賽は投げられた
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3月22日 午後3時01分
警察署 鑑識課
成歩堂はうろうろと鑑識課を見回っていた。
今回、解剖記録を渡してくれた検視官に情報がないか聞き出すためである。
だが、検視官の姿はどこにも見当たらなかった。
(……御水検事に何か言われてるのかな)
何も情報が得られそうにないと感じた成歩堂は、鑑識課を出ようとした。
曲がり角に差し掛かった瞬間、人と衝突してしまい尻もちをついてしまう。
「あっ危ないですよ。青いスーツの人!」
「(ぶつかってきたのはそっちなんだけどな)はっはぁ……」
「って、あれ。もしかしてあなた、昨日の裁判の弁護士ですか?」
「昨日の裁判というと?」
「鬼風が被告人に化けてた裁判ですよ!」
「……それならボクですね」
「えっと、成歩堂でしたっけ?なんでこんなところにあなたみたいな弁護士がいるんですか」
「検視官の人に用があったんです。えっと、あなたは?」
「申し遅れました。自分は紗針 悟志(サハリ サトシ)刑事です。
窃盗事件担当の刑事です」
「紗針刑事?そういえば、どこかで聞いたことがあるような……」
「もしかして、兄のことじゃないですか?」「兄?」
「はい。兄は殺人事件の捜査を担当しているんですよ。そのときに会ったんじゃないですか?」
「あぁ……。たぶん、部下が会ったんだと思います。そのときの担当刑事が紗針だったような」
「きっとその事件は苦労したんじゃないですか。なんたって兄は、自分とちがって優秀な人ですから、弁護士にはやりづらいことこの上ないでしょうよ」
「(王泥喜くんたちから聞いた刑事とは別の人かな……)
ところで、なぜ窃盗課の刑事さんが鑑識に居るんですか?」
「失礼ですね。窃盗課でも鑑識には来ますよ」
「あっいえ、窃盗ってことは死体とか出ないはずですよね。それなのになんで解剖室にいるか不思議だったんですよ」
「自分だって行きたくないですよ。死体とか怖いから比較的安全な窃盗課に来たんですから」
「(なんでこの人刑事になったんだろう……)それで?苦手な死体がある解剖室になにがあるんですか?」
「いや、実はね。これも鬼風のせいなんですよ」
成歩堂はその名前にドキリとした。
「鬼風が藪下の研究資料を盗んだ犯人かもしれないって警部が言ってるんですよ」
「え」
「被害者の死体から鬼風に辿れる証拠品が残ってないか探して来い!って拳骨落とされながら言われたので、こうしてこの解剖室に来たんです」
「(鬼風だって……!?)その話詳しく聞かせてもらえませんか!」
「え?まぁ、いいですよ」
≪被害者の研究資料≫
「鬼風が盗んだというのは本当なんですか」
「いやいや、こんなの形だけの捜査ですよ。
なんたって、鬼風は“金山 繁座衛門の歌舞伎人形”しか盗まないんですから。
きっと、資料は別の人が盗んだんですよ。
それに、研究資料って言っても個人的に研究していたヤツで、大した資料じゃありませんから」
「藪下さんは何の研究をしていたんですか」
「んー。なんかもうずいぶん前に絶滅した病気について研究していたみたいですよ。
特に研究する必要性がないモノだったらしいです」
「どんな病気なんですか?」
藪下は横を向きながら、ボリボリと頭をかく。
「さぁ?自分にもさっぱりです。
ただ、その病気の感染者かもしれないと言って、ある女性が藪下のもとで暮らしていたんです」
「ある女性とは?……まさか黒谷杏里さん?」
「あぁ、違います。確か、名前は……」
紗針は警察手帳を取り出し、ぺらぺらとページをめくる。
「あっこれだ。橋間 京子さんですね。
最近、藪下のもとを去ってるようです。
病気にかかってないことが診察でわかったので、家に帰されたそうですよ」
「その病気ってのは一体どんなものなんですか?」
「今言ったこと以外はまったくわかってないんですよ。
確か……遺伝的なモノらしいってことと、もうその病気が絶滅していること。
それだけしか知らないです」
「そうですか」
「自分、行ってもいいですか?ここはひんやりしててどうも苦手で」
「あぁ。色々とありがとうございました」
