親の心子知らず
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…………。
縛り付けている人質たちの部屋を出てから、モミジはここまで至った経緯をすべて語り終えた。
「まぁそういうことです」
『全部お前のミスじゃねえか』
「うぐっ」
モミジは通信機から聞こえる声に身を縮こませる。
『まぁ、もう誘拐しちまったもんはしょうがねえ』
「あれ、怒らないのか?」
モミジは相棒から絶対零度の言葉を浴びせられると覚悟していたが、
予想に反してあっさりとした言葉に拍子抜けした。
『まぁ、人質なら使い道はいくらでもあるからな』
クーックックックと特徴的な笑い声をあげる。
その奥底から不安を掻き立てる不気味な笑い声を聞きつつ、鬼風は口を開く。
「とりあえず、人質解放の条件に絶間姫を要求すればいいよな」
『そういうこと。んで、今アンタらは東の隠れ家にいるわけだな。けど……』
杏理の声色が厳しいものに変わる。
『どうしてあの娘も連れてきた?』
相棒の言葉を予想していたのか、鬼風はあーとこめかみを掻く。
「ちょっと……気になったことがあってな」
『あの娘に?』
「そっちは保険だ。気になるのはあの坊の方……」
鬼風の頭に星が飛ぶような衝撃が下ろされる。
『おいっ?モミジ?』
飛びかけた意識を気合で呼び戻し、
鬼風は背後から襲いかかってきた人物を片手で素早く拘束する。
「わりぃ。人質が起きたみてぇだから後で連絡する」
左指にはめられた指輪型通信機に口元を近づけて、器用に唇で通信を切った。
空色のマントを身に着けた人物が、敵意と猜疑の混じった眼差しを鬼風に向けている。
「バッキャロー!!犯人の情報もないのに立ち向かう奴があるかっ!」
彼女がどこに隠し持っていたかわからないステッキを掴みながら、
彼女の視線を物ともせずモミジは空色のマジシャンに一喝した。
「こういう場合はさっさと逃げるのが最善なんだよっ!!」
みぬきは一瞬虚をつかれたような顔をしたが、敵意だけを消してむっとした顔で睨む。
「誘拐犯に言われたくありません!」
奇術師の少女の言葉に男姿のモミジはうぐっと亀のように首を引っ込めた。
だが、すぐに首を戻し、みぬきの拘束を解く。
「お前は巻き込まれ事故みたいなものだったんだ。
好きに出ていけ。
外に出て歩き回れば近くにバス亭がある。
それで帰れ」
ほらっバス代。とモミジは少女に千円札を差し出す。
だが、少女はそれに手をつけず、真意を見せない星空色の双眸がモミジを見据える。
「それなら浩太くんも返してください」
「ダメだ」
鬼風はキッパリと言い放つ。
魔術師の瞳を鬼は切れ長の薄影色の目で受け止める。
「こいつはまだ利用価値がある。目的を果たすまでは解放しない」
「この前はみぬきたちを助けてくれたじゃありませんか!」
「それとこれとは関係ないだろ」
「でも「なんと言われようとこいつは"お姫様"と交換するための人質だ」
食い下がるみぬきの言葉を遮って、鬼風はぴしゃりと言い切る。
それに――――
表面的な理由を口にして、もう一つの理由を鬼風は心に隠した。
「それまではなにがなんでも私はこいつを手放す訳にはいかねえ」
鬼の言葉を聞き強張っていたみぬきの表情が、ふと柔らかくなる。
「それなら、これでどうですか?」
口元にいつもの笑みを浮かべ、彼女はハート柄の描かれた青いカボチャパンツを手元に出現させた。
「3、2、1―――」
みぬきの掛け声に鬼風は鼻であしらう。
「脅しか?はっ。未熟な"卵"になにができるって」
「―――――――オドロキさんの丸秘写真セット!!」
