焼け木杭に火がつく
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「確かに忍び込んだ。そして、あのお嬢ちゃんを見た」
招かざる証人の言葉に法廷の人々は証人の顔から真偽を探ろうと見つめていた。
その場の空気に気づいたのか、鬼風が肩をすくめながら答える。
「もし私がウソをついていたらそこの青ひょうたんが
異議をとなえるはず。そうだろ?」
「ふむ…」
裁判長は目を閉じ、鬼の言葉に熟考する。
少しして目を開き、結論を述べた。
「…それでは証言してください。あなたが目撃したことについて」
私は火事が発生する前にあの崖に居た。
窓から屋敷に侵入して、七姫を頂くつもりだったのさ。
けど、目当ての七姫はどこにもなかった。
だから諦めて、あの窓から外に出た。
部屋を出るとき中から物音がしたんだ。
窓を覗くとあのお嬢さんの姿が突然現れた。
そして、血まみれの小太刀を握りドアから出ていった。
「……信用し難い証言ですな」
渋い表情をしながら、サイバンチョは証言台を睨んだ。
鬼の男は肩をすくめてその視線を軽く流す。
「"法廷ではどんな証言だろうと真実を語らなければならない"」
鬼の切れ長の鋭い瞳がサイバンチョを見上げる。
「そう聞いていたはずだが?」
「弁護人。尋問をお願いします」
「……はい」
明らかにあいつは嘘を吐いてる。
あの証拠品と証言が食い違ってる。
窓から屋敷に入って、私は七姫を頂くつもりだった。
「窓からって……どうやってあの崖を?」
「企業秘密。そんなもんを教えたら簡単に捕まっちまうだろ?」
心音がむむっと顔を固くする。
「わたしもあの崖は無理ですね」
「ハッ。小娘と同じ身体能力で泥棒なんてやってられるかよ」
鬼の言葉に心音がむっとしながら、机を叩き前のめりになる。
「その気になればわたしだってあんな崖くらい……!」
「泥棒と張り合ってどうするんだよ」
「弁護側、尋問を続けてください」
けど、目当ての七姫はどこにもなかった。
「証人。あなたは盗むつもりだった七姫が屋敷になかった。
それは本当ですか?」
「あぁ。事実さ。色んな部屋を回ったが、あの屋敷に七姫はなかった」
「それはおかしいですね。」
「……」
「この証拠品は八百谷家の宝である七姫の焼けた一部です。
七姫は火事が発生する前に南部屋にあったんです。けど、あなたはなかったと言った」
ダンッと机を叩く。
「あるじゃないですか!」
成歩堂張りに鋭く指をつきつける。
けど、そんなオドロキのツッコミも、平静な状態で鬼は答える。
「だって。それは私が狙ってた七姫じゃないからさ」
「え?」
「どういうことですか?」
サイバンチョが尋ねると、切れ長の目の青年は目を軽く見開く。
「あれ?知らないのか?
あの屋敷には七姫が二つ置いてあるんだ」
「えええええ!?」
「ってことはお宝は二つあったってことですか!?」
「いいや。一方は偽物で一方は本物」
「どっちか偽物!?」
その問いに鬼風は答えず、ふっと意味深な笑みを浮かべただけだった。
「南部屋と北部屋にそれぞれ一つずつ。私が欲しかったのは北部屋に置いてあった七姫の方。
けど、北部屋で七姫は見つからなかった。」
「それは本当ですか?」
「嘘だと思うなら、別邸の所有者であるお嬢さんに訊けばいい。」
そう言って鬼は、被告席に座っている被告人に顔を向ける。
「被告人。証言台へ」
奈々子は顔を俯かせ、静かに証言台へ移動した。
「被告人。それは本当ですか?」
「……返して」
ダンッと証言台を叩き、奈々子が鬼風を睨む。
「あなたが盗んだんでしょ!大事な七姫を!」
うんざりしたような表情を浮かべ、鬼は物覚えの悪い生徒に言い聞かせるようにしゃべり始める。
「だから、私が見たときにはなかったんだって」
「うそ!だって、私が行ったときにはもうなくなってた!あなたが盗ったんでしょ!」
「だから、私は北部屋の七姫は盗めなかったんだ。
私が忍びこんだときにはすでになくなってたから」
その言葉に夕神が鼻で笑う。
「ハッ。コソ泥の言うことなんぞ信用できるか」
「信用もなにも。盗んでねえよ。もし盗んでたら屋敷で働いたりするかよ」
「どういうことですか?」
「教えるアホがどこにいる」
ビビビビビビという電気の流れる音が響く。
「あびびあばばばばばば!」
「……さっさと吐きな」
「くっ……」
鬼ははぁと息を吐き、口を開く。
「私は北部屋のなくなった七姫を探していたから、女中として屋敷で働いていたんだ。
女中として働き始めたときはまだ七姫は"二つ"あった。
だが、事件発生前の夜に"一つ"なくなってたんだ。
