焼け木杭に火がつく
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同日 某時刻
留置所 面会室
オドロキと心音はパイプ椅子に座りながら、今回弁護する人物が出てくるのを待っていた。
「それじゃあ、その男の人は彼女の弁護をしてほしいって言ったらすぐに出てっちゃったんですか?」
「ああ。それ以外はなにも……」
ガラスの向こう側からドアの音が聞こえ、オドロキと心音は口を閉じ、音の方へ顔を向けた。
留置所のグレーのドアから出てきたのは、振袖姿の女性だった。
まっすぐに切りそろえられた前髪に、癖のない緑に輝く黒髪。
ピンクの牡丹が描かれている真っ赤な着物。
どこかミステリアスな着物の女性がガラス越しにこちらを見ている。
「なんだか、日本のお人形さんみたいでキュートな人ですね」
心音がオドロキにコソッと耳打ちした。
「えっと、八百谷奈々子さんですね。」
「……はい」
どこか遠くを見ている焦点の合わない眸で、女性は弁護士たちを見つめ返す。
「オレたちは、えっと……」
オドロキは気づいた。
……依頼人の名前聞いてねえ!
事務所にやってきた男性の名がわからず、冷や汗を額にかきながら固まる。
「あなたの、知り合いの……その……男性から、君の弁護を依頼されたんだ。」
「男性?」
ぼんやりとしていた瞳がハッキリとした。
「もしかして伊次郎兄さん!?」
あの人、伊次郎っていうのか。
オドロキはあの男性の容姿を思い出し、男性の名前をおぼえた。
「うん、そう。それで、事件について話してもらえるかな。その……放火だったんですよね?」
その問いに八百谷の瞳に翳がかかる。
心音がオドロキを肘で小突いた。
「センパイ!いきなり過ぎます!」
「けど!まずちゃんと聞かないと……」
「……つけました。」
「「え?」」
オドロキが言い返そうとしたとき、二人は聞こえた声の方へ同時に顔を向けた。
人形のような女性は、顔をうつむかせ、微かに震えている。
「わたしが……火を……つけました」
彼らの目に女性の顔からきらりと光る物が落ちてくるのが映る。
八百谷は両手で顔を覆い、突如勢いよく椅子から立ち上がった。
そして、再びドアの方へ戻ってしまった。
二人はポカンと口を開けていたが、ハッと心音がすぐに現実に戻る。
「依頼人を泣かしてどうするんですか!?」
「えええ!?オレ!?」
自分を指差し、オドロキは驚愕の声をあげた。
「あんなにハッキリ訊くからですよ!もっと繊細な乙女の気持ちを理解してあげてください!」
繊細な男の気持ちも理解してくれよ。とオドロキは心の中でぼやいた。
「とっとりあえず!先に現場に行こう!時間を置けばきっと彼女も落ち着いてると思うから!」
「……まぁ、そうですね。事件のことなにもわかってないですし」
留置所をあとにしてオドロキたちは事件現場に行くことにした。
留置所 面会室
オドロキと心音はパイプ椅子に座りながら、今回弁護する人物が出てくるのを待っていた。
「それじゃあ、その男の人は彼女の弁護をしてほしいって言ったらすぐに出てっちゃったんですか?」
「ああ。それ以外はなにも……」
ガラスの向こう側からドアの音が聞こえ、オドロキと心音は口を閉じ、音の方へ顔を向けた。
留置所のグレーのドアから出てきたのは、振袖姿の女性だった。
まっすぐに切りそろえられた前髪に、癖のない緑に輝く黒髪。
ピンクの牡丹が描かれている真っ赤な着物。
どこかミステリアスな着物の女性がガラス越しにこちらを見ている。
「なんだか、日本のお人形さんみたいでキュートな人ですね」
心音がオドロキにコソッと耳打ちした。
「えっと、八百谷奈々子さんですね。」
「……はい」
どこか遠くを見ている焦点の合わない眸で、女性は弁護士たちを見つめ返す。
「オレたちは、えっと……」
オドロキは気づいた。
……依頼人の名前聞いてねえ!
事務所にやってきた男性の名がわからず、冷や汗を額にかきながら固まる。
「あなたの、知り合いの……その……男性から、君の弁護を依頼されたんだ。」
「男性?」
ぼんやりとしていた瞳がハッキリとした。
「もしかして伊次郎兄さん!?」
あの人、伊次郎っていうのか。
オドロキはあの男性の容姿を思い出し、男性の名前をおぼえた。
「うん、そう。それで、事件について話してもらえるかな。その……放火だったんですよね?」
その問いに八百谷の瞳に翳がかかる。
心音がオドロキを肘で小突いた。
「センパイ!いきなり過ぎます!」
「けど!まずちゃんと聞かないと……」
「……つけました。」
「「え?」」
オドロキが言い返そうとしたとき、二人は聞こえた声の方へ同時に顔を向けた。
人形のような女性は、顔をうつむかせ、微かに震えている。
「わたしが……火を……つけました」
彼らの目に女性の顔からきらりと光る物が落ちてくるのが映る。
八百谷は両手で顔を覆い、突如勢いよく椅子から立ち上がった。
そして、再びドアの方へ戻ってしまった。
二人はポカンと口を開けていたが、ハッと心音がすぐに現実に戻る。
「依頼人を泣かしてどうするんですか!?」
「えええ!?オレ!?」
自分を指差し、オドロキは驚愕の声をあげた。
「あんなにハッキリ訊くからですよ!もっと繊細な乙女の気持ちを理解してあげてください!」
繊細な男の気持ちも理解してくれよ。とオドロキは心の中でぼやいた。
「とっとりあえず!先に現場に行こう!時間を置けばきっと彼女も落ち着いてると思うから!」
「……まぁ、そうですね。事件のことなにもわかってないですし」
留置所をあとにしてオドロキたちは事件現場に行くことにした。