焼け木杭に火がつく
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「こらっ!なんだお前たち!」
泥棒が去ったあと、やってきた警官が弁護士たちに詰め寄ってくる。
「ここは立ち入り禁止だ。学生は帰りなさい!」
「なっ」
心音がその言葉にカチンときた。
警官はココネの腕を掴もうとするが。
「わたしたちは学生じゃ―――――!」
逆に、心音が警官の腕をすばやく掴んだ。
警官の接近してきた力を利用し、彼女はぐっと警官を引き寄せて身体をひねる。
ぶわっと警官の身体が地面を離れ、空中に投げ飛ばされた。
警官の投げ飛ばされた方向には、オドロキがいる。
オドロキは口を開けながら空を飛んでいる警官を見上げていた。
2人の男性が衝突する
―――――かと思いきや。
突如、警官が空中で膝を抱え、くるくると回る。
とっさにオドロキが頭を両手で抱え、しゃがみこむ。
警官はオドロキの頭上を越えた。
シュタッと警官が地面にしゃがみながら、片手をついた。
「あっぶないなぁ~。合気道の投げ技は周りを巻き込むから、あんまり使っちゃだめだよ。」
軽快な口調で警官が、振り返る。
「その身のこなし、気安い態度!もしや――――あなた鬼風さんですね!」
「ご名答ぉー。」
警官に扮した鬼風はパチパチパチとやる気のない拍手をして、顔を上げた。
切れ上がった瞳の美青年が警察帽のツバを持ちながら不敵に笑う。
「本当はバラす気はなかったんだけど、オドロキくんに怪我させることはできないしね。」
「ううぅ!私の渾身の技を簡単にいなされるなんて」
心音は悔しそうに鬼風を睨む。
「ふっふっふ。一般人がこの鬼風サマを倒そうなんぞ10年早い。あっオドロキくん大丈ぁべしっ!!」
オドロキの右ストレートが鬼風の頬に決まり、鬼の身体は地面に倒れ込む。
「……ケツを撫で回すなよ」
彼の自慢のオデコにうっすら青筋が浮かんでいた。
「一般人は鬼風を倒せないんじゃないんですか?」
ココネは呆れ顔で鬼風を見下ろす。
鬼風は息も絶え絶えに、頬を押さえながら口を開く。
「愛する人の攻撃は特別だよ。」
心音とオドロキはその残念な美青年に棘のような眼差しを送る。
「昨日はよくもやってくれましたね」
「ん?あぁ、君の顎を打ち抜いたこと?」
「それもですけど……」
「そんなに邪険にしなくてもいいんじゃない?これでもあの法廷で助けてあげたわけだし」
「助けたって」
「だって、弁護側は不利な状態だったろ?」
その言葉に心音とオドロキが黙る。
「私の証言で状況はなんとか持ちこたえた。感謝はされども批難をされる覚えはないね」
「そういうなら、もちろんオレたちの調査に協力してくれるんですよね」
「うん?」
「事件に関することを話してください」
「事件のことは昨日の法廷で話したよ。
隠してることなんてないさ。まぁ、もしあるとしたら君への熱い恋心ぐらいかな?」
眼鏡の泥棒はおちゃらけた雰囲気を出すが、オドロキはじっと睨む。
その反応に、やれやれとオニカゼが頭をかく。
「あんまり真面目すぎると堅物って言われちゃうぞ。
まぁ、そんなオドロキくんも愛してるけどね」
なにも言わないオドロキにオニカゼは肩をすくめる。
「とにかく、私は法廷ですべてを証言したからなにも言うことはないよ」
"ドックン"
「オドロキ先輩」
「あぁ、完全に真っ黒だよ。この人」
オドロキは腕輪に触れながら、目の前のメガネをかけた青年を睨みつける。
「熱い眼差しを送って、どうしたんだい?」
「少しは本当のことを言ったらどうですか?」
「なにを言ってるのさ。私は正直者だよ」
嘘吐け。
オドロキは心の中で毒づいた。
「そっちがその気なら、真実をしゃべらせてやりますよ
鬼風さん。あなたはあの日、何をしていたんですか。
証言してください」
「……君の頼みなら仕方ない」
オドロキは鬼風に疑問を投げつける。
「あなたは事件の日、なにを探していたんですか?」
「欲しかったのは七姫さ」
オドロキは泥棒の動きを捕らえた。
「"七姫"と口にするたび、あなたは左手で背中を気にするように右肩に触れます」
嘘を隠す癖の場所を言い当てられ、オニカゼは目を丸くした。
「驚いた。嘘を見抜くのがずいぶん上手くなったんだな」
こりゃますますあのクソ爺に似てきやがるなぁ。
と鬼がぼやいていたが、なんのことかはわからないのでオドロキは気にも留めなかった。
