焼け木杭に火がつく
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1月27日 午前10時25分
地方裁判所 被告人第2控え室
「うーん……どれも八百谷さんが無罪と強く証明できるような証拠品はないですね」
オドロキと心音がテーブルに証拠品を並べて、難しい顔をしていた。
オドロキが腕を組み、証拠品たちをじっくりと観察する。
なにかないか……。
ふと、オドロキは壁にかかった時計を見上げる。
「……八百谷さん遅いな」
「まだ体調悪いままなんですかね」
心音が顔を曇らせる。
そのとき
ん?
オドロキは廊下から声が聞こえ、扉に向かう。
激しい女性の声が微かにし、オドロキはドアを開けた。
「どうしよう!伊次郎兄さん!」
そこでは取り乱した奈々子が伊次郎に詰め寄っていた。
「七姫が!大事な七姫がなくなってたの!」
「奈々子、七姫は燃えたんだ」
「違う!盗まれたの!だから、私、人形を焼いたのに!」
その発言にオドロキたちは顔を引きつらせた。
焼こうとした?
ってことは放火しようとしたのは本当ってことか?
奈々子は伊次郎の身体をゆさぶっていたが、突如頭を押さえた。
「だっ大丈夫ですか?」
「頭……が痛くて……」
「怪我をしてるのに無理するから」
「怪我?」
オドロキは首をかしげた。
それに、伊次郎が答える。
「後頭部にたんこぶができてるらしくて……まだそこが痛むんだよな?」
こくりっと奈々子が頷く。
伊次郎が近くの部屋の扉を開けて、奈々子を支えながら中へ入れる。
「少しここで大人しくしてなさい。ボクは弁護士さんと話をしてくるから開廷する時間になったら呼びにくるよ」
また、こくりっと頷く。
オドロキたちは控室に戻り、改めて会話し始める。
「記憶が混乱してるようなんです。七姫なら焼けてしまったんだよって燃えた七姫の写真を見せたのですが……ない!盗まれた!の一点張りで……」
伊次郎が顔を俯かせる。
「七姫は彼女が大好きな人形だったので、ショックだったんでしょう」
「だったら、なんで彼女は焼こうとしたんでしょうか?そんな大事な物を」
心音が小首をかしげる。
「それはボクにもわかりません。訊いても教えてくれませんでした」
「……そうですか」
心音が顔をうつむかせる。
「あの、ところで伊次郎さん。八百谷さんの頭の怪我はいつできたものなんですか?」
オドロキの問いに答える。
「本人が言うには、放火して気を失ったあとだと」
「気を失った?」
「……突然意識がなくなって、目が覚めたとき後頭部がズキズキと痛かったと言ってました」
「それ、きっと犯人に殴られたんですよ!」
心音はそう言った。
「……その可能性も考えられるね」
オドロキは腕組みをして伊次郎の言葉を整理していく。
「まもなく開廷です!」
係官の声に、オドロキの思考がとまった。
オドロキたちは裁判の準備を整え、法廷へと向かう。
「あの、弁護士さん」
伊次郎に呼ばれ、二人は彼に顔を向けた。
彼が改めてオドロキたちに向かって頭を下げる。
「……奈々子のことお願いします」
「……任せてください」
地方裁判所 被告人第2控え室
「うーん……どれも八百谷さんが無罪と強く証明できるような証拠品はないですね」
オドロキと心音がテーブルに証拠品を並べて、難しい顔をしていた。
オドロキが腕を組み、証拠品たちをじっくりと観察する。
なにかないか……。
ふと、オドロキは壁にかかった時計を見上げる。
「……八百谷さん遅いな」
「まだ体調悪いままなんですかね」
心音が顔を曇らせる。
そのとき
ん?
オドロキは廊下から声が聞こえ、扉に向かう。
激しい女性の声が微かにし、オドロキはドアを開けた。
「どうしよう!伊次郎兄さん!」
そこでは取り乱した奈々子が伊次郎に詰め寄っていた。
「七姫が!大事な七姫がなくなってたの!」
「奈々子、七姫は燃えたんだ」
「違う!盗まれたの!だから、私、人形を焼いたのに!」
その発言にオドロキたちは顔を引きつらせた。
焼こうとした?
ってことは放火しようとしたのは本当ってことか?
奈々子は伊次郎の身体をゆさぶっていたが、突如頭を押さえた。
「だっ大丈夫ですか?」
「頭……が痛くて……」
「怪我をしてるのに無理するから」
「怪我?」
オドロキは首をかしげた。
それに、伊次郎が答える。
「後頭部にたんこぶができてるらしくて……まだそこが痛むんだよな?」
こくりっと奈々子が頷く。
伊次郎が近くの部屋の扉を開けて、奈々子を支えながら中へ入れる。
「少しここで大人しくしてなさい。ボクは弁護士さんと話をしてくるから開廷する時間になったら呼びにくるよ」
また、こくりっと頷く。
オドロキたちは控室に戻り、改めて会話し始める。
「記憶が混乱してるようなんです。七姫なら焼けてしまったんだよって燃えた七姫の写真を見せたのですが……ない!盗まれた!の一点張りで……」
伊次郎が顔を俯かせる。
「七姫は彼女が大好きな人形だったので、ショックだったんでしょう」
「だったら、なんで彼女は焼こうとしたんでしょうか?そんな大事な物を」
心音が小首をかしげる。
「それはボクにもわかりません。訊いても教えてくれませんでした」
「……そうですか」
心音が顔をうつむかせる。
「あの、ところで伊次郎さん。八百谷さんの頭の怪我はいつできたものなんですか?」
オドロキの問いに答える。
「本人が言うには、放火して気を失ったあとだと」
「気を失った?」
「……突然意識がなくなって、目が覚めたとき後頭部がズキズキと痛かったと言ってました」
「それ、きっと犯人に殴られたんですよ!」
心音はそう言った。
「……その可能性も考えられるね」
オドロキは腕組みをして伊次郎の言葉を整理していく。
「まもなく開廷です!」
係官の声に、オドロキの思考がとまった。
オドロキたちは裁判の準備を整え、法廷へと向かう。
「あの、弁護士さん」
伊次郎に呼ばれ、二人は彼に顔を向けた。
彼が改めてオドロキたちに向かって頭を下げる。
「……奈々子のことお願いします」
「……任せてください」