可愛い子には旅をさせよ
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同日 午後 1 時 10 分
緑平 パーキングエリア
高速のパーキングエリアのベンチに王泥喜法介は目を濁らせ口を開き放ったまま腰かけていた。
魂が抜けかけたような状態で彼は背もたれによりかかっている。
「もういやだ……」
暴力を使ってお仕事をしている男たちに車で追いかけ回され、死のカーチェイスを身を持って体験して彼の意識は昇天しかけていた。
途中で意識を失いかけても操縦士の腰を死にもの狂いで掴んでいた自分を、王泥喜は内心で褒め称えていた。
王泥喜は視線を空から自身の膝に落とし、顔を俯かせる。
「だーれだっ」
「うわっ!」
王泥喜は背後から視界を塞がれ、思わず声をあげてしまう。
鈴が転がるような可愛らしいソプラノと白い手袋の感触に、マジシャンの少女が脳裏に浮かぶ。
彼は目を塞いでいる手を掴み、下へずらしながら振り返る。
「たくっみぬきちゃんなにして……」
王泥喜は固まった。
「ブッブー。外れだよーダーリンv」
可愛いソプラノで喋る眼鏡の男が王泥喜の目と鼻のさきに居た。
天を突き破るような彼の驚声がパーキングエリアに盛大に響く。
「だーいせいこぉー!」
イエーイと空色の魔術師とハイタッチをする鬼の泥棒。
王泥喜はただ黙って、相手を睨む。
「……本当に、なんの用ですか?」
「冷たい!君の弟くん冷たいよ!」
「本当に何の用ですか?」
「あれー?タマゴちゃん?君も冷たくない?」
「オレたちはあんたに構うほど暇じゃないんですよ」
「いや、トイレ掃除してたじゃん」
「あっあれは、あそこの、その、伝統的な掃除!というか……」
「マジックの練習するとか言ってたじゃん」
「…………」
「そんな濡れた子犬の目で見ないでおくれよ。
……はー、わかった。言うよ」
こめかみをかきながら、鬼の泥棒は改めて王泥喜たちに向き直る。
「今回は君たちに仕事を依頼しにきたんだ」
「弁護ですか!?」
目を輝かせる王泥喜に、眼鏡の美青年をうっと胸を押さえる。
「……ごめん。ないはずの良心がすごく痛むんだが……弁護ではない」
「じゃあ、マジックショーですか?」
「それも違う」
空色の少女と赤色の青年がそろって首をかしげる。
鬼の泥棒は懐から三枚の紙切れを取り出す。
「ここに、大山田 遊園地のチケットが三枚分あるんだけど……」
「オレとみぬきちゃんと……希月さんと成歩堂さん。どっちを誘う?」
「ハハハ!私と王泥喜くんとタマゴちゃんの三人だよ」
「みぬきちゃん。希月さんを誘って行こうか」
「ハハハ!負けないぞ!何度だって言ってやるぞ!!
私と遊園地で二日間遊んでほしい」
「嫌ですっ!!」
「まぁ元気の良いお返事っ!!そんなにハッキリ言われるとお兄さん泣いちゃう!!」
「嘘を吐くのはよくありませんからっ!!」
「正直であることが優しさとは限らないと思うなっ!!」
「ほらっ!みぬきちゃんもハッキリ言ってやれよ!」
「みぬき。鬼風さんと遊びたいです」
「え」
王泥喜が目をパチパチと瞬かせる。
対して、鬼風は目に涙を浮かべた。
「天使か!そうだよ!遊ぼうよ!旅行費は全部こっち持ち出し依頼料も払うしさ!
