第三話:魚の水を得たるが如し
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
1月17日 午後15時12分
ちゅらら水族館・イルカ像
大人二人分はありそうな大きなイルカの像が飾られている。
その像の背後で、黒い板に≪ちゅらら水族館≫と金字で書かれた看板が見えた。
看板の隣で自動ドアから人が大勢入っていく。
屋外にある特設ステージでは、公演前にも関わらず大勢の客でにぎわっていた。
パーカーの青年は像の前で止まると、後ろへと向きを変える。
「はやくこいよ!」
「いい年こいてサーカスかよ。」
スマホを片手につまらなそうな顔をしてる少年が返事をする。
「こんなんなら、家でゲームの続き……」
スマホを見ていた青年は、肩がぶつかり、顔をしかめた。
「いてぇなぁ」
青年はぎろっとぶつかった相手を睨む。
「あらあら。なんだい!その態度は!?」
緑の制服に身を包んだ白髪の女性が睨み返す。
げっと青年は相手を見て、顔をしかめる。
うるせぇババアと返すが、その声は相手の説教でかき消される。
それを見たパーカーの青年が小さな声でスマホの青年に耳打ちする。
「よそ見してるからこんなおばちゃんにぶつかるんだぞ?」
パーカーの青年のちいさな声に、きっと目を吊り上げながらおばちゃんが口を開く。
「私は≪おばちゃん≫じゃないよ!≪桜羽 佐久夜≫って名前がちゃんとあるんだから、ちゃんと覚えておくんだね!」
桜羽 佐久夜(オウバ サクヨ)。
この会場の清掃員を何十年もしているベテランだ。
「まったく最近の若いモンときたら、なにかあると、すぐにこうだね、おばちゃんが若いころはこんなことはなかったねえなにかやりながらうろうろうろとながら作業っていうのかいそれで効率うんぬんいうんだから」
マシンガントークで会話を始めたおばちゃんから逃げるように青年たちはその場から去っていく。
「ちょっ人の話は最後まで聞きなさい!……たっくもう!最近の子ってのは礼儀知らずだねっ!」
鼻を鳴らしながら、去っていた少年たちに言い放った。
『……どうだい?バレてないか』
「……バッチリ」
耳につけているイヤリングからの音に、桜羽―――鬼風は囁き声で答えた。
『で、そのおば……まぁいいや。本物のおばちゃんはどうした?」
「獲物を盗り返すまでは、悪いけど彼女には仮眠室で束の間の夢を見てもらってるよ」
『やけに優しい対応だな』
「女性には優しい紳士だからね」
『泥棒いう名の……だろ?』
「もちこーす」
軽口をぼそぼそと言いながら、目は周囲を注意深く警戒している。
『警備の状況は?』
「あんまりいない。悪戯だと思われてるせいかな」
『まぁ見物自体は悪いことではないからな」
「……でも、杏里。なんでこのサーカスが蛍姫を持ってることを予告状に書かなかったのさ」
『言ってどうなるよ?警察に頼るつもりかい?』
「いや、そうじゃねえけどさ」
『言ったって出て来やしないさ。』
「しかし、こう広いんじゃ、奴らがどこに隠してるかなんてわかんないじゃないか。」
『安心しな。そこはちゃんと考えてあるから』
クックックと嫌な笑い声をあげる相棒に、鬼風は首をかしげた。
ちゅらら水族館・イルカ像
大人二人分はありそうな大きなイルカの像が飾られている。
その像の背後で、黒い板に≪ちゅらら水族館≫と金字で書かれた看板が見えた。
看板の隣で自動ドアから人が大勢入っていく。
屋外にある特設ステージでは、公演前にも関わらず大勢の客でにぎわっていた。
パーカーの青年は像の前で止まると、後ろへと向きを変える。
「はやくこいよ!」
「いい年こいてサーカスかよ。」
スマホを片手につまらなそうな顔をしてる少年が返事をする。
「こんなんなら、家でゲームの続き……」
スマホを見ていた青年は、肩がぶつかり、顔をしかめた。
「いてぇなぁ」
青年はぎろっとぶつかった相手を睨む。
「あらあら。なんだい!その態度は!?」
緑の制服に身を包んだ白髪の女性が睨み返す。
げっと青年は相手を見て、顔をしかめる。
うるせぇババアと返すが、その声は相手の説教でかき消される。
それを見たパーカーの青年が小さな声でスマホの青年に耳打ちする。
「よそ見してるからこんなおばちゃんにぶつかるんだぞ?」
パーカーの青年のちいさな声に、きっと目を吊り上げながらおばちゃんが口を開く。
「私は≪おばちゃん≫じゃないよ!≪桜羽 佐久夜≫って名前がちゃんとあるんだから、ちゃんと覚えておくんだね!」
桜羽 佐久夜(オウバ サクヨ)。
この会場の清掃員を何十年もしているベテランだ。
「まったく最近の若いモンときたら、なにかあると、すぐにこうだね、おばちゃんが若いころはこんなことはなかったねえなにかやりながらうろうろうろとながら作業っていうのかいそれで効率うんぬんいうんだから」
マシンガントークで会話を始めたおばちゃんから逃げるように青年たちはその場から去っていく。
「ちょっ人の話は最後まで聞きなさい!……たっくもう!最近の子ってのは礼儀知らずだねっ!」
鼻を鳴らしながら、去っていた少年たちに言い放った。
『……どうだい?バレてないか』
「……バッチリ」
耳につけているイヤリングからの音に、桜羽―――鬼風は囁き声で答えた。
『で、そのおば……まぁいいや。本物のおばちゃんはどうした?」
「獲物を盗り返すまでは、悪いけど彼女には仮眠室で束の間の夢を見てもらってるよ」
『やけに優しい対応だな』
「女性には優しい紳士だからね」
『泥棒いう名の……だろ?』
「もちこーす」
軽口をぼそぼそと言いながら、目は周囲を注意深く警戒している。
『警備の状況は?』
「あんまりいない。悪戯だと思われてるせいかな」
『まぁ見物自体は悪いことではないからな」
「……でも、杏里。なんでこのサーカスが蛍姫を持ってることを予告状に書かなかったのさ」
『言ってどうなるよ?警察に頼るつもりかい?』
「いや、そうじゃねえけどさ」
『言ったって出て来やしないさ。』
「しかし、こう広いんじゃ、奴らがどこに隠してるかなんてわかんないじゃないか。」
『安心しな。そこはちゃんと考えてあるから』
クックックと嫌な笑い声をあげる相棒に、鬼風は首をかしげた。