私は内部の人間が持ち去ったんだろうと考えたのさ。
だから、それを突き止めるために予告時刻が過ぎても女中のままでいたんだよ。
まっ、おおよそ誰が持っていったか予想はついたけどな」
「誰ですか!?」
「この殺人事件の"犯人"さ」
鬼がだらしなく片足に重心をかけながら立っていう。
「たぶん、北部屋で被害者を殺したとき、七姫に誤って殺人の証拠が残った。
だから、それを隠滅するために人形を持ち去った。」
「異議あり!」
その声に鬼風は綺麗に整った眉がピクリと動く。
「へっ。盗人がナマクラブラ下げていきがっても、意味はないぜ。犯行現場は南部屋だ
北部屋ではねえ」
「なら、もちろんそこにあったんだよな?」
鬼は挑発するような笑みで漆黒の検事を睨む。
「被害者の"血液反応"が」
「……凶器と死体が落ちていたのは南部屋だ。」
「話をそらすってことは。刺されたときにでるはずの血痕が南部屋から出てないってことだろ」
「検事それは本当ですか?」
ちっと舌打ちをして、忌々しげに証言台を睨む。
「……刺されたときにでる"飛沫血痕"が南部屋から出てねえ。だが」
夕神はダンッと机を叩く。
「北部屋だけじゃねえあの屋敷全体どこにもそれは見つかってねえ。
焼け跡から死体と凶器が発見されたことから、検察は南部屋が殺害現場と断定した」
「ふむっ」
サイバンチョが目を閉じ、深く思考にひたる。
目を開き。カンッとサイバンチョが小槌を叩いた。
「そこまで!
今回、証人たちの証言により
不明瞭な点が多く発覚しました。
よって、現在の段階で判決を下すことはできません。
弁護側、検察側それぞれに更なる調査を命じます。
なぜ被害者は被告人を襲ったのか。
もう一つの七姫はどこに消えてしまったのか。
本当の殺害現場はどこだったのか。
……双方よろしいですか」
「はい」
「ちっ……了解だ」
「では、本日の審理はこれにて閉廷。」
カンッとサイバンチョが小槌を振り下ろした。
夕神がカカリカンに指示を出す。
「野郎を連行しろ」
ニコッと鬼が笑みを浮かべる。
招かざる証人の言葉に法廷の人々は証人の顔から真偽を探ろうと見つめていた。
その場の空気に気づいたのか、鬼風が肩をすくめながら答える。
「もし私がウソをついていたらそこの青ひょうたんが
異議をとなえるはず。そうだろ?」
「ふむ…」
裁判長は目を閉じ、鬼の言葉に熟考する。
少しして目を開き、結論を述べた。
「…それでは証言してください。あなたが目撃したことについて」
私は火事が発生する前にあの崖に居た。
窓から屋敷に侵入して、七姫を頂くつもりだったのさ。
けど、目当ての七姫はどこにもなかった。
だから諦めて、あの窓から外に出た。
部屋を出るとき中から物音がしたんだ。
窓を覗くとあのお嬢さんの姿が突然現れた。
そして、血まみれの小太刀を握りドアから出ていった。
「……信用し難い証言ですな」
渋い表情をしながら、サイバンチョは証言台を睨んだ。
鬼の男は肩をすくめてその視線を軽く流す。
「"法廷ではどんな証言だろうと真実を語らなければならない"」
鬼の切れ長の鋭い瞳がサイバンチョを見上げる。
「そう聞いていたはずだが?」
「弁護人。尋問をお願いします」
「……はい」
明らかにあいつは嘘を吐いてる。
あの証拠品と証言が食い違ってる。
窓から屋敷に入って、私は七姫を頂くつもりだった。
「窓からって……どうやってあの崖を?」
「企業秘密。そんなもんを教えたら簡単に捕まっちまうだろ?」
心音がむむっと顔を固くする。
「わたしもあの崖は無理ですね」
「ハッ。小娘と同じ身体能力で泥棒なんてやってられるかよ」
鬼の言葉に心音がむっとしながら、机を叩き前のめりになる。
「その気になればわたしだってあんな崖くらい……!」
「泥棒と張り合ってどうするんだよ」
「弁護側、尋問を続けてください」
けど、目当ての七姫はどこにもなかった。
「証人。あなたは盗むつもりだった七姫が屋敷になかった。
それは本当ですか?」
「あぁ。事実さ。色んな部屋を回ったが、あの屋敷に七姫はなかった」
「それはおかしいですね。」
「……」
「この証拠品は八百谷家の宝である七姫の焼けた一部です。
七姫は火事が発生する前に南部屋にあったんです。けど、あなたはなかったと言った」
ダンッと机を叩く。
「あるじゃないですか!」
成歩堂張りに鋭く指をつきつける。
けど、そんなオドロキのツッコミも、平静な状態で鬼は答える。
「だって。それは私が狙ってた七姫じゃないからさ」
「え?」
「どういうことですか?」
サイバンチョが尋ねると、切れ長の目の青年は目を軽く見開く。
「あれ?知らないのか?
