焼け木杭に火がつく
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
同日 某時刻
八百谷家 柵付近
若き弁護士たちは屋敷全体を覆う大きな黒い柵の付近を歩きながら、唐井の小屋へと向かっていた。
ふと、オドロキが足を止める。
「センパイ?」
「……なんだあれ?」
心音がオドロキの視線をたどり、柵の上でなにやら足をバタバタしている人影を見つける。
「……怪しい」
「……すごく怪しいです」
心音とオドロキが柵の上でごそごそと動いている男をジト目で見上げる。
先に行動に出たのは心音だった。
「あの、なにしてるんですか!?そこの怪しいおじさん!」
大声で心音が尋ねた。
「なっなんだお前ら!?」
それはこっちの台詞だ。
オドロキは心の中でつぶやいた。
「あの、もしかして、柵に嵌って動けないんですか!?」
「ちっちがう!これはそう!特訓だ!こう……泥棒が入ってきても追いかけられるようにだな!」
誰もがわかる切羽詰まった嘘に、弁護士たちは憐れむような目でそれを見上げる。
「あの、手を貸しましょうか?」
「降りてきたら、事件について聞かせてください!」
オドロキと心音が助けを申し出るが。
「いらん!俺は今忙しい!どっか行け!」
男に一蹴された。
「それじゃ、誰か助けを呼んできますよ」
「センパイ、さっきのお巡りさんを連れてきますね」
「待って!ぜっ是非とも手を貸してくれないか!実は降りられないんだ!
お話?するする!俺お話チョー好きだから!」
弁護士たちは急変した男の態度に呆れつつ、柵から彼を下ろした。
……………。
「それで、あなたは一体?」
「俺は田口 昇(タグチ ノボル)実は白状すると、俺は……泥棒なんだ」
「「知ってます」」
むしろなんでバレないと思ったのだろうか。と二人の心の声が重なる。
茶色い腹巻に黒いタイツ。
頭には唐草模様の風呂敷をかぶって、鼻の下で結んでいる。
男は"そうです、私が泥棒です"と訴えているような格好をしていた。
「それで、なんで柵に嵌ってたんですか」
「この屋敷にお邪魔しようと柵に登ったんだが、運悪く足を柵にひっかけちまって」
「それで泥棒に失敗したんですね」
白い目で心音が男を見る。
少女の視線に目をそらしながら、もごつく男が話を続ける。
「この前の火事で侵入したときは上手く行ったんだ。ここの主人に見つかるまでは」
「主人って?生田さんのことですか?」
「そう!そいつ!なかなか大物でな。この前のときも俺を見逃してくれたのさ」
「どういうことですか?それ」
【火事場泥棒】
「いや、実はな、火事が発生する前に俺は主人の部屋に入って、金目のものを探していたのさ」
「人形屋敷に侵入したのではなく?」
心音の問いに泥棒はブルブルと首を振る。
「冗談じゃねえぜ!あんな不気味な屋敷に近づくもんかい!いくら高く売れそうな人形が置いてあろうと薄気味悪いものに近づくもんか!俺は歯医者とお化けがでぇきらいなんだ!」
「じゃあ、七姫を盗ったのはあなたではないんですね」
「七姫?それはなにかい?あの人形屋敷の人形のことか?あぁ、盗っちゃいないね。あんなとこのお化け人形なんて」
「それで、主人に見逃されたってのはどういうことですか?」
「ん?あぁ、それな。実は、主人の部屋に侵入したときに本人と会っちまったんだが、なぜか妙な"頼み事"をされてな。それを引き受けたら黙っていてくれたのさ」
「"頼み事"?」
オドロキが首を傾げる。
「なんでも、主人の部屋のパソコンでチェスのネット対戦をしてほしいと」
「え?なんでそんなこと頼まれたんですか?」
心音は疑問符を頭上に大量に浮かべながら、唐草の泥棒に尋ねる。
「そんなん知らん。俺の方が聞きたいもんだ」
「ネットの対戦で勝ってほしいとでも頼まれたんですか?」
「いや、勝敗は気にしなくていいから対戦を代わってほしいと頼まされたのさ」
一体なんのために生田さんはそんなことをしたんだ?
