焼け木杭に火がつく
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同日 某時刻
地方裁判所 旧記録倉庫
紗針はちっと舌打ちをすると、ドアを睨む。
「……下がってろ」
みぬきは訳がわからなかったが、紗針の雰囲気に呑まれ、後ろへと体を引いた。
紗針はドアを一通り観察し、かまえた。
ガッ!とドアを強く蹴る。
ドアから少しだけ隙間が開く。
紗針は短く息を吸い、もう一度足を鋭く蹴り上げた。
鍵がかかってた部分を残して、歪に変形した鉄製のドアが部屋の中へと吹っ飛ぶ。
パラパラと埃が舞う。
中には赤く燃える石油ストーブと黄色いスーツの少女が倒れていた。
「心音さん!」
「待て!」
部屋に入ろうとしたみぬきの前を紗針が腕で制す。
紗針ははぁっと大きく息を吸って、ぐっと息を止めた。
ダッシュで部屋に突入して、心音の体を腕に抱えるとすぐに部屋を飛び出した。
「心音さん!」
みぬきはここねの顔を覗き込むと、その変化にすぐに気がづいた。
「ココネさんのほっぺ妙に赤くありませんか?」
心音の頬や唇が異様に赤くなっていたのだ。
「すぐにここから離れるで!」
紗針はココネを腕に担ぎ、正面玄関の方に向かい、近くの控え室へと入った。
ソファに心音を寝かせ、部屋の窓を全開にした。
「寒いけど、我慢してな」
そう言って、紗針は自分の着てたジャケットを心音の上にのせた。
「おい!しっかりせええ!わいがわかるか!」
紗針は寝ている少女の頬を叩き続ける。
ココネは顔をくしゃっとゆがめて、ううっと軽く呻く。
その様子を見て、紗針は心音の口元に耳を当てる。
耳に規則正しく風が当たるのを感じ、紗針はほっと安堵の息をこぼした。
「ココネさんは大丈夫なんですか!?」
「今のところ大丈夫や。意識もあるし呼吸も正常や」
みぬきは胸をなでおろす。
「とりあえず、目を覚ますまではガンガン新鮮な空気吸わせるしかないわ」
「ココネさんはどうしてこうなったんですか?」
「"一酸化中毒"や。
密閉された狭い部屋で換気もしないで
あんなにガンガンストーブつけてたら酸素もすぐなくなるに決まっとる」
「もしかして犯人がわざと」
紗針が黙って頷く。
「一歩遅かったら一酸化炭素中毒で死ぬところだったで。ほんまに」
うっと瞼が震え、心音が目を開いた。
「心音さん!」
「目ぇ覚めたんやな」
ボーッとした目で、ココネが紗針を見る。
「あなたは……」
「君の心を盗みに来たハンサムな泥棒さんやで」
「あっ!……あの、変な刑事しゃん……」
「だっ大丈夫そうやね」
紗針はトホホと首をうなだれた。
「けど、呂律は回ってへんみたいやからしばらくは安静やね」
「しゃっさいばん!」
ココネが起き上がるが、すぐにふらっと床に倒れこむ。
「ちょっ!動いちゃダメ!」
すんでのところで紗針がココネの体を支える。
「……裁判に、行かなきゃ」
「あかん!一酸化炭素中毒になりかけてたんやで自分!」
「約束……したんです……」
心音の言葉に紗針の動きが止まった。
「わたし…たちが…しょうめい……って……」
「ダメですよ心音さん!そんな体じゃ……」
「お願い…ます。わっわた…を法廷…連れてって」
心音は動かない体を起こし、紗針の胸の前の服を皺になるぐらい強く掴んだ。
はぁーと紗針がため息を吐いた。
「わかった」
「紗針さん!?」
みぬきが目を大きく開き、紗針を非難するように見つめる。
