焼け木杭に火がつく
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「いっ今のは……?」
「……私です」
胸の下で腕を組み、証人席を睨む心音が静かに答えた。
「きっ希月……弁護士?」
姿形は同じはずなのに、その立ち振る舞いと雰囲気にサイバンチョは違和感を感じた。
オドロキは鼻の下を伸ばし、間抜け面で隣を穴が開くほど見つめる。
なにやってんだこいつ!?
「ちょっオっ……希月さん!?」
オニカゼと言いかけて、気合でなんとか言葉を引っ込めた。
「……オドロキ先輩」
「なっなに?」
すっと彼女から手渡されたモノを見て、オドロキが怪訝な顔をする。
「これは?」
「いいから、つきつけてください」
「けっけど」
「いいからはやく!」
「はっはい!」
鋭利な女性の声に思わずオドロキの背筋がピンと伸びた。
ええいどうにでもなれ!
「くらえ!」
「なっなんですかこれは?」
白い粉末がビニール袋の中に入っていた。
「いくらピンチだからってヤケを起こすのはダサ過ぎるよ」
サイバンチョの反応と牙琉の辛辣な言葉にううっとオドロキの自慢の額に玉粒の冷や汗が浮かぶ。
だが、突如バンッと大きな音が法廷に響く。
法廷の人々は反射的に音のする方へ振り向いた。
「なっ……なんでお前が!」
顔面から血の気が引き、体を大きく震わす伊次郎の姿があった。
「なんでお前がそれを!!」
「素直に殺人を認めればよかったんですよ
そうすれば、少なくとも金に関して困ることはなかったのに」
「弁護人。それは?」
「これは"無色石"と呼ばれる鉱石の粉末です」
「"無色石"?」
「聞いたことあるよ。金属の一種らしいけど、
どんな金属よりも脆く、加工もできない、金属モドキ」
牙琉の説明にサイバンチョがむっとする。
「そんな役に立たないモノをつきつけて何がしたいんですか!」
サイバンチョが珍しく怒りをあらわにする。
そう言われたって……
オドロキは気まずそうに髪をかいた。
そこで女性の声が響く。
「……ええ、実用としてはまったく役に立ちません。
ですが、この鉱石はある性能を持っています」
「性能?それは一体?」
「"スピード""MDMA""MDA""コカイン""ヘロイン"……
様々な呼ばれ方をしてその存在を掴まれないようにしていますが、
アヘン、マリファナは誰でも知っているのではないでしょうか?」
「まさか!」
こくっと鬼風がゆっくり頷く。
「これは薬物の一種です。
しかも、この薬物の厄介なところは
通常の薬物検査では絶対に感知できないところです。
そして、薬物と同じような効用がある。」
「そんな危険な!」
「しかし、それが一体……」
「発見された地下室の焼けなかった人形の一部にこれが隠されていました」
少女の愛らしい瞳には不釣り合いな鋭利な視線が、男に向けられる。
「証人」
少女に呼ばれ、伊次郎は顔を歪めた。
「もしこの場で犯行を認めないなら、この事実を使ってあるところへバラす」
弁護士姿の泥棒の言葉に伊次郎は怯えていた。
「どこにバラすっていうんだ?」
「……あなたの運命はすでに決められている。
女神が紡いだアンタの糸はすでに切られているのだから」
女神?糸?
流れる詩のようなセリフにオドロキは不可解さから眉間に深く皺を刻む。
だが、訳がわからないと思っていたのは彼だけではなく、
この法廷にいるすべてのものが少女の言葉の意図を理解できなかった。
ただ一人を除いて。
生田伊次郎はその言葉に、膝から崩れおちる。
「…私が…やりました」
その姿を見て、少女弁護士はゆっくりと目を伏せた。
「以上です。裁判長」
裁判長にそう告げると、組んだ腕を解いた。
……
「……私です」
胸の下で腕を組み、証人席を睨む心音が静かに答えた。
「きっ希月……弁護士?」
姿形は同じはずなのに、その立ち振る舞いと雰囲気にサイバンチョは違和感を感じた。
オドロキは鼻の下を伸ばし、間抜け面で隣を穴が開くほど見つめる。
なにやってんだこいつ!?
「ちょっオっ……希月さん!?」
オニカゼと言いかけて、気合でなんとか言葉を引っ込めた。
「……オドロキ先輩」
「なっなに?」
すっと彼女から手渡されたモノを見て、オドロキが怪訝な顔をする。
「これは?」
「いいから、つきつけてください」
「けっけど」
「いいからはやく!」
「はっはい!」
鋭利な女性の声に思わずオドロキの背筋がピンと伸びた。
ええいどうにでもなれ!
「くらえ!」
「なっなんですかこれは?」
白い粉末がビニール袋の中に入っていた。
「いくらピンチだからってヤケを起こすのはダサ過ぎるよ」
サイバンチョの反応と牙琉の辛辣な言葉にううっとオドロキの自慢の額に玉粒の冷や汗が浮かぶ。
だが、突如バンッと大きな音が法廷に響く。
法廷の人々は反射的に音のする方へ振り向いた。
「なっ……なんでお前が!」
顔面から血の気が引き、体を大きく震わす伊次郎の姿があった。
「なんでお前がそれを!!」
「素直に殺人を認めればよかったんですよ
そうすれば、少なくとも金に関して困ることはなかったのに」
「弁護人。それは?」
「これは"無色石"と呼ばれる鉱石の粉末です」
「"無色石"?」
「聞いたことあるよ。金属の一種らしいけど、
どんな金属よりも脆く、加工もできない、金属モドキ」
牙琉の説明にサイバンチョがむっとする。
「そんな役に立たないモノをつきつけて何がしたいんですか!」
サイバンチョが珍しく怒りをあらわにする。
そう言われたって……
オドロキは気まずそうに髪をかいた。
そこで女性の声が響く。
「……ええ、実用としてはまったく役に立ちません。
ですが、この鉱石はある性能を持っています」
「性能?それは一体?」
「"スピード""MDMA""MDA""コカイン""ヘロイン"……
様々な呼ばれ方をしてその存在を掴まれないようにしていますが、
アヘン、マリファナは誰でも知っているのではないでしょうか?」
「まさか!」
こくっと鬼風がゆっくり頷く。
「これは薬物の一種です。
しかも、この薬物の厄介なところは
通常の薬物検査では絶対に感知できないところです。
そして、薬物と同じような効用がある。」
「そんな危険な!」
「しかし、それが一体……」
「発見された地下室の焼けなかった人形の一部にこれが隠されていました」
少女の愛らしい瞳には不釣り合いな鋭利な視線が、男に向けられる。
「証人」
少女に呼ばれ、伊次郎は顔を歪めた。
「もしこの場で犯行を認めないなら、この事実を使ってあるところへバラす」
弁護士姿の泥棒の言葉に伊次郎は怯えていた。
「どこにバラすっていうんだ?」
「……あなたの運命はすでに決められている。
女神が紡いだアンタの糸はすでに切られているのだから」
女神?糸?
流れる詩のようなセリフにオドロキは不可解さから眉間に深く皺を刻む。
だが、訳がわからないと思っていたのは彼だけではなく、
この法廷にいるすべてのものが少女の言葉の意図を理解できなかった。
ただ一人を除いて。
生田伊次郎はその言葉に、膝から崩れおちる。
「…私が…やりました」
その姿を見て、少女弁護士はゆっくりと目を伏せた。
「以上です。裁判長」
裁判長にそう告げると、組んだ腕を解いた。
……