オドロキは生田の頼み事に眉間に皺を寄せる。
「まぁ、おかげでバレずに済んだから安い頼み事だったがな。
それより、アンタたち。これだけ話したんだ。
まさか、ポリ公に言ったりなんぞ」
「あっ泥棒!おまわりさーんこっちに泥棒がいまーす!」
「ひぃいいいい!」
突如聞こえてきた声に、泥棒が脱兎のごとく逃げていった。
八百谷家 柵付近
若き弁護士たちは屋敷全体を覆う大きな黒い柵の付近を歩きながら、唐井の小屋へと向かっていた。
ふと、オドロキが足を止める。
「センパイ?」
「……なんだあれ?」
心音がオドロキの視線をたどり、柵の上でなにやら足をバタバタしている人影を見つける。
「……怪しい」
「……すごく怪しいです」
心音とオドロキが柵の上でごそごそと動いている男をジト目で見上げる。
先に行動に出たのは心音だった。
「あの、なにしてるんですか!?そこの怪しいおじさん!」
大声で心音が尋ねた。
「なっなんだお前ら!?」
それはこっちの台詞だ。
オドロキは心の中でつぶやいた。
「あの、もしかして、柵に嵌って動けないんですか!?」
「ちっちがう!これはそう!特訓だ!こう……泥棒が入ってきても追いかけられるようにだな!」
誰もがわかる切羽詰まった嘘に、弁護士たちは憐れむような目でそれを見上げる。
「あの、手を貸しましょうか?」
「降りてきたら、事件について聞かせてください!」
オドロキと心音が助けを申し出るが。
「いらん!俺は今忙しい!どっか行け!」
男に一蹴された。
「それじゃ、誰か助けを呼んできますよ」
「センパイ、さっきのお巡りさんを連れてきますね」
「待って!ぜっ是非とも手を貸してくれないか!実は降りられないんだ!
お話?するする!俺お話チョー好きだから!」
弁護士たちは急変した男の態度に呆れつつ、柵から彼を下ろした。
……………。
「それで、あなたは一体?」
「俺は田口 昇(タグチ ノボル)実は白状すると、俺は……泥棒なんだ」
「「知ってます」」
むしろなんでバレないと思ったのだろうか。と二人の心の声が重なる。
茶色い腹巻に黒いタイツ。
頭には唐草模様の風呂敷をかぶって、鼻の下で結んでいる。
男は"そうです、私が泥棒です"と訴えているような格好をしていた。
「それで、なんで柵に嵌ってたんですか」
「この屋敷にお邪魔しようと柵に登ったんだが、運悪く足を柵にひっかけちまって」
「それで泥棒に失敗したんですね」
白い目で心音が男を見る。
少女の視線に目をそらしながら、もごつく男が話を続ける。
「この前の火事で侵入したときは上手く行ったんだ。ここの主人に見つかるまでは」
「主人って?生田さんのことですか?」
「そう!そいつ!なかなか大物でな。この前のときも俺を見逃してくれたのさ」
「どういうことですか?それ」
【火事場泥棒】
「いや、実はな、火事が発生する前に俺は主人の部屋に入って、金目のものを探していたのさ」
「人形屋敷に侵入したのではなく?」
心音の問いに泥棒はブルブルと首を振る。
「冗談じゃねえぜ!あんな不気味な屋敷に近づくもんかい!いくら高く売れそうな人形が置いてあろうと薄気味悪いものに近づくもんか!俺は歯医者とお化けがでぇきらいなんだ!」
「じゃあ、七姫を盗ったのはあなたではないんですね」
「七姫?それはなにかい?あの人形屋敷の人形のことか?あぁ、盗っちゃいないね。あんなとこのお化け人形なんて」
「それで、主人に見逃されたってのはどういうことですか?」
「ん?あぁ、それな。実は、主人の部屋に侵入したときに本人と会っちまったんだが、なぜか妙な"頼み事"をされてな。それを引き受けたら黙っていてくれたのさ」
「"頼み事"?」
オドロキが首を傾げる。
「なんでも、主人の部屋のパソコンでチェスのネット対戦をしてほしいと」
「え?なんでそんなこと頼まれたんですか?」
心音は疑問符を頭上に大量に浮かべながら、唐草の泥棒に尋ねる。
「そんなん知らん。俺の方が聞きたいもんだ」
「ネットの対戦で勝ってほしいとでも頼まれたんですか?」
「いや、勝敗は気にしなくていいから対戦を代わってほしいと頼まされたのさ」
一体なんのために生田さんはそんなことをしたんだ?
オドロキは生田の頼み事に眉間に皺を寄せる。
「まぁ、おかげでバレずに済んだから安い頼み事だったがな。
それより、アンタたち。これだけ話したんだ。
まさか、ポリ公に言ったりなんぞ」
「あっ泥棒!おまわりさーんこっちに泥棒がいまーす!」
「ひぃいいいい!」
突如聞こえてきた声に、泥棒が脱兎のごとく逃げていった。