焼け木杭に火がつく
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同日 某時刻
地方裁判所 廊下
裁判所の中を男とマジシャンの少女が忙しなく歩きまわっていた。
「それじゃ、心音ちゃんがいなくなったのは本当についさっきなんやな」
「はい、書類を提出してくるって行って別れたばかりでした」
「それならたぶん、どこかに閉じ込められてると考えてよさそうやな」
「どうしてそう思うんですか?」
とんとんとサハリはこめかみを指で叩く。
「刑事の勘ってやつや!
それで、お嬢ちゃんは心音ちゃんの居そうな場所に心当たりはある?」
「うーん……あんまりここには来ないので、みぬきにはわからないです」
「そんなら足で稼ぐしかないみたいやな」
「鍵なら任せてください。みぬきがちょちょいと開けてみせますから!」
「ははっ。そら頼もしいこと……!」
ふと、サハリが足を止めて、その場にしゃがみこむ。
「……このペンダントは……」
「あっ!これ、モニタくんです!」
床に心音の首にいつもかかっているペンダントが落ちていた。
「これが落ちてるってことはたぶんこの辺りにいるってことやな」
サハリは口元を隠すように手を当てる。
「この辺で人を閉じ込められそうな場所と言うたら……」
「うーん、倉庫みたいな場所ですかね」
「!もしかしたら、あそこかもしれん」
紗針が走り出した。
それをみぬきが慌てて追いかける。
「あそこってどこですか!?」
「今は使われてへん、"旧記録倉庫"や!」
裁判所の奥へ進むと人の気配がどんどんとなくなっていく。
誰も人がいなくなった頃に、二人はその倉庫へと到着した。
紗針がガチャガチャとドアノブを回すが、開く気配はなかった。
「あかん。やっぱり鍵かかとる。おい!誰かおらへんか!?」
彼はどんどんと乱暴にドアをたたく。
「居たら返事してください!」
それにならってみぬきもドアをたたき、心音を呼んだ。
「なんだお前たちは!」
大柄な警備員が二人のもとへと向かってくる。
「ここは立ち入り禁止だ!今すぐ出てけ!」
「えろう、すんません。若い黄色弁護士探しとるんですわ。
裁判前に怖気ついて逃げてもうて……見かけませんでしたか?」
「知らんな。そんな女は」
次の瞬間、ガッと鈍い音が響く。
紗針が警備員の顎を殴打した。
警備員がよろけた隙に、紗針は相手の手を後ろにひねりあげた。
そのまま警備員を床にねじ伏せる。
「ココネちゃんはどこや?」
「なっなにをする離せ!」
みぬきが目を白黒させていたが、警備員にキッと詰め寄る。
「今のはみぬきだっておかしいって思いましたよ!」
「なにを言ってる!」
はぁと紗針が大きなため息を吐いた。
「わいは"若い黄色弁護士"しか言うてへんのに、どうして"女"なんてわかったんや?」
「そっそれは!たまたまそんな特徴の女弁護士を覚えていたから、そいつだと思ったんだ!」
「それなら、フツーは"希月弁護士のことか?"とか訊いてから答えるはずやで。」
「だから、たまたま当たっただけで」
紗針はがっと後ろから警備員の首をわしづかみ、彼の頭を床に打ち付ける。
「もう一度改めて訊くで?ここねちゃんはこの部屋におるんやろ?」
ギュッと首の後ろを締め付けられ、警備員はくっと顔をゆがめる。
「……しっ知らん!」
「そうか。んじゃ、もうひとつここの鍵はあんたが持っとんのか?」
「知らん!」
「わかった」
静かにそう言うと、紗針は警備員の首めがけて手刀を入れた。
「ぐがっ!」
紗針は気絶した警備員からどき、問答無用で懐に手を突っ込んだ。
「おっ」
チャリという金属音がきこえ、紗針は警備員から鍵をぶんどった。
「あった。あった。」
「紗針さん、今もしかして"嘘"かどうか確認してませんでしたか?」
首に手を当てていた動作を見て、みぬきが尋ねた。
「まぁな。長年刑事やっとるとこういうウソは勘でわかるんや!」
「まるでオドロキさんみたいですね」
サハリは顔を引き締め、みぬきの方へ真剣な表情を向ける。
「オドロキくんのことは知らへんけど、自分の洞察力はなかなかのもんやろ?
