親の心子知らず
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メイド姿に扮した鬼風は金庫室へと向かった。
当日に警備中に停電を起こさないように、屋敷は万全の状態を保とうと電気の点検を行っていた。
点検中は電気だけでなく防犯装置も切られているので、その間に金庫室の下調べを済まそうと鬼風は考えていた。
モミジは階段を昇り金庫室の前に来ると、足を止める。
左手首の内側の時計盤を見つめていると、部屋の灯りが消えた。
目の前の扉を開き、部屋に入る。
さらにその部屋の奥にある扉を開けるとそこが金庫室だった。
だが、奇妙な光景に、鬼風は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をして突っ立っていた。
黒白チェックの床の向こうにグレーの壁があり、
その壁の真ん中の小さな空間に非常灯に照らされた人の姿があった。
暗い部屋の金庫の中でぽつんと赤と白が半々の着物を纏う人形が立っていた。
赤生地には流れる川の絵に梅の花が散らされており、
白生地には鳳凰の絵が描かれている。
艶やかな女性の人形である。
厳重に閉じられているはずの金庫がなぜか開いていたのだ。
…まるでどうぞ盗ってくださいと言われてるような状況だな。
鬼風は眉を跳ね上げる。
どんな罠が来るか警戒しつつ、あえて鬼風はそのあからさまな罠に一歩踏み出す。
出てくる罠や敵はなるだけ潰しておいた方が楽だろう。
モミジにとって予告状で指定した時間に盗まなければ意味がないので、
あくまでもこれは盗む"フリ"だった。
馬鹿な男のように美女が全裸でベッドに寝ていて、
能天気にパンイチでそこにダイブするような真似はしない。
こつこつとわざと足音を立てて、近づく。
設備点検で防犯装置は切られているので、警報はならない。
鬼風が人形に手を伸ばし、触れかけた瞬間。
扉の後ろから黒い影が突進してくる。
モミジは殺意がないことに驚きつつ、その小さな影が鬼風の腰元にひっついた。
「つかまえたぞ!どろぼう!」
あのときのクソガキ!?
腰にブラ下がっているのはこの屋敷の跡取りである富士井 浩太であった。
「おまえをつかまえたらきっとかあさまはおおよろこびだ!」
「あのな、がき……」
文句を言いかけた鬼風は背筋を這う悪寒に、
はっと周囲に視線を巡らしばっと天井を見上げる。
天井に貼りつく黒い人影に鬼風はその場からすぐに飛びのいたが、
黒い人影の殺気が振り払った小さな子供へと向いている。
天井から降ってきた人影の攻撃から、とっさに浩太をかばう。
扉から別の人影が入ってきた。
「ダメですよ!浩太くん!」
空色のマントを翻して、現れた少女にさらに鬼風は驚く。
「えっ!あなたさっきの!?」
「こいつがおにかぜだ!」
「えっ!?」
みぬきが口を手のひらに当て、驚く。
いつの間にか鳴らされた警報に、鬼風は舌打ちした。
マジシャンの後ろから、警備員たちが駆け込んでくる。
さきほど浩太を襲った影は警備員の群れに紛れてしまい、鬼風は舌打ちした。
くそっこうなったら!
浩太の首に手刀を入れ、子どもの頭ががくっと垂れる。
「動くな!」
意識を失った跡取り息子の首にクナイを突きつける。
「動くと、この坊ちゃんの命がないぞ!」
鬼風は一瞬、マジシャンの少女に目を向け、あぁもう!と悪態を吐く。
鬼風はメイド服を脱ぎ捨てざまに、警備員たちに投げつける。
変装を解くと同時に骨格を男性へと変え、黒装束になった。
首まで下げていた覆面を鼻まで上げる。
メイド服に仕込まれた煙玉が破裂した。
部屋全体が煙に包まれる。
煙が広がる中で鬼風は空色の娘へと突進し、すれちがいざま首に手刀を決める。
気を失った魔術師の少女の体を掠め取る。
両脇にお坊ちゃまとマジシャンを抱えこみ、その勢いのまま近く窓へと駆ける。
パリーン
左肩から窓にタックルし、窓ガラスを割った。
重力に従い、風を体に受けつつ、地面へと無音で着地する。
「大変だ!浩太様が連れ去られたぞ!」
破裂音とともに鬼風の頬になにかが掠る。
――――――銃弾!?
