焼け木杭に火がつく
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
同日 某時刻
八百谷家 正門
「ここが八百谷さんの……家か……」
「えっと……大きいですね……」
「……大きいね」
大きな門に心音たちはしばし立ち尽くす。
その広大な屋敷の巨大な門に、ただただ上を見上げるばかりであった。
一体自分たちの事務所の何十倍あるのだろうか……。
そんな切ない言葉が二人の頭によぎった。
「せっ先輩!はっ入らないと!」
「あっあぁ!そうだね」
突如、オドロキの背後から不審な影が迫ってくる。
オドロキは前方の門に気を取られていたので、その影に気づかない。
影は彼の背中に立った。
さわぁあああ。
ねっとりとした微かに汗ばんでいる手が、オドロキの臀部を服越しに執拗になで回した。
尻から伝わる不快感に、ぞわぁあああとオドロキは背筋に虫が這いまわるような気持ち悪さを感じた。
オドロキは距離を取りながら、キッと背後を振り返る。
そこには、小太りの割烹着を着た中年の女性が頬に手を当てて立っていた。
「あらっいい反応」
「なっなんですか!あんたは!?」
尻を押さえながら、上擦った声でオドロキは尋ねた。
「おばさん?おばさんはここの家政婦やってる大野 常代(オオノ ツネヨ)って言うんだよ。
アンタがきゅっとしまった良いお尻してたからつい、ね。」
オドロキが警戒心丸出しで相手を見ている横で、心音が女性に尋ねた。
「あの、ここの事件のこと教えてもらえませんか?
わたしたち八百谷奈々子さんの弁護士なんです。」
「あらっ。あなたたちがナナちゃんの!?」
白粉の多く塗られた顔をぐっと近づけられ、オドロキは化粧品の匂いにむせそうになる。
「はっはい」
「ナナちゃんはやってないよ!あの子が人殺しなんてするもんかい!」
「え?」
オドロキと心音は疑問の声をあげた。
「放火じゃないんですか?」
「放火?あの刑事はナナちゃんを殺人容疑で逮捕って言ってたわよ」
「あのっ八百谷さんには留置所で会ったんですが、彼女は放火については認めてるんです。
でも、殺人に関してはなにも話してはいません」
「よかったら、知ってることをお話してくれませんか?」
オドロキは八百谷のことを伝え、心音は握り拳をつくりながらぐっと大野に詰め寄る。
「そうね。
さっきのお詫びも兼ねて知ってることはなんでも話してあげるわ」
「やりましたね!オドロキセンパイ!情報ゲットですよ!」
「……そうだね」
オドロキは距離を取りながら、オオノの話を聞くことにした。
≪事件について≫
「八百谷さんは放火じゃなくて殺人で捕まったんですか?」
「警察はナナちゃんが人形屋敷で人を殺したって言ってたから。まさか火事が事故じゃなくて放火だったなんて…・…」
≪奈々子について≫
「八百谷さんっていつも着物を着てるんですか?留置所でも、着物でいましたけど」
「ええ。そうよ。同じ柄のは3枚ぐらい持ってるわね。
ところで、ナナちゃんはどんな感じだったんだい?」
「静かでしたけど、具合が悪そうには見えなかったです。
けど、悲しそうにはしてましたから
体より精神の方が……」
「……そう。とりあえず元気そうならひとまず安心だわ。
けど、これからどうなるんだろうね……。」
はぁとため息をひとつこぼす。
「なんだってあの子は放火なんかしたのか。」
「理由に心当たりはありませんか?」
大野は首を振った。
「ないね。人形屋敷はナナちゃんのお気に入りの場所だったから
なんで火をつけようと思ったのか不思議なくらいだよ。
それに殺人も信じられないよ」
≪屋敷について≫
「話にでてくる人形屋敷ってなんですか?」
気になる単語をオドロキは思い切って尋ねた。
「人形屋敷はナナちゃんの曽お祖父さんが建てたものでね
昨日の火事で焼けてしまったんだよ。大量の人形が飾られていた人形のための屋敷みたいなもんさ。」
「にっ人形のですか?」
「人形を集めるのが趣味だったらしんだけど
近所の人々は不気味に思ってたらしくて
昔からあまり近づくなって言われてたの。」
辺りをきょろきょろと見回し、声を潜めてから続ける。
「ここだけの話。あの人形たちは昔は人だったんじゃないかって噂があるんだよ」
その言葉に不気味な暗い空気が漂う。
「曽お祖父さんのご先祖様がそういう妖術使いだったんじゃないかって」
「まさかっ!そんな話あるわけないですよ。」
「そっそうですよ!」
オドロキたちの声を聞き、大野は少しホッとしたように声を戻した。
「そうね。おばさんもなにかの間違いだと思ってるわ」
「とりあえずそこが事件の現場なんですよね。」
「あっそうだ。人形屋敷を調べるならこれなんか事件に役に立つんじゃないかい?」
「これは?」
「八百谷家と人形屋敷の地図さ。
ちなみに一枚目が八百谷家の地図で、二枚目が人形屋敷の地図だからね。
事件っていうのはあれだろ?