青い顔をしながら紗針は解剖室から走り去った。
「資料……か」
黒谷さんにもう一度聞いてみるか
警察署 鑑識課
成歩堂はうろうろと鑑識課を見回っていた。
今回、解剖記録を渡してくれた検視官に情報がないか聞き出すためである。
だが、検視官の姿はどこにも見当たらなかった。
(……御水検事に何か言われてるのかな)
何も情報が得られそうにないと感じた成歩堂は、鑑識課を出ようとした。
曲がり角に差し掛かった瞬間、人と衝突してしまい尻もちをついてしまう。
「あっ危ないですよ。青いスーツの人!」
「(ぶつかってきたのはそっちなんだけどな)はっはぁ……」
「って、あれ。もしかしてあなた、昨日の裁判の弁護士ですか?」
「昨日の裁判というと?」
「鬼風が被告人に化けてた裁判ですよ!」
「……それならボクですね」
「えっと、成歩堂でしたっけ?なんでこんなところにあなたみたいな弁護士がいるんですか」
「検視官の人に用があったんです。えっと、あなたは?」
「申し遅れました。自分は紗針 悟志(サハリ サトシ)刑事です。
窃盗事件担当の刑事です」
「紗針刑事?そういえば、どこかで聞いたことがあるような……」
「もしかして、兄のことじゃないですか?」「兄?」
「はい。兄は殺人事件の捜査を担当しているんですよ。そのときに会ったんじゃないですか?」
「あぁ……。たぶん、部下が会ったんだと思います。そのときの担当刑事が紗針だったような」
「きっとその事件は苦労したんじゃないですか。なんたって兄は、自分とちがって優秀な人ですから、弁護士にはやりづらいことこの上ないでしょうよ」
「(王泥喜くんたちから聞いた刑事とは別の人かな……)
ところで、なぜ窃盗課の刑事さんが鑑識に居るんですか?」
「失礼ですね。窃盗課でも鑑識には来ますよ」
「あっいえ、窃盗ってことは死体とか出ないはずですよね。それなのになんで解剖室にいるか不思議だったんですよ」
「自分だって行きたくないですよ。死体とか怖いから比較的安全な窃盗課に来たんですから」
「(なんでこの人刑事になったんだろう……)それで?苦手な死体がある解剖室になにがあるんですか?」
「いや、実はね。これも鬼風のせいなんですよ」
成歩堂はその名前にドキリとした。
「鬼風が藪下の研究資料を盗んだ犯人かもしれないって警部が言ってるんですよ」
「え」
「被害者の死体から鬼風に辿れる証拠品が残ってないか探して来い!って拳骨落とされながら言われたので、こうしてこの解剖室に来たんです」
「(鬼風だって……!?)その話詳しく聞かせてもらえませんか!」
「え?まぁ、いいですよ」
≪被害者の研究資料≫
「鬼風が盗んだというのは本当なんですか」
「いやいや、こんなの形だけの捜査ですよ。
なんたって、鬼風は“金山 繁座衛門の歌舞伎人形”しか盗まないんですから。
きっと、資料は別の人が盗んだんですよ。
それに、研究資料って言っても個人的に研究していたヤツで、大した資料じゃありませんから」
「藪下さんは何の研究をしていたんですか」
「んー。なんかもうずいぶん前に絶滅した病気について研究していたみたいですよ。
特に研究する必要性がないモノだったらしいです」
「どんな病気なんですか?」
藪下は横を向きながら、ボリボリと頭をかく。
「さぁ?自分にもさっぱりです。
ただ、その病気の感染者かもしれないと言って、ある女性が藪下のもとで暮らしていたんです」
「ある女性とは?……まさか黒谷杏里さん?」
「あぁ、違います。確か、名前は……」
紗針は警察手帳を取り出し、ぺらぺらとページをめくる。
「あっこれだ。橋間 京子さんですね。
最近、藪下のもとを去ってるようです。
病気にかかってないことが診察でわかったので、家に帰されたそうですよ」
「その病気ってのは一体どんなものなんですか?」
「今言ったこと以外はまったくわかってないんですよ。
確か……遺伝的なモノらしいってことと、もうその病気が絶滅していること。
それだけしか知らないです」
「そうですか」
「自分、行ってもいいですか?ここはひんやりしててどうも苦手で」
「あぁ。色々とありがとうございました」
青い顔をしながら紗針は解剖室から走り去った。
「資料……か」
黒谷さんにもう一度聞いてみるか