あの屋敷には七姫が二つ置いてあるんだ」
「えええええ!?」
「ってことはお宝は二つあったってことですか!?」
「いいや。一方は偽物で一方は本物」
「どっちか偽物!?」
その問いに鬼風は答えず、ふっと意味深な笑みを浮かべただけだった。
「南部屋と北部屋にそれぞれ一つずつ。私が欲しかったのは北部屋に置いてあった七姫の方。
けど、北部屋で七姫は見つからなかった。」
「それは本当ですか?」
「嘘だと思うなら、別邸の所有者であるお嬢さんに訊けばいい。」
そう言って鬼は、被告席に座っている被告人に顔を向ける。
「被告人。証言台へ」
奈々子は顔を俯かせ、静かに証言台へ移動した。
「被告人。それは本当ですか?」
「……返して」
ダンッと証言台を叩き、奈々子が鬼風を睨む。
「あなたが盗んだんでしょ!大事な七姫を!」
うんざりしたような表情を浮かべ、鬼は物覚えの悪い生徒に言い聞かせるようにしゃべり始める。
「だから、私が見たときにはなかったんだって」
「うそ!だって、私が行ったときにはもうなくなってた!あなたが盗ったんでしょ!」
「だから、私は北部屋の七姫は盗めなかったんだ。
私が忍びこんだときにはすでになくなってたから」
その言葉に夕神が鼻で笑う。
「ハッ。コソ泥の言うことなんぞ信用できるか」
「信用もなにも。盗んでねえよ。もし盗んでたら屋敷で働いたりするかよ」
「どういうことですか?」
「教えるアホがどこにいる」
ビビビビビビという電気の流れる音が響く。
「あびびあばばばばばば!」
「……さっさと吐きな」
「くっ……」
鬼ははぁと息を吐き、口を開く。
「私は北部屋のなくなった七姫を探していたから、女中として屋敷で働いていたんだ。
女中として働き始めたときはまだ七姫は"二つ"あった。
だが、事件発生前の夜に"一つ"なくなってたんだ。
私は内部の人間が持ち去ったんだろうと考えたのさ。
だから、それを突き止めるために予告時刻が過ぎても女中のままでいたんだよ。
まっ、おおよそ誰が持っていったか予想はついたけどな」
「誰ですか!?」
「この殺人事件の"犯人"さ」
鬼がだらしなく片足に重心をかけながら立っていう。
「たぶん、北部屋で被害者を殺したとき、七姫に誤って殺人の証拠が残った。
だから、それを隠滅するために人形を持ち去った。」
「異議あり!」
その声に鬼風は綺麗に整った眉がピクリと動く。
「へっ。盗人がナマクラブラ下げていきがっても、意味はないぜ。犯行現場は南部屋だ
北部屋ではねえ」
「なら、もちろんそこにあったんだよな?」
鬼は挑発するような笑みで漆黒の検事を睨む。
「被害者の"血液反応"が」
「……凶器と死体が落ちていたのは南部屋だ。」
「話をそらすってことは。刺されたときにでるはずの血痕が南部屋から出てないってことだろ」
「検事それは本当ですか?」
ちっと舌打ちをして、忌々しげに証言台を睨む。
「……刺されたときにでる"飛沫血痕"が南部屋から出てねえ。だが」
夕神はダンッと机を叩く。
「北部屋だけじゃねえあの屋敷全体どこにもそれは見つかってねえ。
焼け跡から死体と凶器が発見されたことから、検察は南部屋が殺害現場と断定した」
「ふむっ」
サイバンチョが目を閉じ、深く思考にひたる。
目を開き。カンッとサイバンチョが小槌を叩いた。
「そこまで!
今回、証人たちの証言により
不明瞭な点が多く発覚しました。
よって、現在の段階で判決を下すことはできません。
弁護側、検察側それぞれに更なる調査を命じます。
なぜ被害者は被告人を襲ったのか。
もう一つの七姫はどこに消えてしまったのか。
本当の殺害現場はどこだったのか。
……双方よろしいですか」
「はい」
「ちっ……了解だ」
「では、本日の審理はこれにて閉廷。」
カンッとサイバンチョが小槌を振り下ろした。
夕神がカカリカンに指示を出す。
「野郎を連行しろ」
ニコッと鬼が笑みを浮かべる。