鬼風は表情を硬直させ、その目を鋭く細めた。
闇夜の風に紛れ、鬼風の姿が吹き消える。
当日に警備中に停電を起こさないように、屋敷は万全の状態を保とうと電気の点検を行っていた。
点検中は電気だけでなく防犯装置も切られているので、その間に金庫室の下調べを済まそうと鬼風は考えていた。
モミジは階段を昇り金庫室の前に来ると、足を止める。
左手首の内側の時計盤を見つめていると、部屋の灯りが消えた。
目の前の扉を開き、部屋に入る。
さらにその部屋の奥にある扉を開けるとそこが金庫室だった。
だが、奇妙な光景に、鬼風は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をして突っ立っていた。
黒白チェックの床の向こうにグレーの壁があり、
その壁の真ん中の小さな空間に非常灯に照らされた人の姿があった。
暗い部屋の金庫の中でぽつんと赤と白が半々の着物を纏う人形が立っていた。
赤生地には流れる川の絵に梅の花が散らされており、
白生地には鳳凰の絵が描かれている。
艶やかな女性の人形である。
厳重に閉じられているはずの金庫がなぜか開いていたのだ。
…まるでどうぞ盗ってくださいと言われてるような状況だな。
鬼風は眉を跳ね上げる。
どんな罠が来るか警戒しつつ、あえて鬼風はそのあからさまな罠に一歩踏み出す。
出てくる罠や敵はなるだけ潰しておいた方が楽だろう。
モミジにとって予告状で指定した時間に盗まなければ意味がないので、
あくまでもこれは盗む"フリ"だった。
馬鹿な男のように美女が全裸でベッドに寝ていて、
能天気にパンイチでそこにダイブするような真似はしない。
こつこつとわざと足音を立てて、近づく。
設備点検で防犯装置は切られているので、警報はならない。
鬼風が人形に手を伸ばし、触れかけた瞬間。
扉の後ろから黒い影が突進してくる。
モミジは殺意がないことに驚きつつ、その小さな影が鬼風の腰元にひっついた。
「つかまえたぞ!どろぼう!」
あのときのクソガキ!?
腰にブラ下がっているのはこの屋敷の跡取りである富士井 浩太であった。
「おまえをつかまえたらきっとかあさまはおおよろこびだ!」
「あのな、がき……」
文句を言いかけた鬼風は背筋を這う悪寒に、
はっと周囲に視線を巡らしばっと天井を見上げる。
天井に貼りつく黒い人影に鬼風はその場からすぐに飛びのいたが、
黒い人影の殺気が振り払った小さな子供へと向いている。
天井から降ってきた人影の攻撃から、とっさに浩太をかばう。
扉から別の人影が入ってきた。
「ダメですよ!浩太くん!」
空色のマントを翻して、現れた少女にさらに鬼風は驚く。
「えっ!あなたさっきの!?」
「こいつがおにかぜだ!」
「えっ!?」
みぬきが口を手のひらに当て、驚く。
いつの間にか鳴らされた警報に、鬼風は舌打ちした。
マジシャンの後ろから、警備員たちが駆け込んでくる。
さきほど浩太を襲った影は警備員の群れに紛れてしまい、鬼風は舌打ちした。
くそっこうなったら!
浩太の首に手刀を入れ、子どもの頭ががくっと垂れる。
「動くな!」
意識を失った跡取り息子の首にクナイを突きつける。
「動くと、この坊ちゃんの命がないぞ!」
鬼風は一瞬、マジシャンの少女に目を向け、あぁもう!と悪態を吐く。
鬼風はメイド服を脱ぎ捨てざまに、警備員たちに投げつける。
変装を解くと同時に骨格を男性へと変え、黒装束になった。
首まで下げていた覆面を鼻まで上げる。
メイド服に仕込まれた煙玉が破裂した。
部屋全体が煙に包まれる。
煙が広がる中で鬼風は空色の娘へと突進し、すれちがいざま首に手刀を決める。
気を失った魔術師の少女の体を掠め取る。
両脇にお坊ちゃまとマジシャンを抱えこみ、その勢いのまま近く窓へと駆ける。
パリーン
左肩から窓にタックルし、窓ガラスを割った。
重力に従い、風を体に受けつつ、地面へと無音で着地する。
「大変だ!浩太様が連れ去られたぞ!」
破裂音とともに鬼風の頬になにかが掠る。
――――――銃弾!?
鬼風は表情を硬直させ、その目を鋭く細めた。
闇夜の風に紛れ、鬼風の姿が吹き消える。