賽は投げられた
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にっこりと男が笑う。
「ええ。お渡します。けど、その傘が毒が発射すると証明できなければ……」
「できますよ」
にやりと不敵な笑みを浮かべて答えたのは、成歩堂の隣の茶髪の女だった。
「なにを……」
「アンタみたいなド三流のペテン師の小細工なんて、すぐにわかりますよ」
「なっ」
声をあげようとした橋間は、いつの間にか隣に茶髪の女が立っていて目を見開く。
そして、すでに鬼風の手には彼のコウモリ傘が握られいてる。
「なにを……」
鬼風はじっとそれを見つめると、傘の先端を成歩堂の顔面の方向に突きつける。
ピシュッ!
乾いた鋭い音が響く。
白目になりながら硬直する成歩堂。
成歩堂は頬をかすった弾の感触に生きた心地がしなかった。
恐る恐る成歩堂は後ろを振り返る。
成歩堂の背後の壁に刺さっている弾を見て、鬼風は頬を吊り上げながら橋間の方に振り返る。
「さぁ、橋間さん。これで言い逃れはできませんよ?
この傘の先端の銃口と死体の銃弾の痕が一致すれば……あなたの舞台はこれで幕引きだ」
バッと橋間の周りに大量の紙の蝶が舞う。
うなだれた彼の周りを白い羽の蝶がぱたぱたと飛び回る。
やがて、すべての蝶が床に落ちると、和妻師は顔をあげた。
「……やはり、仕事道具をこんなことに使うべきではなかったんだな。
姉さんにも怒られてしまいますね」
観念したような悔しそうな複雑な表情が彼の顔に浮かんでいた。
「……なぜそんな恐ろしいことをしたのですか」
サイバンチョの静かな問いかけに、橋間はゆっくりと言葉を発していく。
「……弁護士さんの言う通り、橋間京子はボクの実の姉です。
姉さんは病気にかかり、それを治せるという医者が見つかった。
そう、あいつは治せると言った。
だから、姉さんをあいつのところに預けた。
でも、ボクは、とんでもない間違いを犯してしまったんです」
ぎゅっと橋間が証言台の柵を握りしめる。
「あいつに、あんなヤブに、いや、殺人者とわかっていれば姉さんを絶対預けたりしなかった!!」
ダンッと柵を殴りつける。
「あいつは、姉さんを殺したんだ!」
「それをどうやって知ったのですか?あなたたちは一緒に暮らしていなかったのですよね」
橋間はその問いかけに、首を振る。
「その問いには答えられません」
その言葉を発した後、彼は本当に何も語らなくなった。