こういう地図を見て現場検証をしたりするもんなんだよね。
オバチャン昼ドラで鍛えたから他の人よりはちょっと詳しいんだよ!」
昼ドラで鍛えたと言われても……
オドロキがどう返せばいいのかわからずにいた。
「わたしたちも事務所でよく見ますよね」
「……ありがとうございます」
色々とツッコミたいが、オドロキは黙って受け取った。
「……私が知ってるのはこのくらいかね。」
「ありがとうございました。」
「あぁ!そうそう!もし色々回るなら頼みたいことがあったのよ」
「たっ頼みですか?」
その言葉に大野は大きく頷いた。
「おばさん、今は大丈夫なんだけど。実は花粉症なの。」
「かっ花粉症?」
その言葉にオドロキの触覚が呆れたように垂れる。
「えっ。だって、今まだ冬ですよ!?」
げんなりとしながら、心音が尋ねる。
「それがね!おばさんはちょっと特殊な花粉症でね!ナナツバキっていう花の花粉に反応する花粉症なの!」
「ナナツバキ?」
「椿の仲間なんだけどね、その花粉がかなり厄介なのよ。
ナナツバキの下を通り抜けようものならもう体中花粉まみれ!
しかも一週間は落ちないっていうね!
花粉ってのは肉眼では見えづらいから、あんまり気にはならないんだけど
おばさんみたいな花粉症には最悪なのよ!
ちょっと近づくだけでもう目はかゆいし鼻はくしゃみと鼻水で苦しいしで……
この屋敷には植えてないはずなんだけど、昨日からくしゃみと鼻水が止まらなくなっちゃったのよ。
おばさんの勘だけどこれは風邪じゃなく、花粉症によるくしゃみと鼻水よ!
だから、これで花粉がどこに落ちてるか探してきてちょうだい!その近くにきっとナナツバキがあるはずだから。なるだけそこに近づかないようにするのよ。」
大野から渡されたものに二人は首を傾げる。
「これ、なんですか?」
「懐中電灯?にしては蛍光灯みたいなのが丸裸ですけど」
「一見ただのLEDライトの青い蛍光灯にみえるけど、これが優れものでね!
ナナツバキの花粉が落ちていれば必ず赤く光るのよ!
これで照らして赤く光ったところがあれば教えてちょうだい!」
「はぁ……わかりました。」
そうしてオドロキたちは“花粉探知機”をおばさんからもらった。
オドロキたちは大野と別れて、現場へと向かう。
八百谷家 正門
「ここが八百谷さんの……家か……」
「えっと……大きいですね……」
「……大きいね」
大きな門に心音たちはしばし立ち尽くす。
その広大な屋敷の巨大な門に、ただただ上を見上げるばかりであった。
一体自分たちの事務所の何十倍あるのだろうか……。
そんな切ない言葉が二人の頭によぎった。
「せっ先輩!はっ入らないと!」
「あっあぁ!そうだね」
突如、オドロキの背後から不審な影が迫ってくる。
オドロキは前方の門に気を取られていたので、その影に気づかない。
影は彼の背中に立った。
さわぁあああ。
ねっとりとした微かに汗ばんでいる手が、オドロキの臀部を服越しに執拗になで回した。
尻から伝わる不快感に、ぞわぁあああとオドロキは背筋に虫が這いまわるような気持ち悪さを感じた。
オドロキは距離を取りながら、キッと背後を振り返る。
そこには、小太りの割烹着を着た中年の女性が頬に手を当てて立っていた。
「あらっいい反応」
「なっなんですか!あんたは!?」
尻を押さえながら、上擦った声でオドロキは尋ねた。
「おばさん?おばさんはここの家政婦やってる大野 常代(オオノ ツネヨ)って言うんだよ。
アンタがきゅっとしまった良いお尻してたからつい、ね。」
オドロキが警戒心丸出しで相手を見ている横で、心音が女性に尋ねた。
「あの、ここの事件のこと教えてもらえませんか?
