賽は投げられた
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「死体に使われた毒がリシンか……それは、確かにまずいな」
「まずい?なにが」
鬼風は腕を組んで渋い表情を浮かべる。
「杏里はリシンの毒を所有してる」
「えっ」
「リシンというより、その毒の材料を持ってると言う方が正しいか。
警察が杏里を犯人だと決めつけた理由は、たぶん大量のトウゴマの種を買い占めていたからだろうな」
「トウゴマ?」
「そっ。ヒマシ油の元だ。杏里はヒマシ油を製造していたんだよ。
研究材料で欲しかったらしくてな。
自分でつくった物が欲しいってトウゴマから作ってたのが完全に失敗だったな」
「リシンの毒はそのトウゴマからできるのかい?」
「トウゴマからヒマシ油を精製するときに少量でる“リシン”っていうのが毒になるんだよ。まぁ、種にもリシンが含まれているからどっちにしろトウゴマっていう毒の源がある以上言い逃れはできねえよ」
鬼風は腕を組んで成歩堂の顔を見る。
「つまり、警察は杏里がそのリシンを薬と偽って被害者に渡したと推理してるわけか」
「まだリシンと決まったわけではないよ。検視官の推理だから確証はない」
「その検視官の推理だと、リシンで間違いないのか?」
「あぁ。だけど、詳しいことは明日の司法解剖でわかると言っていたよ。彼が言うにはリシンの中毒症状が出てるから、リシンで間違いないそうだけど……」
「毒が発症する“時間”がおかしいと」
成歩堂が頷く。
「被害者は高齢で痩せ形だったから、もっと毒が早く回るはずだと言っていた」
「まぁ、そうだよな。リシンなんて強力な毒、あの爺さんが耐えられるとも思えないしな」
「そんなに強力なのかい?」
「青酸カリよりは弱いが、植物毒のなかでは致死量はダントツだよ」
うーんと、鬼風はこめかみをかきながら唸ったあと、はぁーと大きなため息を吐いた。
「弁護する主張はどうするんだよ」
「毒殺以外を証明することはできない」
「……なら、他の毒が使われた可能性を調べてみるしかないか。あいつが渡したのはただの小麦粉だ。何個か杏里の家にストックが……」
そこで鬼風が言葉を切った。
少しして、成歩堂に顔を向ける。
「杏里の家は調査したのか?」
「えっ。いや、まだだけど」
「行くぞ。杏里の書斎なら色々と毒の資料も置いてあったはずだ。
そこでリシン以外の毒が使われた可能性を調べるか」
こうして、成歩堂は依頼人の自宅へと鬼の泥棒と向かった。
「まずい?なにが」
鬼風は腕を組んで渋い表情を浮かべる。
「杏里はリシンの毒を所有してる」
「えっ」
「リシンというより、その毒の材料を持ってると言う方が正しいか。
警察が杏里を犯人だと決めつけた理由は、たぶん大量のトウゴマの種を買い占めていたからだろうな」
「トウゴマ?」
「そっ。ヒマシ油の元だ。杏里はヒマシ油を製造していたんだよ。
研究材料で欲しかったらしくてな。
自分でつくった物が欲しいってトウゴマから作ってたのが完全に失敗だったな」
「リシンの毒はそのトウゴマからできるのかい?」
「トウゴマからヒマシ油を精製するときに少量でる“リシン”っていうのが毒になるんだよ。まぁ、種にもリシンが含まれているからどっちにしろトウゴマっていう毒の源がある以上言い逃れはできねえよ」
鬼風は腕を組んで成歩堂の顔を見る。
「つまり、警察は杏里がそのリシンを薬と偽って被害者に渡したと推理してるわけか」
「まだリシンと決まったわけではないよ。検視官の推理だから確証はない」
「その検視官の推理だと、リシンで間違いないのか?」
「あぁ。だけど、詳しいことは明日の司法解剖でわかると言っていたよ。彼が言うにはリシンの中毒症状が出てるから、リシンで間違いないそうだけど……」
「毒が発症する“時間”がおかしいと」
成歩堂が頷く。
「被害者は高齢で痩せ形だったから、もっと毒が早く回るはずだと言っていた」
「まぁ、そうだよな。リシンなんて強力な毒、あの爺さんが耐えられるとも思えないしな」
「そんなに強力なのかい?」
「青酸カリよりは弱いが、植物毒のなかでは致死量はダントツだよ」
うーんと、鬼風はこめかみをかきながら唸ったあと、はぁーと大きなため息を吐いた。
「弁護する主張はどうするんだよ」
「毒殺以外を証明することはできない」
「……なら、他の毒が使われた可能性を調べてみるしかないか。あいつが渡したのはただの小麦粉だ。何個か杏里の家にストックが……」
そこで鬼風が言葉を切った。
少しして、成歩堂に顔を向ける。
「杏里の家は調査したのか?」
「えっ。いや、まだだけど」
「行くぞ。杏里の書斎なら色々と毒の資料も置いてあったはずだ。
そこでリシン以外の毒が使われた可能性を調べるか」
こうして、成歩堂は依頼人の自宅へと鬼の泥棒と向かった。