「まぁ、合格。嘘を吐かせるにはちょっと甘いけど、クセを見抜けたからおまけしといてやるよ。
あの日、七姫が欲しかったのも間違いじゃないが。ついでに欲しい物もあったんだよ」
「それは一体?」
ぴらっとオニカゼは懐から紙を取り出す。
「このメンバーが欲しかった"物"かな?」
オドロキと心音が紙の内容を覗きこむ。
「「麻薬!?」」
「そういうこと。
警察に突き出すための証拠品としてパチってくるつもりだったんだが、あの火事だったからなぁ。
もう残っちゃいねえだろうよ」
そうぼやきながら、鬼風はオドロキに麻薬組織のメンバーリストを渡した。
「どうせ、私が持っていても意味ねえしアンタらにあげるよ」
「いや、あげるって言われても……」
「…あ!!」
心音がある項目を見て、声をあげた。
「どうしたの?希月さん」
「センパイこれ!生田さんの名前が入ってますよ!!」
「なんだって!?そんなまさか!」
「麻薬取締系刑事からくすねてきた情報だから間違いないだろうよ」
「って!そんな物持ってたら、オレたちが盗ったと思われるじゃないですか」
「それだったら、このカード渡しとけ」
そう言って、鬼風はオドロキに紅葉のマークが書かれた白いカードを渡す。
「君たちの大好き"証拠品"さ。落とし物だと言って、これと一緒に提出すればさすがにアンタらを疑うことはしないだろうよ」
「あっ見てください、センパイ!」
オニカゼと話していたオドロキは後輩の声に表を覗きこむ。
「このリストに只野さんの名前も入ってます!」
「なんだって!?」
心音の放った言葉とオドロキの反応に鬼は口の端を軽く吊り上げる。
「それでは弁護士くんたちよ。お仕事頑張ってくれたまえ」
「あっちょっ……!」
オドロキが背を向けた鬼風に声をかけようとしたが、言葉を失う。
オニカゼはその場で地面を蹴り、背後にあった2メートル以上の柵を軽く飛び越えたのだ。
隣に居た後輩も、あんぐりと口を開けて言葉を失う。
眼鏡の泥棒は重力に従い落下するが、その跳躍力に反してストンと静かな音で地へと着地した。
鬼は背を向けたまま、何事もなく去っていく。
「あの人、一体何者なんでしょうか?」
「……とんでもない人ってのは確かだな」
弁護士たちは新たな証拠品を手に入れ、次の調査へと向かった。
泥棒が去ったあと、やってきた警官が弁護士たちに詰め寄ってくる。
「ここは立ち入り禁止だ。学生は帰りなさい!」
「なっ」
心音がその言葉にカチンときた。
警官はココネの腕を掴もうとするが。
「わたしたちは学生じゃ―――――!」
逆に、心音が警官の腕をすばやく掴んだ。
警官の接近してきた力を利用し、彼女はぐっと警官を引き寄せて身体をひねる。
ぶわっと警官の身体が地面を離れ、空中に投げ飛ばされた。
警官の投げ飛ばされた方向には、オドロキがいる。
オドロキは口を開けながら空を飛んでいる警官を見上げていた。
2人の男性が衝突する
―――――かと思いきや。
突如、警官が空中で膝を抱え、くるくると回る。
とっさにオドロキが頭を両手で抱え、しゃがみこむ。
警官はオドロキの頭上を越えた。
シュタッと警官が地面にしゃがみながら、片手をついた。
「あっぶないなぁ~。合気道の投げ技は周りを巻き込むから、あんまり使っちゃだめだよ。」
軽快な口調で警官が、振り返る。
「その身のこなし、気安い態度!もしや――――あなた鬼風さんですね!」
「ご名答ぉー。」
警官に扮した鬼風はパチパチパチとやる気のない拍手をして、顔を上げた。
切れ上がった瞳の美青年が警察帽のツバを持ちながら不敵に笑う。
「本当はバラす気はなかったんだけど、オドロキくんに怪我させることはできないしね。」
「ううぅ!私の渾身の技を簡単にいなされるなんて」
心音は悔しそうに鬼風を睨む。
「ふっふっふ。一般人がこの鬼風サマを倒そうなんぞ10年早い。あっオドロキくん大丈ぁべしっ!!」
オドロキの右ストレートが鬼風の頬に決まり、鬼の身体は地面に倒れ込む。
「……ケツを撫で回すなよ」
彼の自慢のオデコにうっすら青筋が浮かんでいた。
「一般人は鬼風を倒せないんじゃないんですか?」
ココネは呆れ顔で鬼風を見下ろす。
鬼風は息も絶え絶えに、頬を押さえながら口を開く。
「愛する人の攻撃は特別だよ。」
心音とオドロキはその残念な美青年に棘のような眼差しを送る。
「昨日はよくもやってくれましたね」
「ん?あぁ、君の顎を打ち抜いたこと?」
