「牙琉検事、大丈夫か？」

床に座り込んでいた牙琉に駆け寄る。

「それはアンタの方だろ。何か所も刺されてたじゃないか」

「かすり傷だから……」

「ふふふふ」

女の笑い声が聞こえ、ハッと鬼が振り返る。

「この蜘蛛、まだ意識があったのか」

しぶとい奴だな。

呆れたように鬼がつぶやいた。

「アンタたちを生きてここから出すと思う？」

どういうことだと鬼が言いかけたとき、鼓膜を破裂させるような爆音が天井から聞こえる。

鬼は牙琉の腕を引き寄せ、天井から落ちてきた瓦礫を回避した。

「こんの蜘蛛女郎！！爆弾を仕掛けてやがったのか！」

「さぁ、今の爆発で、壁は壊れたわ。

海の水ですぐにこの地下は沈むでしょうね。

ここが沈めばアンタも色男もあの世行きよ！」

アーッハハハハと女の狂ったような高笑いが地下に響く。

穴から大量の水が流れ込んできた。

「うわぁああああああ！！！！」

「くっ」

水が龍のごとく暴れ回り、鬼風と牙琉を飲み込んだ。