焼け木杭に火がつく
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「泥棒ですって?」
「あぁ、いかにも金目の物がありそうなお屋敷だったから狙いをつけたんだ。
けど、人が居るとは我ながら運がない」
オドロキは証言を聞いたあと、気になる証言を見つけた。
「崖になっている北部屋の窓から入ったんだ」
「西川さん。
この花に見覚えはありませんか?」
「いや。知らないな。そんな花」
「それはおかしいですね」
「えっ」
「これは七椿と呼ばれる花です。この花が咲いている場所は、屋敷の中に一か所しかありません」
「花なんてもんに興味なかったからな。覚えてなかっただけだ」
「それなら、調べさせてもらってもいいですか」
「調べるってなにを?」
「あなたの体に七椿の花粉が付着してるかどうかをです」
「!」
「もし、あなたがあの崖で七椿の下に居たというなら、七椿の花粉がついているはずです」
「係官。法廷のライトを消してくれるかい」
西川の体は青い光に照らされるが、真っ青なままだった。
「ライトを当てても光らないとうことは、あなたには七椿の花粉が付着していないということがわかりました。
つまりあなたは崖から侵入していないんです!」
「そのライトは本当に花粉なんかに反応して赤くなるのか!?もしかしたら赤くならないかもしれないだろ!」
「それならご心配ありません。昨日の法廷でこの崖から侵入した人物で試して、きちんと反応がでました」
「なっ」
「屋敷に侵入した怪盗鬼風だね。今、世間を騒がすいけ好かない傾奇者」
「彼をこのライトで照らしたとき、彼の手は真っ赤に光りました。
このライトが反応しなかったということはあなたは崖から侵入していなかった」
「……あぁ、そうだ」
「認めるんですか」
「崖から侵入したのはウソだ。本当の侵入は別だ」
「それではその侵入方法を証言してください」
オレは正面玄関から屋敷に侵入した。
崖から侵入したのはうそだ
嘘をついたのは管理人のじいさんが罰を受けると思ったからさ。
あとはさっき言った通りだ。
「オレは正面玄関から屋敷に侵入した」
「もしあなたが屋敷の正面玄関から侵入したのならタロウくんが吠えたはずです」
「それは……タロウが散歩の時間でいなかったから」
「散歩?」
サイバンチョが目を見開く。
「あっあぁ。そうだ。あの番犬はいつも午後の3時半に屋敷を散歩しに行くんだ。
盗みに入る前に、調べてたからな。俺はその時間に屋敷に侵入したんだ」
「それでは新たに証言に加えてください」
「あぁ、わかった」
「オレは番犬に見つからないために、犬が散歩する午後3時半に侵入した」
証言の中にあるお粗末な嘘に気づかないオドロキではなかった。
「庭師カライさんの証言によればその日、タロウくんの散歩は四時半に行ったとあります」
「なっ」
「サイバンチョ」
証人が何かを言いかける前に、牙琉が口を開く。
「この証人の証言は穴だらけだ。とてもじゃないが証人として立たせるのには力不足だ」
「検察側の意見に賛成ですな。わたしも信用できません。
嘘偽りの証言をして法廷を混乱させるなら、即刻退廷してもらいましょう」
サイバンチョの判決に証言台の男が声をあげた。
「……自白するよりさっさとこれを出せばよかった」
「それは?」
サイバンチョは男が差し出した物を上から覗きこむ。