焼け木杭に火がつく
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濃く詰まった静寂が、法廷を包み込んだ。
法廷の人々の視線が一斉に証人席へ注がれる。
「……アッハハ」
静まり返った法廷に低い笑い声が木霊する。
「アハハハハハハハハハハハハハハ!」
伏せた顔の下から漏れる声に、人々は不穏な物を感じた。
「……まさかこんなに早くバレちまうとはなぁ」
艶のある男の声が、一筋の風のように響き渡る。
「しょっ証人?」
サイバンチョウが声をかけるのと同時に、緒花が服に手をかけて制服が空にのぼる。
弁護席では
オドロキが鼻の下を伸ばしながらのけぞり
心音が両頬に手を当て飛び上がり
検察席では
夕神が机から身を乗り出し鋭い眼光で証言台を睨み
傍聴席では観衆が呆然とし
裁判長は目をかっぴらきながら証言台を凝視した。
「かっ」
制服が証言台の床へと落ちた。
「怪盗鬼風!!」
バンッ!と証言台には黒い装束に赤い般若の男の姿が立っていた。
仮面は血のような赤い顔に、両のこめかみに金色の角、その目元はぎらぎらと吊り上がり、口元には噛み千切るのに向いた牙がずらりと生えそろっている。
赤鬼がタンッと床を踏み鳴らす。
「闇に浮かびし 紅葉がしとつ
紅き楓に 魅せられし
異形の者なり
山の大金 積まれても
手には入らぬ お宝を
この手の内に 奪いやしょう
悪党鬼風とは 俺のことだぁ!」
黒装束の鬼がすっと腕を組み、飄々とした様子でサイバンチョを見上げる。
「そこの青ひょうたんの言う通り。私はあの晩“お姫様”を攫う最中だった」
サイバンチョがキリッと顔を引き締める。
「証人。その前に仮面を外しなさい」
「世間様に見せられるような顔ではないんで……」
ヒュッと風が吹いたかと思うと
「うぉおおおお!」
赤い般若が真ん中からパカッと真っ二つに別れた。
綺麗な男の顔立ちが現れる。
タラッと鬼風の目と目の間から血が流れ落ちた。
「おまっ!」
顔を隠すように手で覆いながら、鬼風が証言台から身を乗り出した。
サイバンチョを見上げて、検察席を指差した。
「ちょっとそこのじいちゃん!この検事いいのかよ!?銃刀法違反じゃねえの!?」
「へっ。男が斬られたくらいでギャーギャー喚くんじゃねえ」
「顔斬るとかあぶねえなぁ!?」
「仮面の下が変装でないってことが証明されたんだ。もし、それが素顔じゃなかったら
変装用のマスクが切れるはずだからな」
「それだけのためにこんな怪我させるのかよ」
「それと……念のためだ」
カカリカンが証言台にやってきて、カチャッと黒光りする鋼鉄の手枷が鬼の手首につけられた。
その手枷に心音たちが反応した。
「あれってもしかして……」
「ユガミ検事がつけてた手錠だね」
鬼が訝しげに手錠を眺める。
「なんか……やけに重量があるっつーか……」
「一応、忠告しておくぜ。逃げようとするなよ」
その言葉に鬼は鼻であしらう。
「それはほしょうできぎゃああああああああ!びびではびでばばばばばば!!」
鬼風は奇声をあげながら、証言台の床に倒れた。
証言台から手が生え、ばんっと証言台に手を叩きつけながら鬼風が這い上がってきた。
プスプスと鬼の頭から煙のようなものが出ている。
「……なっなんだよこの電気ショックは……」
フラフラになりながら、証言台を支えに立ち上がる。
「言い忘れてたが、その電流はかなりヤベぇぞ。体験した身だからな。よくわかるぜ」
「……とんだドSじゃねえかあばばばばばば!」
再び奇声をあげながら暴れる鬼を見て、ユガミは口元を歪める。
「俺にビリビリされないように、精々大人しくしてるんだな」
「……にゃっにゃろう……」
息も絶え絶えに鬼は、恨みがましそうに検事席の方を睨みつける。
「それで?」
オドロキが鬼風の方へ尋ねる。