空色の魔術師はパンツから、あられもない若い弁護士の写真を取り出した。
それを見た瞬間、モミジは伸ばしかけた右手を左手で掴み、見えない力を押さえつけるようにゆっくりと右手を押し戻す。
メガネスーツの美男姿の鬼風は、プルプルと震える右手を血管が浮き出た左手で掴んでいた。
みぬきの手元を見ないように、モミジはぷいっと顔をそむけた。
「そんな風呂上りの程よくついた筋肉を大胆にさらしたパンイチ姿や安らかな寝息が聞こえてきそうな掛け布団からのぞく腹チラの寝姿や長髪カチューシェのタータンチェックのストールを羽織った文学少女風のメガネっ子オドロキちゃん姿の写真なんか見えてないんだからな!」
息継ぎをせず捲し立てながら、ぷいっと鬼風がそっぽをむいた。
「じゃあこの風呂上り写真」
「ダメだ」
「寝姿写真」
「ダメだっ」
「女装写真」
「…………」
ジーッと青みがかった円らな黒瞳が切れ長の瞳を持つ青年の横顔を見つめる。
「……セーラー服姿もありますけど?」
モミジはグルッとみぬきの方に首を回した。
慌てて、泥棒が首を戻す。
奥歯の表面を軽く削りながら、鬼風は誘惑を振り払う。
「ダメだっ!!!!セーラー服姿だろうがナース服やバニー姿だろうがダメだっ!あのガキは解放しない!」
「ケチ!」
そう言って、写真をマジックパンツの中に入れてしまった。
「あ――――!?!?」
パンツの中に消えた写真を見て、鬼風が大口を開けて声をあげる。
みぬきはマジックパンツの中を見せ、写真が消えたことを相手に示す。
そして、花が綻ぶような笑顔を向ける。
「みぬきのパンツは小宇宙ー!」
すると、すっと鬼風の顔が元に戻る。
「あぁ、そういうペテン師の技だったな。それ」
むっとみぬきは頬を膨らませ、口をへの字に曲げる。
「ペテン師って言うなっ!」
みぬきの怒り交じりの声を鬼風は口を三日月のように歪め、飄々とした顔で受け止める。
縛り付けている人質たちの部屋を出てから、モミジはここまで至った経緯をすべて語り終えた。
「まぁそういうことです」
『全部お前のミスじゃねえか』
「うぐっ」
モミジは通信機から聞こえる声に身を縮こませる。
『まぁ、もう誘拐しちまったもんはしょうがねえ』
「あれ、怒らないのか?」
モミジは相棒から絶対零度の言葉を浴びせられると覚悟していたが、
予想に反してあっさりとした言葉に拍子抜けした。
『まぁ、人質なら使い道はいくらでもあるからな』
クーックックックと特徴的な笑い声をあげる。
その奥底から不安を掻き立てる不気味な笑い声を聞きつつ、鬼風は口を開く。
「とりあえず、人質解放の条件に絶間姫を要求すればいいよな」
『そういうこと。んで、今アンタらは東の隠れ家にいるわけだな。けど……』
杏理の声色が厳しいものに変わる。
『どうしてあの娘も連れてきた?』
相棒の言葉を予想していたのか、鬼風はあーとこめかみを掻く。
「ちょっと……気になったことがあってな」
『あの娘に?』
「そっちは保険だ。気になるのはあの坊の方……」
鬼風の頭に星が飛ぶような衝撃が下ろされる。
『おいっ?モミジ?』
飛びかけた意識を気合で呼び戻し、
鬼風は背後から襲いかかってきた人物を片手で素早く拘束する。
「わりぃ。人質が起きたみてぇだから後で連絡する」
左指にはめられた指輪型通信機に口元を近づけて、器用に唇で通信を切った。
空色のマントを身に着けた人物が、敵意と猜疑の混じった眼差しを鬼風に向けている。
「バッキャロー!!犯人の情報もないのに立ち向かう奴があるかっ!」
彼女がどこに隠し持っていたかわからないステッキを掴みながら、
彼女の視線を物ともせずモミジは空色のマジシャンに一喝した。
