焼け木杭に火がつく
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同日 某時刻
留置所 面会室
「面会できない!?」
オドロキは大きな声をあげ、隣の後輩が思わず耳を押さえた。
「オドロキ先輩、声のボリュームでかすぎです」
聴覚が優れているせいか、常人よりもかなりダメージをくらったらしい。
「あぁああ!ごめん!」
心音に短く謝った。
「事情聴取が終わった直後に、被疑者が体調を崩してしまってね。
本人も今は誰にも会いたくないと、安静にしているよ。
被疑者の体調から考えて、今日面会するのは無理だね」
被疑者に会ってなんとか話を聞きたかったが、相手の状態を考慮してオドロキたちは留置場から出ることにした。
「話し合いが全然できませんでしたね。」
「せめて殺人の話だけでも聞きたかったんだけどな」
オドロキたちは暗い顔で留置場から出ていく。
「もう!オドロキ先輩は直球すぎるんですよ!八百谷さんは明らかに落ち込んでいたのに!」
「オレは希月さんみたいに声から感情はわからないんだって「八百谷?」
オドロキと心音が言い合いをしかけたときに、突如若い男性が割って入ってきた。
「もしかして……あなたたち八百谷に会ったんですか?」
「あの、どちら様ですか?」
「申し遅れました。ボクは“生田伊次郎”といいます」
え?
オドロキはその名前に眉をひそめた。
イジロウ?
八百谷さんが言ってたイジロウってもしかしてこの人か?
けど、オレが見た人とは別人だ
「八百谷の婚約者です」
「あなたが八百谷さんの言ってた伊次郎さんですね!」
「やっぱり八百谷と会ったんですね。」
「そのバッジ……弁護士さんですよね。もしやうちの使用人が依頼をしに向いましたか?」
オドロキは男の容姿が使用人という風ではなかったこと、あの男が知り合いと言いなぜ使用人と言わなかったのか、さまざまな疑問が頭に浮上してくる。
「……確かに、八百谷さんの弁護の依頼はされました」
「本当は……成歩堂弁護士の事務所に依頼しようとしていたんですが」
「いえ、私たち成歩堂事務所の弁護士です。」
「え?それなら、なぜ成歩堂弁護士ではないんですか!?」
自分たちの所長の名声に鼻が高くなる一方で、彼に及ばないということにオドロキは悔しさが募る。
「いえっ、所長は別件の事件の弁護をしているんです。その代わりとして、オレたちが弁護します」
「そうだったんですか。けど、あの成歩堂事務所の弁護士なら安心しました」
オドロキは引っかかりを感じたが、無理に納得して違和感を拭い去った。
「依頼状は改めてよこします。
気の利く使用人が代わりに依頼してくれていてよかったです」
伊次郎は顔を引き締め、頭を深く下げた。
「奈々子のことをどうかよろしくお願いしますね」
顔を上げ、その場から立ち去った。
「……あんまり八百谷さん本人とは話せなかったな」
「けど、証拠品は色々と見つかりましたよ」
一抹の不安を抱えつつ、オドロキは沈みかけている夕日をきつく見据える。
~つづく~
留置所 面会室
「面会できない!?」
オドロキは大きな声をあげ、隣の後輩が思わず耳を押さえた。
「オドロキ先輩、声のボリュームでかすぎです」
聴覚が優れているせいか、常人よりもかなりダメージをくらったらしい。
「あぁああ!ごめん!」
心音に短く謝った。
「事情聴取が終わった直後に、被疑者が体調を崩してしまってね。
本人も今は誰にも会いたくないと、安静にしているよ。
被疑者の体調から考えて、今日面会するのは無理だね」
被疑者に会ってなんとか話を聞きたかったが、相手の状態を考慮してオドロキたちは留置場から出ることにした。
「話し合いが全然できませんでしたね。」
「せめて殺人の話だけでも聞きたかったんだけどな」
オドロキたちは暗い顔で留置場から出ていく。
「もう!オドロキ先輩は直球すぎるんですよ!八百谷さんは明らかに落ち込んでいたのに!」
「オレは希月さんみたいに声から感情はわからないんだって「八百谷?」
オドロキと心音が言い合いをしかけたときに、突如若い男性が割って入ってきた。
「もしかして……あなたたち八百谷に会ったんですか?」
「あの、どちら様ですか?」
「申し遅れました。ボクは“生田伊次郎”といいます」
え?
オドロキはその名前に眉をひそめた。
イジロウ?
八百谷さんが言ってたイジロウってもしかしてこの人か?
けど、オレが見た人とは別人だ
「八百谷の婚約者です」
「あなたが八百谷さんの言ってた伊次郎さんですね!」
「やっぱり八百谷と会ったんですね。」
「そのバッジ……弁護士さんですよね。もしやうちの使用人が依頼をしに向いましたか?」
オドロキは男の容姿が使用人という風ではなかったこと、あの男が知り合いと言いなぜ使用人と言わなかったのか、さまざまな疑問が頭に浮上してくる。
「……確かに、八百谷さんの弁護の依頼はされました」
「本当は……成歩堂弁護士の事務所に依頼しようとしていたんですが」
「いえ、私たち成歩堂事務所の弁護士です。」
「え?それなら、なぜ成歩堂弁護士ではないんですか!?」
自分たちの所長の名声に鼻が高くなる一方で、彼に及ばないということにオドロキは悔しさが募る。
「いえっ、所長は別件の事件の弁護をしているんです。その代わりとして、オレたちが弁護します」
「そうだったんですか。けど、あの成歩堂事務所の弁護士なら安心しました」
オドロキは引っかかりを感じたが、無理に納得して違和感を拭い去った。
「依頼状は改めてよこします。
気の利く使用人が代わりに依頼してくれていてよかったです」
伊次郎は顔を引き締め、頭を深く下げた。
「奈々子のことをどうかよろしくお願いしますね」
顔を上げ、その場から立ち去った。
「……あんまり八百谷さん本人とは話せなかったな」
「けど、証拠品は色々と見つかりましたよ」
一抹の不安を抱えつつ、オドロキは沈みかけている夕日をきつく見据える。
~つづく~