「アンタはあの日屋敷に侵入したんですか?」
鬼の青年の唇が弧を描く。
法廷の人々の視線が一斉に証人席へ注がれる。
「……アッハハ」
静まり返った法廷に低い笑い声が木霊する。
「アハハハハハハハハハハハハハハ!」
伏せた顔の下から漏れる声に、人々は不穏な物を感じた。
「……まさかこんなに早くバレちまうとはなぁ」
艶のある男の声が、一筋の風のように響き渡る。
「しょっ証人?」
サイバンチョウが声をかけるのと同時に、緒花が服に手をかけて制服が空にのぼる。
弁護席では
オドロキが鼻の下を伸ばしながらのけぞり
心音が両頬に手を当て飛び上がり
検察席では
夕神が机から身を乗り出し鋭い眼光で証言台を睨み
傍聴席では観衆が呆然とし
裁判長は目をかっぴらきながら証言台を凝視した。
「かっ」
制服が証言台の床へと落ちた。
「怪盗鬼風!!」
バンッ!と証言台には黒い装束に赤い般若の男の姿が立っていた。
仮面は血のような赤い顔に、両のこめかみに金色の角、その目元はぎらぎらと吊り上がり、口元には噛み千切るのに向いた牙がずらりと生えそろっている。
赤鬼がタンッと床を踏み鳴らす。
「闇に浮かびし 紅葉がしとつ
紅き楓に 魅せられし
異形の者なり
山の大金 積まれても
手には入らぬ お宝を
この手の内に 奪いやしょう
悪党鬼風とは 俺のことだぁ!」
黒装束の鬼がすっと腕を組み、飄々とした様子でサイバンチョを見上げる。
「そこの青ひょうたんの言う通り。私はあの晩“お姫様”を攫う最中だった」
サイバンチョがキリッと顔を引き締める。
「証人。その前に仮面を外しなさい」
「世間様に見せられるような顔ではないんで……」
ヒュッと風が吹いたかと思うと
「うぉおおおお!」
赤い般若が真ん中からパカッと真っ二つに別れた。
綺麗な男の顔立ちが現れる。
タラッと鬼風の目と目の間から血が流れ落ちた。
「おまっ!」
顔を隠すように手で覆いながら、鬼風が証言台から身を乗り出した。
サイバンチョを見上げて、検察席を指差した。
「ちょっとそこのじいちゃん!この検事いいのかよ!?銃刀法違反じゃねえの!?」
「へっ。男が斬られたくらいでギャーギャー喚くんじゃねえ」
「顔斬るとかあぶねえなぁ!?」
「仮面の下が変装でないってことが証明されたんだ。もし、それが素顔じゃなかったら
変装用のマスクが切れるはずだからな」
「それだけのためにこんな怪我させるのかよ」
「それと……念のためだ」
カカリカンが証言台にやってきて、カチャッと黒光りする鋼鉄の手枷が鬼の手首につけられた。
その手枷に心音たちが反応した。
「あれってもしかして……」
「ユガミ検事がつけてた手錠だね」
鬼が訝しげに手錠を眺める。
「なんか……やけに重量があるっつーか……」
「一応、忠告しておくぜ。逃げようとするなよ」
その言葉に鬼は鼻であしらう。
「それはほしょうできぎゃああああああああ!びびではびでばばばばばば!!」
鬼風は奇声をあげながら、証言台の床に倒れた。
証言台から手が生え、ばんっと証言台に手を叩きつけながら鬼風が這い上がってきた。
プスプスと鬼の頭から煙のようなものが出ている。
「……なっなんだよこの電気ショックは……」
フラフラになりながら、証言台を支えに立ち上がる。
「言い忘れてたが、その電流はかなりヤベぇぞ。体験した身だからな。よくわかるぜ」
「……とんだドSじゃねえかあばばばばばば!」
再び奇声をあげながら暴れる鬼を見て、ユガミは口元を歪める。
「俺にビリビリされないように、精々大人しくしてるんだな」
「……にゃっにゃろう……」
息も絶え絶えに鬼は、恨みがましそうに検事席の方を睨みつける。
「それで?」
オドロキが鬼風の方へ尋ねる。
「アンタはあの日屋敷に侵入したんですか?」
鬼の青年の唇が弧を描く。