第三話:魚の水を得たるが如し
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鬼風は杏里の指示通り、仕掛けをしながら清掃員の仕事をしていた。
サーカス内だけでなく、水族館の方も見て回る。
しっかし、本当に警備の数が少ねえなぁ。
『指示通り設置したか?』
「あぁ。大体の設置は終わったよ。けど、ボヤ騒ぎなんかで人形の在処がわかるのか?」
『人間、危険なことが起こると反射的にお宝の隠し場所に向かうんだよ』
「そういうもんかね」
ガラガラと清掃道具の入ったカートを押しつつ、廊下の角を曲がる。
ガンッと男にぶつかり、鬼風は慌てておばちゃんの声を出す。
「あらっ!ごめんなさい!怪我はないかい!?」
サングラスの男の顔を見て、鬼風はげっと心の中で声をあげた。
「いいえ。こちらこそすみません。お怪我はありませんか……桜羽さん?」
「まぁっ」
ぽっと赤く染めた頬を手で押さえる。
制服の胸のネームプレートを見たらしく、牙琉響也はおばちゃんの名前で鬼風を呼ぶ。
「ガリューウェーブの牙琉ちゃんから名前を呼ばれるなんて、おばちゃん感激!」
おばちゃんがくねくねと体をくねらせるが、彼の営業スマイルは少しも崩れない。
「あらやだ。ごめんなさいね、こんなおばさんがファンだなんて嫌よね。」
「いえいえ。女性ならどんな方だろうとうれしいですよ」
パチンと牙琉はウインクを投げる。
牙琉ファンならば、そのウインクだけで卒倒していただろう。
おばちゃんははぅうとハートを打ち抜かれたように胸を押さえてみせる。
ただし、鬼風の表面上とは裏腹に、内心はうげーと顔をしかめていた。
「はっいけない!おばちゃん仕事中だから、これで」
カラカラとカートを引いて、牙琉の元から去ろうとする。
「あっ待って」
牙琉に引き止められ、ぎくっと鬼風は肩をはねさせかけた。
「これっ落としましたよ」
紅葉の刺繍がされたハンカチを渡され、笑顔で受け取る。
「まぁまぁ、ありがとうございます。」
ハンカチに手を伸ばすと、すっと片手を取られた。
「なっなんだい!?急に手なんか取っちゃって!おばちゃんは別に良いんだけど牙琉ちゃんの世間の目ってのものがあるだろうおばちゃんはいいんだよむしろ大歓迎だよなんせあの牙琉ちゃん「綺麗な手ですね」
牙琉はおばちゃんの手を取り、桜羽の顔を通して鬼風の目を見据えている。
おばちゃんは牙琉の言葉にえっと口元を押さえ、目元を朱色に染めた。
「いやだもう!そんな私のこんな汚い手を綺麗だなんて」
恥ずかしげに手を振り払い、顔をくにゃくにゃと振る。
「……それじゃ、僕はこれで。」
そういって、おばちゃんに背を向けて去っていく。
彼の背が遠くなってから、鬼風は顔をしかめる。
『……バレたか?』
「……わかんね」
鬼風は渋い表情で作業へと戻る。
「つーか、あの検事。また来たのかよ」
『どうやらあちらさんも組織の情報を探してるみたいだぜ』
「なんでさ?」
『あのアイドル検事が担当した事件で組織が裏で糸を引いていた可能性があるんだとよ』
「……あの検事。やりづらいんだよなぁ」
『とにかく、作戦開始するぞ』
「了解っと」
サーカス内だけでなく、水族館の方も見て回る。
しっかし、本当に警備の数が少ねえなぁ。
『指示通り設置したか?』
「あぁ。大体の設置は終わったよ。けど、ボヤ騒ぎなんかで人形の在処がわかるのか?」
『人間、危険なことが起こると反射的にお宝の隠し場所に向かうんだよ』
「そういうもんかね」
ガラガラと清掃道具の入ったカートを押しつつ、廊下の角を曲がる。
ガンッと男にぶつかり、鬼風は慌てておばちゃんの声を出す。
「あらっ!ごめんなさい!怪我はないかい!?」
サングラスの男の顔を見て、鬼風はげっと心の中で声をあげた。
「いいえ。こちらこそすみません。お怪我はありませんか……桜羽さん?」
「まぁっ」
ぽっと赤く染めた頬を手で押さえる。
制服の胸のネームプレートを見たらしく、牙琉響也はおばちゃんの名前で鬼風を呼ぶ。
「ガリューウェーブの牙琉ちゃんから名前を呼ばれるなんて、おばちゃん感激!」
おばちゃんがくねくねと体をくねらせるが、彼の営業スマイルは少しも崩れない。
「あらやだ。ごめんなさいね、こんなおばさんがファンだなんて嫌よね。」
「いえいえ。女性ならどんな方だろうとうれしいですよ」
パチンと牙琉はウインクを投げる。
牙琉ファンならば、そのウインクだけで卒倒していただろう。
おばちゃんははぅうとハートを打ち抜かれたように胸を押さえてみせる。
ただし、鬼風の表面上とは裏腹に、内心はうげーと顔をしかめていた。
「はっいけない!おばちゃん仕事中だから、これで」
カラカラとカートを引いて、牙琉の元から去ろうとする。
「あっ待って」
牙琉に引き止められ、ぎくっと鬼風は肩をはねさせかけた。
「これっ落としましたよ」
紅葉の刺繍がされたハンカチを渡され、笑顔で受け取る。
「まぁまぁ、ありがとうございます。」
ハンカチに手を伸ばすと、すっと片手を取られた。
「なっなんだい!?急に手なんか取っちゃって!おばちゃんは別に良いんだけど牙琉ちゃんの世間の目ってのものがあるだろうおばちゃんはいいんだよむしろ大歓迎だよなんせあの牙琉ちゃん「綺麗な手ですね」
牙琉はおばちゃんの手を取り、桜羽の顔を通して鬼風の目を見据えている。
おばちゃんは牙琉の言葉にえっと口元を押さえ、目元を朱色に染めた。
「いやだもう!そんな私のこんな汚い手を綺麗だなんて」
恥ずかしげに手を振り払い、顔をくにゃくにゃと振る。
「……それじゃ、僕はこれで。」
そういって、おばちゃんに背を向けて去っていく。
彼の背が遠くなってから、鬼風は顔をしかめる。
『……バレたか?』
「……わかんね」
鬼風は渋い表情で作業へと戻る。
「つーか、あの検事。また来たのかよ」
『どうやらあちらさんも組織の情報を探してるみたいだぜ』
「なんでさ?」
『あのアイドル検事が担当した事件で組織が裏で糸を引いていた可能性があるんだとよ』
「……あの検事。やりづらいんだよなぁ」
『とにかく、作戦開始するぞ』
「了解っと」