わい?かっこいい?」
「はい。とっても頼もしいです」
魔術師の少女は、花のような可憐な笑みを浮かべる。
紗針はその顔を見て、うんうんと力強くうなづく。
「せやろせやろ。つーことで電話番号教えてぇなぁー!」
髭のおっさんが両手を広げ、うら若き乙女へと突っ込んでいく。
「それじゃ、ちゃっちゃと開けちゃいましょうか!」
みぬきはそれをサラリとかわし、紗針は床に顔面から着地した。
みぬきが奪い取った鍵を、ドアのカギ穴に差し込む。
「あっあれ?」
「いてて……どないしたん?」
紗針は赤くなった鼻を押さえながら、みぬきの様子に気づく。
「あっ開かないんです。ドア」
「……なんだって?」
「鍵はささるんですけど、鍵が回りません」
「ちょっと貸してみい!」
紗針はみぬきを軽くどかし、鍵に手をかける。
ガチャガチャと乱暴に揺するが、鍵は回らない。
紗針はガンッとドアを殴る。
「ちっきしょうどないなっとんねん!こうなったらあの野郎もっかい起こして聞き出す!」
「待ってください。……なんか音がしませんか?」
「音?」
「部屋の中からです」
紗針は扉に耳をつける。
みぬきも同じように扉に耳をつけた。
ごぉおおおという音。
「ストーブですね。もしそうならやっぱりココネさんはこの中に居る……」
「あんの××××野郎!!」
紗針が突如ガンッと乱暴にドアを殴りつけ、みぬきはびくっと肩を跳ねさせた。
「早くココネちゃんをここから出さないと、彼女死んじまうぞ!」
みぬきはその言葉に顔色を失った。
地方裁判所 廊下
裁判所の中を男とマジシャンの少女が忙しなく歩きまわっていた。
「それじゃ、心音ちゃんがいなくなったのは本当についさっきなんやな」
「はい、書類を提出してくるって行って別れたばかりでした」
「それならたぶん、どこかに閉じ込められてると考えてよさそうやな」
「どうしてそう思うんですか?」
とんとんとサハリはこめかみを指で叩く。
「刑事の勘ってやつや!
それで、お嬢ちゃんは心音ちゃんの居そうな場所に心当たりはある?」
「うーん……あんまりここには来ないので、みぬきにはわからないです」
「そんなら足で稼ぐしかないみたいやな」
「鍵なら任せてください。みぬきがちょちょいと開けてみせますから!」
「ははっ。そら頼もしいこと……!」
ふと、サハリが足を止めて、その場にしゃがみこむ。
「……このペンダントは……」
「あっ!これ、モニタくんです!」
床に心音の首にいつもかかっているペンダントが落ちていた。
「これが落ちてるってことはたぶんこの辺りにいるってことやな」
サハリは口元を隠すように手を当てる。
「この辺で人を閉じ込められそうな場所と言うたら……」
「うーん、倉庫みたいな場所ですかね」
「!もしかしたら、あそこかもしれん」
紗針が走り出した。
それをみぬきが慌てて追いかける。
「あそこってどこですか!?」
「今は使われてへん、"旧記録倉庫"や!」
裁判所の奥へ進むと人の気配がどんどんとなくなっていく。
誰も人がいなくなった頃に、二人はその倉庫へと到着した。
紗針がガチャガチャとドアノブを回すが、開く気配はなかった。
「あかん。やっぱり鍵かかとる。おい!誰かおらへんか!?」
彼はどんどんと乱暴にドアをたたく。
「居たら返事してください!」
それにならってみぬきもドアをたたき、心音を呼んだ。
「なんだお前たちは!」
大柄な警備員が二人のもとへと向かってくる。
「ここは立ち入り禁止だ!今すぐ出てけ!」
