可愛い子には旅をさせよ
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同日 午後 13時 30分
「それでは、絶世の美少女魔術師 成歩堂みぬき嬢による世紀の大魔術ショーです」
空色のマントを翻して、シルクハットの美少女が横からステージに入ってくる。
あふれんばかりの拍手と歓声が湧く。
「こんにちは。絶世の美少女魔術師 成歩堂みぬきです!」
拍手と歓声があがった。
「本日は、みぬきの大魔術ショーにようこそ!これから始まる世紀の大魔術ショーを楽しんで行ってくださいね!
今回アシスタントをしてくれるのは、成歩堂なんでも事務所のエース王泥喜法介と謎の美青年アシスタントです」
観客の歓声に合わせて鬼風が手を振ってみせる。
さきほど緊張していたとは思えない手慣れた様子に、王泥喜は思わず先ほどの緊張は嘘だったのではと疑ってしまった。
掴みは十八番芸のマジックパンツで観客の持ち物を消して、それを遠くで見ていた謎の美青年アシスタントが渡すという芸を見せ、観客の興味を刺激する。
みぬきがマジックをして、鬼風がそれをサポートして、王泥喜が大きくリアクションを見せる。
上手く役割分担をこなしながら、マジックショーは観客の歓声や拍手を得ながら、着々と進んでいった。
そして……
「さぁ、いよいよメインイベントですよ。ここにいるのは成歩堂なんでも事務所エースの王泥喜法介です。今からみぬきがこの王泥喜さんを一瞬で消しちゃいます」
美青年アシスタントは人が入れる棺桶ぐらいの大きさの箱を二つほどステージに運び込む。
アシスタントが蓋を開けると、中は空っぽだった。
「それでは、そこの眼鏡が似合うあなた」
みぬきが近くにいた観客に声をかける。
え?俺?と戸惑いがちに観客の男は自分を指さす。
「はい、あなたです。お手伝い良いでしょうか?
仕掛けがないかステージにあがって確認してみてください」
観客は階段をあがり、ステージに立つ。
観客にステージを見せ、なんの変哲もない箱だと示す。
箱をどかし、床にも隠し穴のようなものがないことを観客は確認する。
調べ終えた観客は席に戻った。
「さて、このマジックボックスの中に王泥喜さんに入ってもらいまして」
王泥喜が箱の中に入り、アシスタントが蓋を閉めた。
すぐにパカッと蓋を開け、王泥喜が立っている様子を見せる。
「まだ中にいるのがわかりますね?」
みぬきがそう言うと、アシスタントが再び蓋を閉める。
ガコンッ!!と大きな音が響く。
「うわっ!!!!」
突然、箱の中から聞こえた声に観客がざわめく。
しかし、予定通りなのか空色のマジシャンは特に慌てる様子はなかった。
「ではいいですか?よーく見ててくださいね?」
みぬきの声で観客が一斉に箱に注目し、ドラムロールが鳴り響く。
「3、2、1……ハイッ!」
アシスタントが扉を開ける。
箱の中には赤いスーツの青年が跡形もなく消えていた。
おおおおおおおおおおおと大きな歓声と拍手が沸く。
「さぁ、みなさん!こちらの箱に注目してください!」
アシスタントがもう一方の箱の蓋を開け、観客に中が空っぽだということを見せる。
客席に中がよく見えるように箱をゆっくり回転させる。
「さぁ、みなさん!」
観客は美少女マジシャンに期待した眼差しを一斉に向ける。
「先ほど消えた王泥喜さんを、この箱に登場させてみせます!」
みぬきは箱の蓋を閉め、指を三本立ててみせる。
蓋が閉まった箱に皆が注目し、ドラムロールが再び鳴り響く。
「3、2、1……ハイッ!」
しーんと沈黙が落ちる。
「王泥喜さん!どうぞ!」
しーんと沈黙が響く。
長い沈黙が続き、みぬきの顔に一瞬焦りが出かけた
「……えっと、王泥喜さん?」
瞬間
ガコンッ!!と大きな音と共に箱がガタガタと揺れる。
「いってぇえええええええええ!!」
天啓の大音声が会場に轟いたあと、箱の蓋がドーンとステージに倒れる。
箱の中から
「みぬきちゃん!乱暴だよ!」
赤いスーツの青年がよろよろしながら出てきた。
青年の様子に空色のマジシャンは口に手を当てびっくりした表情を見せるが。
「えへっ。ちょっと、失敗しちゃいました」
魔術師の少女が、舌を出して笑いながらコテンッと自分の頭を手で叩いて見せる。
はははははっと大きな笑い声と歓声が同時に響き渡る。