可愛い子には旅をさせよ
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同日 午後7時05分
成歩堂なんでも事務所
「今日はありがとうな」
「またのご利用お待ちしてます!」
「依頼料ちゃんと払ってくださいね」
「辛辣っ!もっと夢を見させてよ2人とも!」
しくしくと嘘泣きをしつつ鬼風は2人に軽く手を振り、事務所を出た。
鬼風が去った扉を見て、みぬきがふふっと笑う。
「私に“お姉ちゃん”が居たらあんな感じなんですかね」
「“お兄さん”の間違いだろ」
「あっ。そうでした」
てへっとみぬきが頭を軽く小突く。
ふと、みぬきは扉の前に落ちてるハンカチを見つけた。
「これ、王泥喜さんのハンカチですか?」
「いや、オレのはちゃんと持ってるよ。………たぶんあの人のだろ」
なんだかんだと遊びに連れて行ってくれたのだ、落とし物を届けるぐらいはしてやろう。
そう考えて王泥喜はハンカチを拾い上げた。
「鬼風さんに届けてくるよ」
「まだビルの前に居ますよ、急いで!」
窓から外を見ていてくれたみぬきにはいはいと返事をしつつ、王泥喜は事務所をすぐ出た。
階段を駆け下り、ビルの玄関を抜けると目当ての人物はバイクに跨ったまま止まっていた。
どうやら、間に合ったみたいだ。
王泥喜は鬼風がバイクで走り出す前に相手の背に声をかける。
「おにか……」
「どういうことだっ!?」
「!」
突然の怒鳴り声に王泥喜は口を閉じた。
なんだ?
よく見ると鬼風は誰かと電話している最中だったらしく、携帯を耳に当てていた。
鬼風は今まで聞いたことがないくらい焦った声で、早口に電話をしている。
「そんなはずはない!あのヤブ医者のはちゃんと保管して……まさか、すでになかったのか!?」
なんだ?一体なんの話なんだ?そもそも誰と電話しているんだ?
王泥喜は声をかけることが出来ずにただ鬼風を遠くから見つめていた。
携帯を切ったかと思うと、鬼風がエンジンをかけた。
ヘルメットも被らずに勢いよく走り出してしまう。
王泥喜は、鬼風が落としたハンカチを持ったまま、走り去っていったバイクを呆然と眺めていることしか出来なかった。
そしてこのときが、王泥喜が鬼風の姿を見た最後の瞬間だった。
同日 午後7時24分
西名高速道路
鬼風は焦っていた。
先日の成歩堂と捜査をした事件で被害者となった医者。
彼が所持していた刀を鬼風は盗んだ。
ーーーーーそのはずだった。
「あの医者から盗んだ刀がすでに偽物だと!?くそっ!あの狐!すでにあいつが手に入れていたとはっ!」
あの“刀”だけは破壊しなきゃならないのに!
「“コウセキ”で作られた特殊な刀っ」
そしてーーーーー
或真敷の一族に唯一、催眠が効いてしまう厄介な代物。
あれを彼らに使われることだけは阻止しなければっ!
鬼風はハンドルを勢いよく手前に回し、バイクをさらに加速した。
~To be continued~
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