紗針の言葉に心音がほっとした。
「……どうせ、あいつへのプレゼントもあったしな」
地方裁判所 旧記録倉庫
紗針はちっと舌打ちをすると、ドアを睨む。
「……下がってろ」
みぬきは訳がわからなかったが、紗針の雰囲気に呑まれ、後ろへと体を引いた。
紗針はドアを一通り観察し、かまえた。
ガッ!とドアを強く蹴る。
ドアから少しだけ隙間が開く。
紗針は短く息を吸い、もう一度足を鋭く蹴り上げた。
鍵がかかってた部分を残して、歪に変形した鉄製のドアが部屋の中へと吹っ飛ぶ。
パラパラと埃が舞う。
中には赤く燃える石油ストーブと黄色いスーツの少女が倒れていた。
「心音さん!」
「待て!」
部屋に入ろうとしたみぬきの前を紗針が腕で制す。
紗針ははぁっと大きく息を吸って、ぐっと息を止めた。
ダッシュで部屋に突入して、心音の体を腕に抱えるとすぐに部屋を飛び出した。
「心音さん!」
みぬきはここねの顔を覗き込むと、その変化にすぐに気がづいた。
「ココネさんのほっぺ妙に赤くありませんか?」
心音の頬や唇が異様に赤くなっていたのだ。
「すぐにここから離れるで!」
紗針はココネを腕に担ぎ、正面玄関の方に向かい、近くの控え室へと入った。
ソファに心音を寝かせ、部屋の窓を全開にした。
「寒いけど、我慢してな」
そう言って、紗針は自分の着てたジャケットを心音の上にのせた。
「おい!しっかりせええ!わいがわかるか!」
紗針は寝ている少女の頬を叩き続ける。
ココネは顔をくしゃっとゆがめて、ううっと軽く呻く。
その様子を見て、紗針は心音の口元に耳を当てる。
耳に規則正しく風が当たるのを感じ、紗針はほっと安堵の息をこぼした。
「ココネさんは大丈夫なんですか!?」
「今のところ大丈夫や。意識もあるし呼吸も正常や」
みぬきは胸をなでおろす。
「とりあえず、目を覚ますまではガンガン新鮮な空気吸わせるしかないわ」
「ココネさんはどうしてこうなったんですか?」
「"一酸化中毒"や。
密閉された狭い部屋で換気もしないで
あんなにガンガンストーブつけてたら酸素もすぐなくなるに決まっとる」
「もしかして犯人がわざと」
紗針が黙って頷く。
「一歩遅かったら一酸化炭素中毒で死ぬところだったで。ほんまに」
うっと瞼が震え、心音が目を開いた。
「心音さん!」
「目ぇ覚めたんやな」
ボーッとした目で、ココネが紗針を見る。
「あなたは……」
「君の心を盗みに来たハンサムな泥棒さんやで」
「あっ!……あの、変な刑事しゃん……」
「だっ大丈夫そうやね」
紗針はトホホと首をうなだれた。
「けど、呂律は回ってへんみたいやからしばらくは安静やね」
「しゃっさいばん!」
ココネが起き上がるが、すぐにふらっと床に倒れこむ。
「ちょっ!動いちゃダメ!」
すんでのところで紗針がココネの体を支える。
「……裁判に、行かなきゃ」
「あかん!一酸化炭素中毒になりかけてたんやで自分!」
「約束……したんです……」
心音の言葉に紗針の動きが止まった。
「わたし…たちが…しょうめい……って……」
「ダメですよ心音さん!そんな体じゃ……」
「お願い…ます。わっわた…を法廷…連れてって」
心音は動かない体を起こし、紗針の胸の前の服を皺になるぐらい強く掴んだ。
はぁーと紗針がため息を吐いた。
「わかった」
「紗針さん!?」
みぬきが目を大きく開き、紗針を非難するように見つめる。
紗針の言葉に心音がほっとした。
「……どうせ、あいつへのプレゼントもあったしな」