わたしたち八百谷奈々子さんの弁護士なんです。」
「あらっ。あなたたちがナナちゃんの!?」
白粉の多く塗られた顔をぐっと近づけられ、オドロキは化粧品の匂いにむせそうになる。
「はっはい」
「ナナちゃんはやってないよ!あの子が人殺しなんてするもんかい!」
「え?」
オドロキと心音は疑問の声をあげた。
「放火じゃないんですか?」
「放火?あの刑事はナナちゃんを殺人容疑で逮捕って言ってたわよ」
「あのっ八百谷さんには留置所で会ったんですが、彼女は放火については認めてるんです。
でも、殺人に関してはなにも話してはいません」
「よかったら、知ってることをお話してくれませんか?」
オドロキは八百谷のことを伝え、心音は握り拳をつくりながらぐっと大野に詰め寄る。
「そうね。
さっきのお詫びも兼ねて知ってることはなんでも話してあげるわ」
「やりましたね!オドロキセンパイ!情報ゲットですよ!」
「……そうだね」
オドロキは距離を取りながら、オオノの話を聞くことにした。
≪事件について≫
「八百谷さんは放火じゃなくて殺人で捕まったんですか?」
「警察はナナちゃんが人形屋敷で人を殺したって言ってたから。まさか火事が事故じゃなくて放火だったなんて…・…」
≪奈々子について≫
「八百谷さんっていつも着物を着てるんですか?留置所でも、着物でいましたけど」
「ええ。そうよ。同じ柄のは3枚ぐらい持ってるわね。
ところで、ナナちゃんはどんな感じだったんだい?」
「静かでしたけど、具合が悪そうには見えなかったです。
けど、悲しそうにはしてましたから
体より精神の方が……」
「……そう。とりあえず元気そうならひとまず安心だわ。
けど、これからどうなるんだろうね……。」
はぁとため息をひとつこぼす。
「なんだってあの子は放火なんかしたのか。」
「理由に心当たりはありませんか?」
大野は首を振った。
「ないね。人形屋敷はナナちゃんのお気に入りの場所だったから
なんで火をつけようと思ったのか不思議なくらいだよ。
それに殺人も信じられないよ」
≪屋敷について≫
「話にでてくる人形屋敷ってなんですか?」
気になる単語をオドロキは思い切って尋ねた。
「人形屋敷はナナちゃんの曽お祖父さんが建てたものでね
昨日の火事で焼けてしまったんだよ。大量の人形が飾られていた人形のための屋敷みたいなもんさ。」
「にっ人形のですか?」
「人形を集めるのが趣味だったらしんだけど
近所の人々は不気味に思ってたらしくて
昔からあまり近づくなって言われてたの。」
辺りをきょろきょろと見回し、声を潜めてから続ける。
「ここだけの話。あの人形たちは昔は人だったんじゃないかって噂があるんだよ」
その言葉に不気味な暗い空気が漂う。
「曽お祖父さんのご先祖様がそういう妖術使いだったんじゃないかって」
「まさかっ!そんな話あるわけないですよ。」
「そっそうですよ!」
オドロキたちの声を聞き、大野は少しホッとしたように声を戻した。
「そうね。おばさんもなにかの間違いだと思ってるわ」
「とりあえずそこが事件の現場なんですよね。」
「あっそうだ。人形屋敷を調べるならこれなんか事件に役に立つんじゃないかい?」
「これは?」
「八百谷家と人形屋敷の地図さ。
ちなみに一枚目が八百谷家の地図で、二枚目が人形屋敷の地図だからね。
事件っていうのはあれだろ?
こういう地図を見て現場検証をしたりするもんなんだよね。
オバチャン昼ドラで鍛えたから他の人よりはちょっと詳しいんだよ!」
昼ドラで鍛えたと言われても……
オドロキがどう返せばいいのかわからずにいた。
「わたしたちも事務所でよく見ますよね」
「……ありがとうございます」
色々とツッコミたいが、オドロキは黙って受け取った。
「……私が知ってるのはこのくらいかね。」
「ありがとうございました。」
「あぁ!そうそう!もし色々回るなら頼みたいことがあったのよ」
「たっ頼みですか?」
その言葉に大野は大きく頷いた。
「おばさん、今は大丈夫なんだけど。実は花粉症なの。」
「かっ花粉症?」
その言葉にオドロキの触覚が呆れたように垂れる。
「えっ。だって、今まだ冬ですよ!?」
げんなりとしながら、心音が尋ねる。
「それがね!おばさんはちょっと特殊な花粉症でね!ナナツバキっていう花の花粉に反応する花粉症なの!」
「ナナツバキ?」
「椿の仲間なんだけどね、その花粉がかなり厄介なのよ。
ナナツバキの下を通り抜けようものならもう体中花粉まみれ!
しかも一週間は落ちないっていうね!
花粉ってのは肉眼では見えづらいから、あんまり気にはならないんだけど
おばさんみたいな花粉症には最悪なのよ!
ちょっと近づくだけでもう目はかゆいし鼻はくしゃみと鼻水で苦しいしで……
この屋敷には植えてないはずなんだけど、昨日からくしゃみと鼻水が止まらなくなっちゃったのよ。
おばさんの勘だけどこれは風邪じゃなく、花粉症によるくしゃみと鼻水よ!
だから、これで花粉がどこに落ちてるか探してきてちょうだい!その近くにきっとナナツバキがあるはずだから。なるだけそこに近づかないようにするのよ。」
大野から渡されたものに二人は首を傾げる。
「これ、なんですか?」
「懐中電灯?にしては蛍光灯みたいなのが丸裸ですけど」
「一見ただのLEDライトの青い蛍光灯にみえるけど、これが優れものでね!
ナナツバキの花粉が落ちていれば必ず赤く光るのよ!
これで照らして赤く光ったところがあれば教えてちょうだい!」
「はぁ……わかりました。」
そうしてオドロキたちは“花粉探知機”をおばさんからもらった。
オドロキたちは大野と別れて、現場へと向かう。