「それもですけど……」
「そんなに邪険にしなくてもいいんじゃない?これでもあの法廷で助けてあげたわけだし」
「助けたって」
「だって、弁護側は不利な状態だったろ?」
その言葉に心音とオドロキが黙る。
「私の証言で状況はなんとか持ちこたえた。感謝はされども批難をされる覚えはないね」
「そういうなら、もちろんオレたちの調査に協力してくれるんですよね」
「うん?」
「事件に関することを話してください」
「事件のことは昨日の法廷で話したよ。
隠してることなんてないさ。まぁ、もしあるとしたら君への熱い恋心ぐらいかな?」
眼鏡の泥棒はおちゃらけた雰囲気を出すが、オドロキはじっと睨む。
その反応に、やれやれとオニカゼが頭をかく。
「あんまり真面目すぎると堅物って言われちゃうぞ。
まぁ、そんなオドロキくんも愛してるけどね」
なにも言わないオドロキにオニカゼは肩をすくめる。
「とにかく、私は法廷ですべてを証言したからなにも言うことはないよ」
"ドックン"
「オドロキ先輩」
「あぁ、完全に真っ黒だよ。この人」
オドロキは腕輪に触れながら、目の前のメガネをかけた青年を睨みつける。
「熱い眼差しを送って、どうしたんだい?」
「少しは本当のことを言ったらどうですか?」
「なにを言ってるのさ。私は正直者だよ」
嘘吐け。
オドロキは心の中で毒づいた。
「そっちがその気なら、真実をしゃべらせてやりますよ
鬼風さん。あなたはあの日、何をしていたんですか。
証言してください」
「……君の頼みなら仕方ない」
オドロキは鬼風に疑問を投げつける。
「あなたは事件の日、なにを探していたんですか?」
「欲しかったのは七姫さ」
オドロキは泥棒の動きを捕らえた。
「"七姫"と口にするたび、あなたは左手で背中を気にするように右肩に触れます」
嘘を隠す癖の場所を言い当てられ、オニカゼは目を丸くした。
「驚いた。嘘を見抜くのがずいぶん上手くなったんだな」
こりゃますますあのクソ爺に似てきやがるなぁ。
と鬼がぼやいていたが、なんのことかはわからないのでオドロキは気にも留めなかった。
「まぁ、合格。嘘を吐かせるにはちょっと甘いけど、クセを見抜けたからおまけしといてやるよ。
あの日、七姫が欲しかったのも間違いじゃないが。ついでに欲しい物もあったんだよ」
「それは一体?」
ぴらっとオニカゼは懐から紙を取り出す。
「このメンバーが欲しかった"物"かな?」
オドロキと心音が紙の内容を覗きこむ。
「「麻薬!?」」
「そういうこと。
警察に突き出すための証拠品としてパチってくるつもりだったんだが、あの火事だったからなぁ。
もう残っちゃいねえだろうよ」
そうぼやきながら、鬼風はオドロキに麻薬組織のメンバーリストを渡した。
「どうせ、私が持っていても意味ねえしアンタらにあげるよ」
「いや、あげるって言われても……」
「…あ!!」
心音がある項目を見て、声をあげた。
「どうしたの?希月さん」
「センパイこれ!生田さんの名前が入ってますよ!!」
「なんだって!?そんなまさか!」
「麻薬取締系刑事からくすねてきた情報だから間違いないだろうよ」
「って!そんな物持ってたら、オレたちが盗ったと思われるじゃないですか」
「それだったら、このカード渡しとけ」
そう言って、鬼風はオドロキに紅葉のマークが書かれた白いカードを渡す。
「君たちの大好き"証拠品"さ。落とし物だと言って、これと一緒に提出すればさすがにアンタらを疑うことはしないだろうよ」
「あっ見てください、センパイ!」
オニカゼと話していたオドロキは後輩の声に表を覗きこむ。
「このリストに只野さんの名前も入ってます!」
「なんだって!?」
心音の放った言葉とオドロキの反応に鬼は口の端を軽く吊り上げる。
「それでは弁護士くんたちよ。お仕事頑張ってくれたまえ」
「あっちょっ……!」
オドロキが背を向けた鬼風に声をかけようとしたが、言葉を失う。
オニカゼはその場で地面を蹴り、背後にあった2メートル以上の柵を軽く飛び越えたのだ。
隣に居た後輩も、あんぐりと口を開けて言葉を失う。
眼鏡の泥棒は重力に従い落下するが、その跳躍力に反してストンと静かな音で地へと着地した。
鬼は背を向けたまま、何事もなく去っていく。
「あの人、一体何者なんでしょうか?」
「……とんでもない人ってのは確かだな」
弁護士たちは新たな証拠品を手に入れ、次の調査へと向かった。