「えろう、すんません。若い黄色弁護士探しとるんですわ。
裁判前に怖気ついて逃げてもうて……見かけませんでしたか?」
「知らんな。そんな女は」
次の瞬間、ガッと鈍い音が響く。
紗針が警備員の顎を殴打した。
警備員がよろけた隙に、紗針は相手の手を後ろにひねりあげた。
そのまま警備員を床にねじ伏せる。
「ココネちゃんはどこや?」
「なっなにをする離せ!」
みぬきが目を白黒させていたが、警備員にキッと詰め寄る。
「今のはみぬきだっておかしいって思いましたよ!」
「なにを言ってる!」
はぁと紗針が大きなため息を吐いた。
「わいは"若い黄色弁護士"しか言うてへんのに、どうして"女"なんてわかったんや?」
「そっそれは!たまたまそんな特徴の女弁護士を覚えていたから、そいつだと思ったんだ!」
「それなら、フツーは"希月弁護士のことか?"とか訊いてから答えるはずやで。」
「だから、たまたま当たっただけで」
紗針はがっと後ろから警備員の首をわしづかみ、彼の頭を床に打ち付ける。
「もう一度改めて訊くで?ここねちゃんはこの部屋におるんやろ?」
ギュッと首の後ろを締め付けられ、警備員はくっと顔をゆがめる。
「……しっ知らん!」
「そうか。んじゃ、もうひとつここの鍵はあんたが持っとんのか?」
「知らん!」
「わかった」
静かにそう言うと、紗針は警備員の首めがけて手刀を入れた。
「ぐがっ!」
紗針は気絶した警備員からどき、問答無用で懐に手を突っ込んだ。
「おっ」
チャリという金属音がきこえ、紗針は警備員から鍵をぶんどった。
「あった。あった。」
「紗針さん、今もしかして"嘘"かどうか確認してませんでしたか?」
首に手を当てていた動作を見て、みぬきが尋ねた。
「まぁな。長年刑事やっとるとこういうウソは勘でわかるんや!」
「まるでオドロキさんみたいですね」
サハリは顔を引き締め、みぬきの方へ真剣な表情を向ける。
「オドロキくんのことは知らへんけど、自分の洞察力はなかなかのもんやろ?
わい?かっこいい?」
「はい。とっても頼もしいです」
魔術師の少女は、花のような可憐な笑みを浮かべる。
紗針はその顔を見て、うんうんと力強くうなづく。
「せやろせやろ。つーことで電話番号教えてぇなぁー!」
髭のおっさんが両手を広げ、うら若き乙女へと突っ込んでいく。
「それじゃ、ちゃっちゃと開けちゃいましょうか!」
みぬきはそれをサラリとかわし、紗針は床に顔面から着地した。
みぬきが奪い取った鍵を、ドアのカギ穴に差し込む。
「あっあれ?」
「いてて……どないしたん?」
紗針は赤くなった鼻を押さえながら、みぬきの様子に気づく。
「あっ開かないんです。ドア」
「……なんだって?」
「鍵はささるんですけど、鍵が回りません」
「ちょっと貸してみい!」
紗針はみぬきを軽くどかし、鍵に手をかける。
ガチャガチャと乱暴に揺するが、鍵は回らない。
紗針はガンッとドアを殴る。
「ちっきしょうどないなっとんねん!こうなったらあの野郎もっかい起こして聞き出す!」
「待ってください。……なんか音がしませんか?」
「音?」
「部屋の中からです」
紗針は扉に耳をつける。
みぬきも同じように扉に耳をつけた。
ごぉおおおという音。
「ストーブですね。もしそうならやっぱりココネさんはこの中に居る……」
「あんの××××野郎!!」
紗針が突如ガンッと乱暴にドアを殴りつけ、みぬきはびくっと肩を跳ねさせた。
「早くココネちゃんをここから出さないと、彼女死んじまうぞ!」
みぬきはその言葉に顔色を失った。