがり声が出せない。
胸倉を放し、モミジは子どもに背を向ける。
「今のお前に言っても無駄だろうけどな」
それきり声が発せられることはなかった。
「―――――――時間だ」
黒い装束に着替え、赤い般若の面を被り、鬼風は富士井屋敷に向かう。
薄暗い中で通信のやり取りがされている。
『計算上はこのビルが正解だろうな』
「それで計画は以上か?」
『おう』
「悪いな。杏理。今回は手間をとらせることになりそうだ」
『いつもの間違いだろ』
「今回は特にだよ」
言葉を考えてから、鬼風は不安そうに声をかける。
「ヤバそうだったら言え」
『冗談。お前と一緒にするなよ』
「茶化すな」
『腕は鈍っちゃいねえよ。それに見つかったとしてもすぐに駆けつけられねえさ』
「……アンタを信じるよ」
鬼風は納得していないようにそう告げる。
『健闘を祈るぜ』
そう言って通信が切られる。
「……なにか用か?ガキんちょ」
モミジは前を向いたまま、背後から近付いてくる浩太に声をかけた。
「ふん!おまえなんてうちにもどったらママがつかまえてくれる!かくごしろよ!」
「オヤジさんはいいのか?」
「ぱぱはしんだからいない」
「そうか……そういやそうだったな」
「べつにままがいるからさびしくない」
「そんなにママが好きなのか?あんた」
「だいすきにきまってるだろ!」
遅く言えば言うほど、浩太の傷は深くなるだろう。
鬼風は刃を下ろす決意をした。
「そのママがお前を殺そうとしてもか?」
「……ころす?」
「お前が死ねばいいと思っててもか?」
カァーッと浩太の顔面に朱が走る。
「でたらめいうなよ!このどろぼう!ママがそんなことおもってるもんか!」
「どうして?」
「ママはぼくにいつでもやさしい!だから、ママがそんなひどいことおもうもんか!」
「自分にひどいことを言わない人が良い人だとは限らねえんだよ」
「おまえ、ぼくのことがきらいだからそういうこというんだろ!
そんなうそいったってぼくはへいきだぞ!」
「あぁ、てめえみたいなクソガキは大嫌いだよ。私は」
振り返り、モミジは子どもの前まで近づく。
無表情に自分を見下ろす鬼の青年に、子どもがわずかに後ずさる。
モミジはその場にしゃがみこむと、子どもの胸倉をつかみ自身の方に引き寄せた。
「自分の与えられた世界がすべて正しいと思い込んで
本当に大事な人を蔑ろにしてるような子どもはな」
白刃のような鋭い視線に、子どもは震えあがり声が出せない。
胸倉を放し、モミジは子どもに背を向ける。
「今のお前に言っても無駄だろうけどな」
それきり声が発せられることはなかった。
「―――――――時間だ」
黒い装束に着替え、赤い般若の面を被り、鬼風は富士井屋敷に向かう。