君たちは己の肉体と心だけ持ってきてくれればお兄さん大満足だよ!」
「だそうですよ。こんな美味しい仕事めったに来ませんよ、王泥喜さん。遊んでお金がもらえるなんて」
「でも……相手が……」
「晩飯は松坂牛でどうだい?」
「なにしてるんですか。早く出発してください。鬼風さん」
「現金っ!!でも、そんな君も嫌いじゃないよ」
「じゃあ、決まったことですし、さっそく行きましょう」
こうして王泥喜とみぬきは鬼の泥棒からの変わった依頼を受けることになった。
高速のパーキングエリアのベンチに王泥喜法介は目を濁らせ口を開き放ったまま腰かけていた。
魂が抜けかけたような状態で彼は背もたれによりかかっている。
「もういやだ……」
暴力を使ってお仕事をしている男たちに車で追いかけ回され、死のカーチェイスを身を持って体験して彼の意識は昇天しかけていた。
途中で意識を失いかけても操縦士の腰を死にもの狂いで掴んでいた自分を、王泥喜は内心で褒め称えていた。
王泥喜は視線を空から自身の膝に落とし、顔を俯かせる。
「だーれだっ」
「うわっ!」
王泥喜は背後から視界を塞がれ、思わず声をあげてしまう。
鈴が転がるような可愛らしいソプラノと白い手袋の感触に、マジシャンの少女が脳裏に浮かぶ。
彼は目を塞いでいる手を掴み、下へずらしながら振り返る。
「たくっみぬきちゃんなにして……」
王泥喜は固まった。
「ブッブー。外れだよーダーリンv」
可愛いソプラノで喋る眼鏡の男が王泥喜の目と鼻のさきに居た。
天を突き破るような彼の驚声がパーキングエリアに盛大に響く。
「だーいせいこぉー!」
イエーイと空色の魔術師とハイタッチをする鬼の泥棒。
王泥喜はただ黙って、相手を睨む。
「……本当に、なんの用ですか?」
「冷たい!君の弟くん冷たいよ!」
「本当に何の用ですか?」
「あれー?タマゴちゃん?君も冷たくない?」
「オレたちはあんたに構うほど暇じゃないんですよ」
「いや、トイレ掃除してたじゃん」
「あっあれは、あそこの、その、伝統的な掃除!というか……」
「マジックの練習するとか言ってたじゃん」
「…………」
「そんな濡れた子犬の目で見ないでおくれよ。
……はー、わかった。言うよ」
こめかみをかきながら、鬼の泥棒は改めて王泥喜たちに向き直る。
「今回は君たちに仕事を依頼しにきたんだ」
「弁護ですか!?」
目を輝かせる王泥喜に、眼鏡の美青年をうっと胸を押さえる。
「……ごめん。ないはずの良心がすごく痛むんだが……弁護ではない」
「じゃあ、マジックショーですか?」
「それも違う」
空色の少女と赤色の青年がそろって首をかしげる。
鬼の泥棒は懐から三枚の紙切れを取り出す。
「ここに、
「オレとみぬきちゃんと……希月さんと成歩堂さん。どっちを誘う?」
「ハハハ!私と王泥喜くんとタマゴちゃんの三人だよ」
「みぬきちゃん。希月さんを誘って行こうか」
「ハハハ!負けないぞ!何度だって言ってやるぞ!!
私と遊園地で二日間遊んでほしい」
「嫌ですっ!!」
「まぁ元気の良いお返事っ!!そんなにハッキリ言われるとお兄さん泣いちゃう!!」
「嘘を吐くのはよくありませんからっ!!」
「正直であることが優しさとは限らないと思うなっ!!」
「ほらっ!みぬきちゃんもハッキリ言ってやれよ!」
「みぬき。鬼風さんと遊びたいです」
「え」
王泥喜が目をパチパチと瞬かせる。
対して、鬼風は目に涙を浮かべた。
「天使か!そうだよ!遊ぼうよ!旅行費は全部こっち持ち出し依頼料も払うしさ!
君たちは己の肉体と心だけ持ってきてくれればお兄さん大満足だよ!」
「だそうですよ。こんな美味しい仕事めったに来ませんよ、王泥喜さん。遊んでお金がもらえるなんて」
「でも……相手が……」
「晩飯は松坂牛でどうだい?」
「なにしてるんですか。早く出発してください。鬼風さん」
「現金っ!!でも、そんな君も嫌いじゃないよ」
「じゃあ、決まったことですし、さっそく行きましょう」
こうして王泥喜とみぬきは鬼の泥棒からの変わった依頼を受けることになった。