「こういう場合はさっさと逃げるのが最善なんだよっ!!」
みぬきは一瞬虚をつかれたような顔をしたが、敵意だけを消してむっとした顔で睨む。
「誘拐犯に言われたくありません!」
奇術師の少女の言葉に男姿のモミジはうぐっと亀のように首を引っ込めた。
だが、すぐに首を戻し、みぬきの拘束を解く。
「お前は巻き込まれ事故みたいなものだったんだ。
好きに出ていけ。
外に出て歩き回れば近くにバス亭がある。
それで帰れ」
ほらっバス代。とモミジは少女に千円札を差し出す。
だが、少女はそれに手をつけず、真意を見せない星空色の双眸がモミジを見据える。
「それなら浩太くんも返してください」
「ダメだ」
鬼風はキッパリと言い放つ。
魔術師の瞳を鬼は切れ長の薄影色の目で受け止める。
「こいつはまだ利用価値がある。目的を果たすまでは解放しない」
「この前はみぬきたちを助けてくれたじゃありませんか!」
「それとこれとは関係ないだろ」
「でも「なんと言われようとこいつは"お姫様"と交換するための人質だ」
食い下がるみぬきの言葉を遮って、鬼風はぴしゃりと言い切る。
それに――――
表面的な理由を口にして、もう一つの理由を鬼風は心に隠した。
「それまではなにがなんでも私はこいつを手放す訳にはいかねえ」
鬼の言葉を聞き強張っていたみぬきの表情が、ふと柔らかくなる。
「それなら、これでどうですか?」
口元にいつもの笑みを浮かべ、彼女はハート柄の描かれた青いカボチャパンツを手元に出現させた。
「3、2、1―――」
みぬきの掛け声に鬼風は鼻であしらう。
「脅しか?はっ。未熟な"卵"になにができるって」
「―――――――オドロキさんの丸秘写真セット!!」
空色の魔術師はパンツから、あられもない若い弁護士の写真を取り出した。
それを見た瞬間、モミジは伸ばしかけた右手を左手で掴み、見えない力を押さえつけるようにゆっくりと右手を押し戻す。
メガネスーツの美男姿の鬼風は、プルプルと震える右手を血管が浮き出た左手で掴んでいた。
みぬきの手元を見ないように、モミジはぷいっと顔をそむけた。
「そんな風呂上りの程よくついた筋肉を大胆にさらしたパンイチ姿や安らかな寝息が聞こえてきそうな掛け布団からのぞく腹チラの寝姿や長髪カチューシェのタータンチェックのストールを羽織った文学少女風のメガネっ子オドロキちゃん姿の写真なんか見えてないんだからな!」
息継ぎをせず捲し立てながら、ぷいっと鬼風がそっぽをむいた。
「じゃあこの風呂上り写真」
「ダメだ」
「寝姿写真」
「ダメだっ」
「女装写真」
「…………」
ジーッと青みがかった円らな黒瞳が切れ長の瞳を持つ青年の横顔を見つめる。
「……セーラー服姿もありますけど?」
モミジはグルッとみぬきの方に首を回した。
慌てて、泥棒が首を戻す。
奥歯の表面を軽く削りながら、鬼風は誘惑を振り払う。
「ダメだっ!!!!セーラー服姿だろうがナース服やバニー姿だろうがダメだっ!あのガキは解放しない!」
「ケチ!」
そう言って、写真をマジックパンツの中に入れてしまった。
「あ――――!?!?」
パンツの中に消えた写真を見て、鬼風が大口を開けて声をあげる。
みぬきはマジックパンツの中を見せ、写真が消えたことを相手に示す。
そして、花が綻ぶような笑顔を向ける。
「みぬきのパンツは小宇宙ー!」
すると、すっと鬼風の顔が元に戻る。
「あぁ、そういうペテン師の技だったな。それ」
むっとみぬきは頬を膨らませ、口をへの字に曲げる。
「ペテン師って言うなっ!」
みぬきの怒り交じりの声を鬼風は口を三日月のように歪め、飄々とした顔で受け止める。