11月15日　午後1時32分　

九尾屋敷・庭園　



「久しぶりですね。この村に来るのも」

「もう半年前になるのか」

赤いスーツの青年と黄色いスーツの少女が屋敷の庭園を見て回っている。

「お祭りってだけあって、かなり賑わってるな。」

赤いスーツの青年―――王泥喜法介は庭園を見回す。

「見てください！妖怪に関連するイベントがたくさんですよ！」

黄色いスーツの少女―――希月心音は庭園の舞台に貼られている公開スケジュールを指差す。

「ゆめみちゃんがくれた券で食事もできるみたいだよ。」

「ナルホドウさんとみぬきちゃんも来ればよかったのに」

「仕方ないよ。みぬきちゃんはマジックショーで仕事だし、成歩堂さんは出張中なんだから」

「そうですね。それじゃ、みぬきちゃんたちの分まで楽しみましょう」

「祭りを楽しむ前に、まず招待してくれたゆめみちゃんに挨拶に行かないと」

「あぁ！そうでした！」

「たぶん、お祭りの準備で屋敷を手伝ってるんじゃないかな。」

「あぁ、あのメイドさんに訊いてみましょう！すみませーん！」

ココネは、飲み物を運んでいた和装姿の女性に声をかける。

女性がココネの声に振り返る。

「天馬ゆめみさんってどこにいるかわかりますか？」

ココネの問いに女性は首をかしげる。

「ゆめみちゃん？あの子なら今日はお休みしてますよ？」

「ええ！？」

ココネは目を見開いた。

「体調でも崩されたんですか？」

オドロキが心配そうに尋ねる。

「なんでもお家の急用で来れなくなっちゃったみたいなの。」

「クズハちゃーん！こっち手伝ってー！」

「はぁーい！……ごめんなさい、私はこれで」

呼ばれた方へ女の給仕は行ってしまう。

「残念だなー、ゆめみちゃんに会いたかったのに。」

知り合いに会えないとわかり、ココネはふてくされる。

「よし！こうなったら村の屋台を全部制覇してやりますよ！」

ダッと走って村の方へと駆け出した。

「ちょっ希月さん！待って！」

飛び出した後輩を、少し遅れて追いかける。

やれやれ。

オドロキは心の中で首を振る。